[アニメ感想] 2010年夏アニメ完走分感想文 オオカミさんと七人の仲間たち
2019/04/19
人助けの依頼を受けて貸しを作り、有事の際は強制的に借りを返させるという恐怖の部活、
御伽学園学生相互扶助協会・通称「御伽銀行」――。
正義の味方? 悪の組織? ただの変人の集まりか…?
凶暴一匹オオカミ・新型ツンデレ女子高生・大神涼子と、
そんな彼女が大好きな視線恐怖症ヘタレ男子・森野亮士、見た目はロリっ子腹は真っ黒・赤井林檎、
その他愉快な仲間たちが、やりたい放題好き放題、
世直し(?)のために戦う、
熱血人情ラブコメディがついにアニメで登場!(あらすじはAT-X HPより)
ちょっと心にぐっと来る
巷によくある、おとぎ話から名前だけ借りた日常系バトル&へたれラブコメというテイストのお話。そもそも「オオカミさんと七人の仲間たち」の物語構成は、おとぎ話のエッセンスの入った御伽銀行とヤンキーの抗争なんで、特に前半はシリアス要素というのがほとんどない。
ぶっちゃけストレス無く最初から最後まで見られて、なおかつ第九話のような、ちょっと心にぐっと来るところもあり、でなんだかんだと私は結構楽しめた。
「オオカミさんと七人の仲間たち」は、ちょいちょいシリアスな設定が多かったにも関わらず、作風的にはライトな演出が施されていて、そこの落差が楽しめたらハマりそうな作品ではないかと思う。ヒロインの大神さんは強そうな顔してるのに、第七話でワンピースを着て記憶喪失になったとたん、めちゃくちゃ可愛くなるあたりはギャップ萌えできるポイントかもしれない。
このオオカミさんと基本タッグを組んでいる赤井林檎が、かなりアクの強いキャラクターで、ちょっとシリアスな過去の持ち主。第九話では彼女の過去がフィーチャーされている。詳しくは書かないけど、大神さんと、主人公亮士くん(視線恐怖症のへたれ。でもやるときはやるというキャラ)の世話を焼きたがる「裏」もなんとなく明らかになる。
林檎に限った話ではないが、どのキャラクターも「暗い過去」を抱えており、そのトラウマとの葛藤は見所のひとつ。だが、肝心のヒロイン・大神さんの過去に関しては、描写不足だったかなとも思う。ここが肝だったのになあ。
びっくりするくらい丁寧な作画
「オオカミさんと七人の仲間たち」の作画に関しては文句のつけようがない。キャラの表情はとても細かく、ワンカットでもキャラの感情がよく汲み取られていて、角度を付けて臨場感を醸し出したりする工夫や、大神さんの習っているボクシングの動きがかなりリアルで、しかもびっくりするくらい丁寧!一話の格闘シーンなどは、本当に格闘アニメかと思ったくらい上質。この作画が見られるのもポイントの高いところ。
また、これを支える豪華声優陣!サブキャラの声優さんまで結構売れ線の人を起用していて驚いた。まあ当然っちゃ当然だが、だれも棒演技の人がいない。作画同様クオリティが大変高い!
「オオカミさんと七人の仲間たち」が抱える最大の欠点はナレーションが非常にくどくて邪魔に感じること。他のセリフにかぶることが多く、これが嫌で切られてもしょうがないだろう。
ただ禁止語句のピーをナレーションに言わせるとか面白い演出もあったんで、これは生かし方次第かな?原作がそうらしいのだが、三人称で物語が進んでいくというところに配慮したが故のクドさだと思われる。とはいえ、ここが整理できているともっと良くなったと私は思う。
「オオカミさんと七人の仲間たち」という作品自体の出来が良かったのにもかかわらず、9年たってもあまり語り継がれなかったのは、もしかしたらこうしたマイナスポイントが目立ったせいかもしれない。