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[万国びっくり映画鑑賞記] 忍者ゾンビ

ゾンビ化した忍者たちに立ち向かうニート青年の戦いを描いたアクションホラー。25歳の誕生日を迎えたアジア系アメリカ人の青年ダミアンは、亡き両親が遺したトランクを開ける。そこには、日本語で書かれた巻物と古びた日本刀が入っていた。巻物によると、日本刀はダミアンの先祖である侍テンシュウのもので、子孫が持つことによりテンシュウと同じ剣技が使えるという。やがて、ダミアンの前に忍者装束をまとったゾンビが現われ……。(あらすじは映画com より)

久々に一ミリも弁護の余地がない映画を見てしまった。これはマニアでなければ到底堪え難い内容だし、いわば見終わったあとに交通事故にあったような何とも言えない複雑な気持ちになる映画。

爽快感のかけらもないアクション映画

「忍者ゾンビ」について、どこかの感想で読んだけど、作るんならむしろアニメにしたほうがいいような厨二的設定が満載で、しかも友情をメインに描こうとしている。その着眼点はいいのだが、問題はこれを実写で、しかも映画スキルがかけらもない人間が作ってしまったこと。その罪は果てしなく重いと思う。

どこからツッコミいれていいやらわからないくらいおかしなところだらけなんだが、まず明智の血をひいた子孫が果たすべきミッションを、なぜ韓国人の父と、日本と中国のハーフである母との間に産まれた、英語しか喋れないアメリカ人クオーターが受け継ぐのか?意味がわからない。

しかも、この韓国系アメリカ人俳優は殺陣が全くできてない。だからやたら安っぽい合成による血糊ばかりが飛び散る割には、アクション映画のキモである爽快感がかけらも感じられない。これは致命的ですらある。せめてチャンバラくらいはちゃんとやれよ!なんのために日本刀持ってんだよ!と終始イライラすることこの上ない。

どうもこの韓国系アメリカ人の主役と、ネパール系アメリカ人だというヒロインが、先祖の明智なんちゃらと、女忍者の二役みたいなんだが、先祖役の時はなぜか音声にまでやたらエフェクトがかけられており、セリフがやたらききとりにくい。聞き取りにくいのに、日本語が下手。

日本語セリフに日本語字幕がついている!

そのせいか?日本語のせりふに日本語字幕がついているという、妙なところだけ親切なのだ。てか、日本人俳優使えば済む話じゃない?どうも主人公のクオーター設定と、アメリカを舞台にするために、各種設定を無理やり捻じ曲げてしまったおかげで、あちこちが破綻しまくっている。

ネパール系というヒロインは本編で、主人公の祖先が書いたという巻物の翻訳までするくらいの日本通で、しかも死んだ兄との繋がりが日本のアニメなんだ、という設定は非常によいのだが、いかんせん使った役者がダメすぎる!こんなやつがそもそもまともな翻訳できるはずがないと私は敢えて断言したい!

致命的に食い合わせが悪い!

何より忍者とゾンビの組み合わせというのが致命的に食いあわせが悪い。そもそもゾンビの動きはスローが基本。逆に忍者の動きは俊敏。もうこの時点で既におかしいのだが、さらにさらに、どう見ても、この忍者、中身が白人としか思えない。しかも単に黒装束なだけで、忍者装束ですらない。

単にゾンビメイクする手間暇と予算をごまかすための黒装束なら忍者にする必要性はないし、そもそも素早いゾンビなんてゾンビの美学から遠くはずれている。ゾンビ映画の怪作は数あれど、「忍者ゾンビ」に関しては、あの世でジョージ・アンドリュー・ロメロ監督も苦笑いするほかないのではないだろうか?

ほかにも、ゾンビとの戦闘シーンで流れるスタイリッシュなハードロックがいちいちカンに触るし、本当にどこからどうみてもゴミでしかない映画。それが「忍者ゾンビ」である。時間があまって仕方ない人以外は観ないことを強くお勧めしたいと私は思う。









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