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[映画鑑賞記] 銀魂2 掟は破るためにこそある

2018/08/24

18年8月24日鑑賞。

空知英秋による人気コミックを小栗旬主演&福田雄一監督のタッグで実写映画化し、2017年の邦画実写でナンバーワンの大ヒットを記録した「銀魂」の続編。原作の「真選組動乱篇」と「将軍接待篇」を融合させたストーリーが展開される。金欠で家賃も払えない万事屋の3人は、ついにアルバイトをすることを決意。しかし、バイトに行く先々で天下の将軍様と遭遇する羽目に。同じ頃、内紛に揺れる「真選組」はかつてない危機に見舞われていた。それはやがて将軍をも巻き込む陰謀へとつながり、江戸中で大騒動が勃発。万事屋と銀時も最大の危機に立ち向かうことになる。主人公の坂田銀時を演じる小栗のほか、菅田将暉、橋本環奈ら豪華主要キャストがそろって続投。(解説は映画comより)

鉄は熱いうちに

銀魂第1作は、昨今流行りの原作破壊型邦画、またの名をコスプレ映画という先入観を上手く利用して立ち回った会心の作。当然、再現度の高さといい、原作と相性のいい福田監督のギャグに対する熱意と執念が見事に結実し、昨年の興行成績第1位に輝く結果となった。

正直、これだけでも驚きだったが、更に驚いたのは第1作目撮影中にキャストのスケジュールを抑えて第2弾制作を決めた実写版制作サイドの決断力。普通興行成績が出てから続編制作を決めるのが通例なのに、大胆にも「鉄は熱いうちに」打ってきた、その度胸にはひたすら驚くばかりである。

そうして出来た劇場版第2作は早速冒頭からメタネタのオンパレード。掴みはバッチリ。まるで原作にあるかのようなギャグのキレにまず心を掴まれた。

とはいえ、銀魂は単なるギャグ漫画ではない。シリアスパートの出来いかんでは、第1作目をしのぐことはできないかもしれない。しかも、今回は原作でも屈指の人気エピソード「真選組動乱編」をベースにした劇場版第2作はもともとお笑いパートの将軍徳川茂茂の爆笑エピソードを撮りたかったのだそうだ。

まあ、さすがに将軍接待編だけで2時間やるのは卑怯すぎるとは思うし、やはりシリアスパートあっての銀魂でもある。

より面白くしたいが故のプレッシャー

撮影順は「動乱編」のシリアスな部分が先にできていたので、監督・キャスト共々「より面白くしたい」が故にプレッシャーにもなったそうだ。それはそうだろう。先んじて作られた劇場アニメでも「真選組動乱編」のエピソードが使われている。シリアスパートもテッパンであるだけに、へたなことはできないのだから。

しかし、そのプレッシャーを跳ね返すような熱演は、さすがというほかない。映画の時系列ではコメディパートが最初にくるため、違和感があれぼシリアスシーンも生きてこないのだが、第1作目にも増して、より銀魂らしさが貫かれていた。

まあ、将軍が絡むネタはある意味テッパンであり、これで外せないというのはよくわかる話。しかしながらその再現度の高さは、アニメでも原作でも見ていたはずのネタであるにも関わらず、劇場で笑い転げてしまった。

何度も言うけれど、銀魂のキモはギャグとシリアスの絶妙なバランスなのだから、後半でしょぼいことはしていられない。そこで後半の大ドンパチは、空撮も利用したかなり大胆な絵作りになっていた。殺陣もふんだんに活用し、アクション映画としては前作の迫力を超えたのではないだろうか?

それと特筆しておきたいのが主題歌。back numberの「大不正解」は、メンバーが今までのアニメ版主題歌を聞いて作ったということで、このままアニメで流してもおかしくない出来栄え。原作に忠実に、という理念でいうと先行したアニメ版のイメージをも崩さないよう心がけられているのは素晴らしいと思った。

諦めないで笑いに走れるか?

まあ、敢えて不満点があるとしたら、キャストや内容で外さない安心感がある分、第1作目のような新鮮な驚きはないということになるだろうか。これはある意味シリーズ化するものの宿命でもあるし、アニメ銀魂もそうしたハードルを越えながら、現在まで作り続けられている。

確かにギャグパートは福田監督の得意分野だし、シリアスパートの出来がよければ「大人しくなった」「行儀よくなった」とか言われかねないのだから、実は銀魂という作品は、福田監督にとってはリスキーな面もあるのだ。それでもここまできたら、やり続けるしかない。スタートはダークホースでも、いまや立派な本命馬である。

それは実を言うと週刊少年ジャンプ誌上における原作「銀魂」と似ているとも言えないだろうか?原作「銀魂」は、紛れもなくジャンプの看板作品の一つになっているにも関わらず、一貫して大作扱いを拒否して、照れ笑いのようなギャグをどんな時にもぶちこんでくる。

確かに原作の終盤はシリアス成分多めではあったが、それでもギャグとシリアスのバランスを取り続けることをやめないからこその「銀魂」とも言える。いずれ実写版「銀魂」のシリアス成分が多くなっていく局面もくるだろう。その時になってもなお、諦めないで笑いに走れるかどうか。

福田監督がほんとに行儀よくなったのかどうかはその時が来たら判断すればよいのではないだろうか、と私は思っている。

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