[心理×びっくり映画] 万国びっくり映画鑑賞記・ゾンビーバー
2016/10/18
あるトラックに積まれた汚染廃棄物がトラブルによって、ビーバーの住む湖に落下。その近くにキャンプでやって来た仲良し女子3人組が楽しんでいると、それぞれの恋人や元彼ら男性たちが乱入し、一行は能天気に浮かれ騒ぐ。そんな折、浴室に凶暴なビーバーが現れ殴り殺すが、捨てたはずの死体が翌日見当たらず、逃げたような足跡が残っており……。
たぶん狙って作ったZ級映画だと思われる。狙わないとゾンビーバーがあんなに「きちんと」動くはずがない。動かないことで言えば「ゾンビVSチアガール」のゾンビリスの方が何百倍も酷いし。
ゾンビ映画の定番を踏みつつ、グロコメディとしてはなかなか的を得てるし、何より出演者が実に楽しそう(終劇後のNG集がついているのがミソ^^)。エロあるし男女のカップルが山奥にキャンプに行くし、電波届かず圏外だし謎のハンター出てくるし、結局全員死んじゃうお約束感いっぱいだし。
そんな登場人物とストーリー。そしてゾンビ化してもどことなくかわいいゾンビーバー(笑)
これだけゾンビ映画とZ級映画にリスペクトを払った映画はなかなかないと思う。
だいたい、ゾンビーバーにかまれてゾンビ化するだけでなく、ビーバーの習性や歯まで伝染するっていう発想がばかばかしすぎて最高である。こういうのを真剣に考えてできるのはなかなかできることではない。
とにかくゾンビになるだけならまだしも出っ歯化して人を襲う(しかも人間だけでなく噛まれたクマまで出っ歯になっているという芸の細かさ!)というのは、ゾンビ映画史上類を見ないと思うし、一人助かった登場人物を鹿と同じ殺し方にしてしまうあたりも皮肉がきいていて好きである。
極めつけはエンドロールで流れるゾンビーバーの歌!これが雰囲気のいいジャジーなメロディに、映画のあらすじを全部バラす歌詞をのせているという、なかなか掟破りな(しかもネタバレ注意って歌詞の中に織り込んでいるし)技がファンキーでイカレている。
この映画作った人は本当にこの手の映画が好きすぎて自分で撮ってみたくなったんだろうなあ。でも自分で作ると普通の映画になっちゃうんで、あの狙っては決してできないような、万国びっくり映画独特のなんともいえない超展開レベルにはいたってないかな?
しかし「ゾンビーバー」というタイトルにつられて見に来る我々のような「愛好家」の好奇心は全部みたしてくれているので、欲を言えば中途半端に動くゾンビーバーをもっと動かなくするとかしてもよかったかもしれない。ただモグラたたきのように床から現れるゾンビーバーには一本取られちゃいました。
ラストの全地球がゾンビーバー化するかもしれないようなオチは、むしろにおわすより本当にゾンビーバーであふれた地球を見てみたい気がするので、壮大な展開になるかもしれないけどあえて続編が見てみたいと思う。
まじめな部分にポイントを置くと、意外とゾンビ映画のセオリーは忠実に守られているし、スプラッター具合もかなり思い切っているので、「血が足りない!」「もっとはらわたを出せ」という向きも満足できると思う。
血もそれなりに飛び出すし・・・・ステレオタイプのバカ若者を演者全員が好演しているのもポイントが高い。
あえてこの映画に足りない点を挙げるとしたら「低予算感」だと思う。わざとやってる分「そこまで(お金には)困ってないよね」というのが透けてみえてしまう。
だからバカ映画はバカ映画なんだけど、アルバトロスとかにあるような路線を期待していると、意外と普通の映画に見えてしまうかもしれない。
でも、これからB級~Z級映画をみてみたい方の入門編としてはお勧めできる映画だと思う。