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[アニメソング] アニメ的音楽徒然草 針切じいさんのロケンロール

クレイジーキャッツの全盛期

今回はアニメ「ちびまる子ちゃん」のエンディング(第二期:1995年1月8日~1996年5月26日)に使われた「針切りじいさんのロケンロール」をご紹介します。2018年8月15日に、ちびまる子ちゃんの原作者・さくらももこさんが他界されましたが、「針切じいさんのロケンロール」は、このタイミングでなくてもいずれ取り上げる予定だった「宿題曲」でした。その理由をこれから書いていきます。

話はかなり遡りますが、私が生まれた1960年代半ばに一世を風靡していたバンドがありました。それがハナ肇とクレイジーキャッツでした。中でもヴォーカルとギターを勤めていた植木等さん演じる「無責任男」シリーズの映画は軒並み大ヒット。

私は当然、リアルタイムでその人気を知らない世代ではありますが、クレイジー映画に関してはほぼ網羅しております。中でも、1967年にラスベガスで日本初のアメリカロケを敢行した「クレイジー黄金作戦」という作品で、クレイジーキャッツの人気ぶりをまざまざと思い知ることになるわけです。

この作品では当時、東宝のドル箱映画だった「若大将シリーズ」や「ゴジラ」も客演として登場するのですが、ワイキキビーチの若大将役の加山雄三さんが、劇中でクレイジーのギャグを披露するなどという場面が見受けられます。言い方は悪いですが、ゴジラも若大将も、クレイジーの賑やかしとして登場しているわけで、いかに当時のクレイジーキャッツの人気がすごかったか、わかろうというものです。

ちなみに、今考えるとありえないのですが、バンドのジャニーズや、新人時代のザ・ドリフターズもちょい役で出演しています。

所ジョージさんを怒らせた曲

さて、大ヒットした「スーダラ節」をはじめ、クレイジーキャッツの楽曲は、元バンドメンバーでもあった萩原哲晶さんか、宮川泰さんの作曲によるものが大半でした。当然、全盛期を知るファンからすると、このお二方は「絶対神」的な扱いになることは想像に難くありません。

しかし、後々クレイジーキャッツの再ブームがおきてからは、「絶対神」以外の作曲家も参入してきました。その1人が「針切りじいさんのロケンロール」を手掛けた大瀧詠一さんだったのです。大瀧さんは当然クレイジーキャッツの「リアルタイム世代」でしたので、針切じいさん以前にもクレイジーキャッツに「実年行進曲」「新五万節」という曲を提供しています。

ところが、大瀧さんがあまりにクレイジー信者であるがために、ありえないミスをしてしまいます。それは、オマージュがすぎてしまい、従来の名曲を切り張りしただけの作品になってしまったからです。確かに懐かしいクレイジー節を作ろうとしたのかもしれませんが、逆に時代に即さない作品として悪名を高めてしまったのです。これをして所ジョージさんが「あんなもの、ファンだったら誰でもできる。これ作った人はろくな死に方をしない」と激怒したことはあまりに有名です。

この失敗を踏まえたうえで、新たなクレイジーソングとして大瀧さんが手掛けたのが、「針切じいさんのロケンロール」だったのです。シェブ・ウーリーの「The Purple People Eater(邦題:ロックを踊る宇宙人)」のカバー曲であるこの曲は、訳詞をさくらももこさんが手掛け、大瀧さんは編曲のみでかかわっています(RINKY O'HEN名義)。

正直カバーと言われなければわならないくらいに大瀧詠一さんのイメージにも、植木等さんのイメージにも、そしてもちろん「ちびまる子ちゃん」の作品イメージにもぴったりフィットした会心の作になっており、まさに「実年行進曲」の失態を取り返す「捲土重来」となる一曲になったのではないか、と私は思っています。

この曲を世に出さなかったら、おそらく大瀧さんは死んでも死に切れなかったのではないでしょうか?

捲土重来の一曲

ここからは推測になりますが、さくらももこさんが大瀧さんの楽曲にドはまりした世代であることは疑いようがないと思います。当時、一般の楽曲などほとんど聞いていなかった私ですら、大瀧さんの「EACH TIME」のLPを購入したくらいですからね。2018年現在、50代の人間にとっては大瀧さんこそが絶対神でした。

だからこそ、自作のテーマ曲(OPの「うれしい予感」も大瀧さんの楽曲です)を手がけてもらえるというのは、さくらさんにとっては無上の喜びだったのではないかと私は想像しています。

ちなみに「針切じいさんのロケンロール」ではまる子役のTARAKOさん、シンガーソングライターのイルカさんとともに、さくらももこさんもコーラスで参加している楽しい曲になっています。

正直、さくらさんとクレイジーキャッツについての関連性は調べようがないのですが、大瀧信者であるとともに、遅れてやてきたクレイジー信者でもある私としては、この曲を残してくれたことには感謝しかありません。その感謝の気持ちをいつか書こうと思っていたら、こんなタイミングになってしまいました。

さくらももこさんのご冥福を心よりお祈りいたします。

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