[心理×音楽コラム] 200%元気がもらえる心理学的音楽徒然草(7) 地球を護る者
今回は先だって亡くなられた、キース・エマーソンに哀悼の意を表して「地球を護る者」という曲をご紹介します。
キース・エマーソンという方は世界に先駆けてロックにシンセサイザーを取り入れた革新的ミュージシャンです。プロレスファン的には、現在のワールドプロレスリングオープニングテーマに使用されている「ザ・スコアー」がつとに有名ですが、80年代アニメファンとして忘れてはいけないのが、キース・エマーソンが音楽を担当したアニメ映画「幻魔大戦」です。
この作品は平井和正原作、石ノ森章太郎作画で漫画化されたものが原作にはなっていますが、未完の作品であるため、オリジナルに大胆な解釈を加え、映画として完結した形になっています。
キャラクターデザインに新進気鋭の大友克洋、スペシャルアニメーターに金田伊功という当時としては豪華すぎる組み合わせで、新しい幻魔大戦を作り出そうという熱気に満ち溢れていました。
そんな金田作画の代表的場面としてたびたび登場するのが、富士火口での幻魔対超能力者軍団の死闘であり、ここで劇伴曲として用いられているのが「地球を護るもの」なんですね。
幻魔大戦には原作派、漫画派らさまざまなファンがいて、このアニメ版の出来にも賛否両論あります。しかし、私的にはキース・エマーソンの楽曲に金田作画のほとばしりという、80年代当時でしか実現しえなかった組み合わせが醸し出す奇跡の共演が見られただけで大満足だったのです。
これがあるがために映画「幻魔大戦」を何十回となくみたくらいですから、間違いなく1980年代を代表する作画パートであることは間違いありません。
今もなお、プロレスでキース・エマーソンの楽曲に触れられることは幸せの極みです。亡くなられたことはあまりに残念ですが、作品は永遠に残ります。リアルタイムで体験できた私の世代は後世に彼らの仕事を語り継ぐ使命があるのだと思っています。