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[アニメ感想] 2018年春アニメ完走分感想文 ルパン三世PART5

ルパン三世と次元大介はフランスにいた。ある田舎町のアパルトマンの一室からドラマが始まる。

麻薬や銃など非合法な物まで何でも買える闇のサイト、‘マルコポーロ’。デジタル通貨を盗み出すため、ルパン達は厳重に警備されている巨大サーバ施設へ侵入する。そこで出会ったのは謎の天才ハッカー少女、アミ。

ルパンはアミと共に、マルコポーロの罠に立ち向かっていくが、敵が仕掛けた‘ルパン・ゲーム’により、全世界から監視されるハメに。。。

しだいに明かされるアミの謎、そしてルパン三世の過去を知る男の出現ールパンはいまだかつてないほどの窮地に立たされていく!(あらすじは公式HPより)

ルパン三世とは何ものか?

好評だったPART4に続いて作られた「青ジャケット」のルパン。舞台もイタリアからフランスを経て、さまざまな国に散っていく。おまけに過去作ともリンクしているのが、最大のポイント。

さて、個人的にPART5に感じたことをいくつか書き連ねてみたい。

①青ジャケット以外の色ジャケットが登場した

PART5の大きなウリとして、ルパン三世とは何ものか?というテーマがある。要するに時代を超え、国を超え出没し続けるルパン三世の「中身」は果たして同一人物かどうか?ということ。

これは原作にもある描写で、いわゆる一般的なルパン三世のサル顔も、じつは本当の顔ではないということ。プロレスでいうなら、マスクマンの中身がいつのまにか入れ替わっている感じ。今までのアニメ版ルパンシリーズがさわらなかった部分に踏み込んだ点では大いに評価できる。

しかし、PART5は同時に、今までのルパンシリーズをいわゆる「永遠に歳をとらない」といういわば「サザエさん時空」から解き放ってしまったとも言える。であるならば、ルパン三世の素顔に迫る描写が、最終回だけでなくもう少し欲しかった。

PART5は、機動戦士ガンダムでいう「ターンA」の立ち位置を狙った節がある。過去作を同時系列に捉えて、更に未来に繋がる形に整理し直した作品としては評価できる。

自由人・ルパン三世

だが、原作「ルパン」はどうかすると、前回の設定すら次回のストーリーに絡まないことも多々ある。アニメでは殆どでてこないルパン帝国しかり、回によっては別人になっている峰不二子しかり。その自由さこそがルパンの魅力であるからこそ、時系列を一つにする強い理由が感じられなかったのだ。

試みとしては大変面白かったけれど、時系列や歴史、ヒーローの概念さえ飛び越えていく自由人・ルパン三世を縛る形になるのならば、仮にPART5の時系列でPART6が作られるのは、私的にはあまり好ましくは思えないのだ。

②何ものにも縛られない

とはいえ、パート5ではルパンが何者にも縛られないからこそ魅力的であるというテーマもきちんと描いている。一時的にルパンと恋人になった峰不二子がルパンとの日常を「ドキドキがない」と切って捨てるシーンは、その最たるものだろう。

多分、スタッフは時系列で縛られるほど、ルパンがヤワなキャラクターではないことを理解していたのだと私は思う。だからこそ、PART5の時点でそれぞれのキャラクターの関係性を描く必要があったのだろう。

PART5なりの「答え」

不二子だけでなく、かつては仇敵として殺しあった石川五右衛門もまた、PART5では自身とルパンとの関係性を見直そうとしている。だが、不二子には見せたルパンの「素顔」は五右衛門にはみせていない。代わりに身体を賭して斬られることで、信頼性をつなぎ直した。このあたりの落差も非常に面白いと思ってみていた。

③結局、ルパンとは何だったのか?

多分、歴代のルパンを手がけた原作者を含む多数の監督が既に描いているように、実に多様な側面をもつからこそのルパン三世であり、PART5はPART5なりの「答え」を出そうとしたのだろう。

個人的にはノスタルジーありきで過去作から連想される演出には否定的ではあったが、結局それも「ルパン三世とは何か?」という答えを導き出すための、パート5なりの工夫だったのだ、と考えれば納得がゆく。

稀代の大泥棒、ルパン三世を定義づけるのは愚の骨頂だが、それだけではない「解」を出そうとした努力は買いたいと思う。多少中だるみはしたけれど、最終回は見事だったし、これを受けてパート6がどうなっていくのかも大変興味深い。

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