追憶のscreen はじめての映画館、はじめての憎悪
はじめて映画館にいったのは4歳の時である。場所は今はなき小倉の東宝会館。なぜ小倉なのかというと当時は東宝直営の映画館が下関には存在していなかったからだ。
そもそも家族で自分の好みが優先されることはほとんどなかったし、家族で出かけるときは父の趣味が最優先されていた。それゆえ、約48年前の記憶であるにもかかわらず鮮明に記憶されているのだ。
みたのは「怪獣総進撃」と「三大怪獣地球最大の決戦」の二本立て。たぶんまだ怪獣映画人気が衰えていなかった時代だけに、再上映だったと思うがさすがにそこまでの記憶は定かではない。
「三大怪獣」は1964年製の映画なのでここに初登場する宇宙怪獣キングギドラは私と同い年にあたる。ちなみに本家ゴジラは1954年に第一作が公開されているので、10歳上、10歳下は1974年公開の「ゴジラ対メカゴジラ」のメカゴジラとキングシーサーになる。
こういう覚え方をしているせいか?好事家からも「生まれ年を会場で例えるな」というお叱りをたにいただくのだが、これは私個人が悦に入って楽しんでいるので、人からどう思われようが知ったことではない。
さて、当時からすでに怪獣というものに憧れと畏敬の念を抱いていた私はこれで火がついてしまい寝ても覚めても怪獣のことしか頭にない子どもへと成長していく。
そのありさまがあまりにひどかったのか?両親はまっとうな子どもに育てようと、私を怪獣やヒーロー、怪人らから隔離するためにあの手この手で攻めたててきた。
それは自分にとっては耐え難い話で、ここから両親は私にとっては「怪獣映画に連れて行ってくれた人たち」から「私から怪獣を奪おうとする相手」へと変化してしまう。時にそれは対両親に対しては憎悪の感情となり、時にそれはモチベーションとなって自分の愛すべきものを守るために孤独な戦いを決意した瞬間でもあったのだ。