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[アニソン] アニメ的音楽徒然草 スロープに天気雨

2018/09/07

その後の活動の足がかり

今回は1986年のオリジナルビデオ作品「バリバリ伝説」より、荻野目洋子さんの「スロープに天気雨」をご紹介します。80年代の荻野目洋子さんというと、小学館・少年ビッグコミック連載の「みゆき」(若松みゆき役)と、「バリバリ伝説」(伊藤歩惟役)を連載していた、講談社・少年マガジンという、両方の出版社が携わったアニメでヒロイン役を演じた数少ないキャストの一人です。

今みたいにジャンプの一人勝ちで、雑誌を超えたコラボとかが考えられないくらい、出版業界も元気だった時代の話ですし、荻野目洋子さん自身、声優としての出演作はそうたくさんあるわけではないので、この事実は快挙と言っても差し支えないと私は思います。

今でも芸能人の声優業進出には批判的な声が多いのですが、80年代に少なかったかというと決してそんなことはなく、荻野目さんの演技に関してはとにかく賛否両論ありました。

個人的にはタッチとかと比較した場合、アニメの「みゆき」は作画クオリティが低くて、その面での不満があったことは覚えています。まあ放送時間帯のこともあってやむをえなかったのですが、原作にありがちな、ちょいエロの要素が全部消されていたのも不満な点ではありました。

とはいえ、小学生時代から芸能活動してはいたものの、中学になってから活動がなかった荻野目さんにとって、「みゆき」役がいわば再デビューとなって、その後の活動の足がかりとなったのは事実です。

運命的な出会い

のちにブレイクしてヒットナンバーを連発する歌手としての荻野目さんの活躍は、「みゆき」がなかったら存在していたなかったかもしれないのです。そう考えると、「みゆき」とは、運命的な出会いだったのでしょうね。

実際、原作同様アニメの「みゆき」もヒットし、エンディング主題歌だったH2Oの「想い出がいっぱい」は、EPレコードは43万枚を売り上げて80年代を代表するヒットナンバーになったことはあまりにも有名です。

このようにアニメ初でもチャートをにぎわす曲が出はじめたのも80年代の特徴でした。しかし、まだまだアニソンというのは、一般的な歌謡曲よりも下に見られていた時代でした。

80年代でもそうでしたが、タイアップというのは、宣伝にもなるわけで、仮にアナログシングルでも「両A面」として発売されるのが常でした。

しかし、この「スロープに天気雨」は86年に発売された「フラミンゴ in パラダイス」のB面という扱いでした。CD時代のカップリングと決定的に異なる点は、B面=格下というイメージが世間的にも根強かったということにつきます。

「みゆき」では声優のみでタイアップ主題歌を歌っていない荻野目洋子さんの、数ある楽曲の中で、全盛期では初のアニソンタイアップにも関わらず、このレコード会社の扱いには憤った思い出があります。

とはいえ、スロープに天気雨は非常に名曲でして、作詞が麻生圭子さん、作曲が高中正義さんというクオリティの高い作家陣によって作られています。ちょうど80年代というのは、フュージョンミュージックもブームだった時代でもあり、その中で高中さんは、いわば時代の寵児でもありました。

単体で購入可能

そもそもギタリストの高中さんのアルバムにはあまり歌モノがありません。基本インストゥルメンタルオンリーで作品を発表していた高中さんが、歌詞付きの曲を荻野目洋子さんに書き下ろしたというのは、ある意味事件でした。

「うる星やつら」などで、高中さんの楽曲がアニメで流用されたことはあっても、高中さんの書き下ろし曲がアニソンになるという点でも事件だったといえるかもしれません。

1985年にキティレコードから、東芝EMIに移籍した高中さんは、それまでのフュージョン系からダンスミュージックに作品カラーを移行させている過渡期にあたり、「ダンシングヒーロー」で一躍有名になった80年代の荻野目洋子さんとは相性が良かったのも事実でした。

先程「過渡期」という言い方をしましたが、「スロープに天気雨」はフュージョン期の夏を思わせるサウンドにほどよくダンス感が混じっていて、そこに荻野目洋子さんのすきとおるような歌声がマッチした名曲だと私は思っています。

もちろん作品イメージにもぴったりだったため、荻野目さんは、「少年の最後の夏」「涙はスピード揺らすから」「NONSTOP DANCER」と、バリバリ伝説の計四曲のテーマ曲を担当されています。

ちなみに、アルバム「ラズベリーの風」には「フラミンゴ in パラダイス」と共に「スロープに天気雨」も収録されています。現在ではデジタルミュージック市場でも、「スロープに天気雨」は単体で購入できますが、大元の「バリバリ伝説オリジナルサウンドトラック盤」は非常に高値で取引されています。

本当はサントラ盤ごと荻野目さんの歌を楽しみたいのですが、当面は単品で購入する以外ないかもしれませんね。

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