[アニメよもやま話] アニメ的想い出徒然草 超獣機神ダンクーガ
2018/05/15
*視聴者との乖離
今回は1985年に放送された超獣機神ダンクーガのご紹介です。個人的な思い出としては、私が初めてハガキ職人として、アニメ雑誌に載せてもらえた非常に思いいれのある作品です。
このダンクーガのシリーズ構成を担当されていたのは、「宇宙戦艦ヤマト」「六神合体ゴッドマーズ」の脚本や、後に小説「宇宙皇子」を手がけた藤川圭介さん。
藤川さんといえば、80年代に手がけたゴッドマーズを筆頭に、ロボットアニメやSF作品に愛憎劇やメロドラマ要素をふんだんに取り入れた作劇で著名な脚本家ですが、あまりにメロドラマの描写に力を入れすぎる傾向があるため、しばしば視聴者の年齢層と著しい解離を生み出す傾向がありました。
この「超獣機神ダンクーガ」も例外ではなく、当時ハイティーンだった私たちの世代からは熱烈な支持をうけました。しかしながら、本来番組がターゲットにしている低年齢層の男児には、あまりにハードルが高すぎました。
特にダンクーガの場合、主役メカであるダンクーガの登場が第16話になるなど、ロボットものとしてはありえない遅さで、こうした事例も含めて、低年齢層の視聴者を置き去りにしすぎました。
低視聴率で打ち切り
しかも、ダンクーガはゴッドマーズのメロドラマ性を深めた群像劇が中心になったストーリー展開であったため、マーズとマーグの美少年が中心になった悲劇性もより高く描かれ、ハイティーンの熱烈な支持をうけながらも、低視聴率にあえぎ、全50話の予定が全39話に短縮されるなどの不遇を味わいました。
ですが、宇宙戦艦ヤマトや機動戦士ガンダムの時代と違い、超獣機神ダンクーガか発表された時代には、打ち切りアニメが本来の最終回を描く手段がもう一つ登場していました。それがオリジナル・ビデオアニメ(OVA)です。
1985年というのは、ちょうどオリジナルビデオアニメが普及し出した黎明期でもありました。とはいえレンタルビデオ屋でも、80年代前半は一本千円とか普通にかかる時代でしたから、よほどの覚悟がないと、OVAには手が出せない時代でもありました。
ただ、ダンクーガの時代にはだいぶ価格的に廉価になりはじめていました。OVAアニメの「価格破壊」と言われる「OVA機動警察パトレイバー」シリーズ(1988年〜1989年)の登場を待たねばなりませんでしたが、ちょうど過渡期にあたる時代だったのも幸運でしたね。
ダンクーガもハイティーンの人気を背景にOVAにて無事完結しました。この時分がダンクーガの絶頂期だったと私はおもいます。
メディアミックスも・・・
この頃は第二次声優ブームでもあり、ダンクーガを操縦する獣戦機隊を演じた声優さんがそのまま「獣戦機隊」というユニットでコンサートを開いたり、主人公・藤原忍を演じた矢尾一樹さんのアニメラジオ「やってやるぜ情報局」が放送されるなど、今でいうメディアミックス展開が見られました。
現代のメディアミックスは、主に供給側から仕掛けられていますが、80年代くらいまでは、ファンの人気に後押しされてのメディアミックスが多かったのです。
まあ、当然熱量の形も質も違いますよね。今のファン層は、作品を買い支える形で応援しますが、あまり署名運動とかは聞かなくなりましたね。たしかに円盤を買って売り上げに貢献するのも大切ですが、より作り手に対してダイレクトに気持ちを伝えるなら、いろんなやり方があると思います。
今はアニメが生活に身近にある分、「この作品をどうしてもみたい!」という飢餓状態に陥る事はまずないように、わたしには思えてなりません。確かにアニメ専門チャンネルや配信サービスがここまで普及してしまうと、満腹にはなれても飢餓になることはまずないでしょうね。
後にダンクーガ世界の200年後を描いた「獣装機攻ダンクーガノヴァ」という作品も作られましたが、発表が2007年と微妙に旬を逃した時期に作られたため、オリジナルダンクーガの人気をこえるかことは出来ませんでした。
もしダンクーガノヴァがヒットしていたら、今頃パチンコ台になって、代々受け継がれるアニメになりえたかもしれませんね。幸い、登場するロボット群とキャラクターおよびストーリーセンテンスがテレビゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』の数作品に導入されていますので、かろうじて現代でもわからないではないタイトルにはなっていますけどね。