[アニソン] アニメ的音楽徒然草 Remember My Love
美麗な作画
今回は劇場版うる星やつらの三作目「うる星やつら3リメンバーマイラブ」のエンディングテーマ曲だったステファニーの「Remember My Love」をご紹介します。
リメンバーマイラブが公開されたのは、1985年1月でした。押井監督時代の二本は非常にタイトなスケジュールで作られていたことは有名です。特に第一作目のオンリーユーは作画監督のパートごとに絵柄が異なるという今みると作画崩壊手前くらいに見えるもんだと私は思っています。ただ「オンリーユー」に関しては、製作期間が信じられないくらい短かった(実質5ヶ月)というハンディはあったのですけど。
そこへいくとこのリメンバーマイラブは当時、うる星やつらの中でも美少女を描かせたら五本の指に入る森山ゆうじ&土器手司作画監督による非常に美麗な作画が見られます。内容が難解で未だに物議を醸し出している「ビューティフルドリーマー」と比較しても、非常に王道な映画に仕上がっています。
「リメンバーマイラブ」はそのビューティフルドリーマーで作画監督を務められていたやまざきかずお監督。テレビシリーズでも押井守監督の後を継いで、監督になられており、うる星やつらでは初映画監督作にもなります。
テープまで購入した
実はこのリメンバーマイラブは、当時まだ高価だったビデオ(確か一本一万八千円くらい)を、なけなしの金をはたいて購入しました。私はベータ愛好家だったので、ベータテープなんですが、実家にはこのビデオを捨てずに保管しております。
さて、うる星やつらにはアニメーターだけでなく、様々なミュージシャンが音楽を担当されています。リメンバーマイラブでは劇中曲をミッキー吉野さんが、主題歌をタケカワユキヒデさんが手がけられています。
お二人は銀河鉄道999などのヒットで有名なゴダイゴのメンバーです。さらにもともと漫画好きなタケカワさんは数々のアニソンを手掛けられています。私が記憶する限り、吉野さんが劇伴でタケカワさんが主題歌を担当されたアニメ作品は、このリメンバーマイラブが最初だったと思います。
攻殻機動隊の成功で世界的知名度を得た押井守監督のビューティフルドリーマーは、原作ファンからの評価と押井監督ファンからの評価が真っ向からぶつかり合い、いろんな意味で後世に語り継がれています。
意外と評価は低い現状
しかし、リアルタイムで体感してきた私の感覚では、リメンバーマイラブという作品の評価は概ね高かったと記憶しています。良きにつけ悪しきにつけ、癖のあるビューティフルドリーマーと比較した場合、アクの弱さは否めませんが、やまざき監督の世界観は決して過小評価されてよいものではありません。
美麗な作画で表現されたラムちゃんの可愛さはいうに及ばずですが、何よりラブロマンスとして見るととても良いのです。ラムの一途さと献身さが強調されているのが、やまざき監督の持ち味と言っていいでしょう。
原作でもたびたび登場するあたるの「ガールハントしたい」「でも、ラムも居て欲しい」という相反する行動原理も上手くストーリーに組み込まれています。たしかにギャグのキレやSF的要素でいうと見劣りはしますけど、うる星やつら劇場版でラブロマンスというものに、真っ向から取り組んだ作品って、オンリーユー、完結編と、このリメンバーマイラブくらいだと私は思っています。
うる星やつら自体が非常に許容範囲の広い作品であるため、リメンバーマイラブもまたビューティフルドリーマー同様好き嫌いの分かれる作品ではあります。が、うる星やつらのラブロマンス部分に魅力を感じているあなたには是非見ていただきたい作品なのです。