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[アニメ感想] 2019年冬アニメ完走分感想文 ケムリクサ

赤い霧に包まれた、
荒廃した建造物に囲まれた人気の無い世界を舞台に
3人の姉妹が生き抜く物語。
物語の中心的人物でまとめ髪の特徴的なりん、
猫耳でいつもおっとりしているお姉さんキャラのりつ、
メイド調の服に身を包み天真爛漫なムードメーカーりな。
謎多き世界で
この姉妹が目指すものは一体…(あらすじは公式HPより)

けもフレ2の「裏番組」

なんの因果か、BSでは「けものフレンズ2」の裏番組になったケムリクサ。ご存知、無印の「けものフレンズ」を監督したたつき氏のオリジナル作品。

もともとは、自主制作アニメーション集団irodoriにより、2010年から2012年にかけてニコニコ動画にて自主制作アニメが公開され、同年2月には同サイトとYouTubeにて長尺版が公開されている作品。総動画時間は約28分。これがほぼテレビシリーズの第一話に相当している。

ちなみに、2010年版ではテレビアニメとは異なる設定が存在している。従って2019年のテレビシリーズは、この自主制作版の続編ではなく、一からの再制作としてつくられたのが、テレビ版の「ケムリクサ」である。以降でケムリクサと表記するのは、全てテレビ版のことを指そうと思う。

フロックではない実力

個人的には終末感を漂わせ、バッドエンド一直線に見える不穏な空気と、それを煽り続けてマックスにもってきた11話。そこからきれいに畳みかけて収束させた最終回の見事さにはうならされた。やはりたつき監督の腕前はフロックではなかったことを「ケムリクサ」は証明したと思う。

物語の構成は「けものフレンズ一期」同様、徐々に謎が増えていき、また同時に謎が明かされていく形。私としては、謎は謎で気になるんだけど、なかなか見えてこないゴールにモヤりながら、考察をするではなく、淡々と視聴を続けていた。

一島から十島へと冒険するとか、ケムリクサというアイテムや、ボスの部位破壊など、全体的にゲームらしい雰囲気を持っているとは思ったが、12話のラストがまさに「ゲームクリア」といえるものだったので、この見方はそうそう遠くはないとは思う。

ストーリーは複雑そうで、実はとてもシンプル。けれど演出が上手い。毎話の引きも強くて、見せ方が実に巧妙。気が付いたら次回が楽しみなアニメになっていった。エンディングのキャラのシルエットの消え方も実に思わせぶりだったし、もう一回通しでみたら違う感想もでてきそうだ。

見せ方が実に巧妙

ネタバレになっちゃうけど、12話で気になったのは、最後の「好きだ」というりんの台詞。確かに今まで「好き」がなかったりんが、最後に見つけた「好き」だからこそ、ラストのラストでこの台詞を言うのは当然ともいえる。

でも、言葉に出さずに、キャラクターが何を思っているかを想像させるのも良いとも思うので、個人的には笑顔のりんのカットで終わってほしかった。あのシーンは絵を見れば、言わずともわかるし、あえて言わせたことも理解はできるんだけれど、そこは視聴者を信じてほしかった。

ともあれ、けものフレンズ2が迷走を続けるなか、見せつけるかのように綺麗に着地してみせたことはお見事。12話のスペシャルバージョンのエンディングも実に心地よかったし、まさかの予想を裏切りつつ、ちゃんと多くの視聴者が納得する落としどころを作ったという点では、たつき監督の腕前が一枚も二枚も上手だったというほかない。





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