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[心理×音楽コラム] 200%元気がもらえる心理学的音楽徒然草(13) ガンダーラ

本日はテレビドラマ「西遊記」のお話です。1978年〜80年にかけて放送され、堺正章さんが孫悟空を演じ大ヒットしました。

この「西遊記」で三蔵法師を演じられたのが、故・夏目雅子さんです。ご承知の通り、三蔵法師は男性なんですが、当時その三蔵法師を女性が演じるというのはかなり話題になりました。

しかし、実は三蔵法師の女性化には「先例」があります。それは1967年放送開始された「悟空の大冒険」です。

原作は手塚治虫さん作、「ぼくのそんごくう」。当初は原作に近い形でアニメ化されるはずでした。しかし、これに意を唱えたのが、総監督の杉井ギサブローさんでした。

完成したパイロット版を見るなり「自分の作りたかった物はこれじゃない」と手塚治虫さんに直訴し、根負けした手塚先生に「なら好きなように作って良いから」と了解を得たのは有名な話です。

ある意味師匠に公然と反旗を翻したわけですが、出来あがった「悟空の大冒険」はスラップスティックなギャグアニメとして世にでました。

キャラクターや話の内容が現代風に風刺されており、三蔵法師が、天竺まで経典を取りに行く、という基本設定を除いて、ほとんど西遊記とも別物です。当時はまだ虫プロ=手塚治虫という時代でしたから、いかに異例かおわかりいただけるでしょう。

故・野沢那智さんが演じた三蔵法師も、いわゆる女性チックな男性としてエキセントリックに描かれていて、他にも劇中の各キャラクターの大げさな表現は、まさに時代を先取りしすぎた部分がありました。

この前提ありきで、夏目雅子版三蔵法師が誕生したのではないかと私は想像しています。

私的には幼少期に見た悟空の大冒険があまりにインパクトが強すぎましたし、その後ザ・ドリフターズ出演の人形劇「 飛べ!孫悟空」の登場で、ますます西遊記=スラップスティックコメディという認識が強くなっていったわけです。

夏目雅子版の西遊記は、こうしたスラップスティックコメディの要素からいいところどりしつつ、冒険活劇として新しい西遊記のイメージを作り出しました。

ですから、西遊記ベースの映像化は先達の冒険心を失うことなく、その時代、その時代の西遊記を作り出してほしいと私は思うのです。

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