[アニメ感想] 2019年秋アニメ完走分感想文 旗揚!けものみち
2019/12/21
最強覆面レスラー・ケモナーマスク。アリーナの大歓声に包まれて、宿敵MAOとの決着をつける世界タイトルマッチのゴングが今、鳴り響いた! はずだったのだが…
試合の最中突如リングの上から異世界に召喚されたケモナーマスクこと柴田源蔵は、アルテナ姫から魔王と邪悪なる魔獣の退治を言い渡される。しかしケモノを愛する源蔵はその依頼を断固拒否!「魔獣だって愛情を持って接してやれば、無闇に人を襲ったりしない!」
彼の真の夢は、ケモノに囲まれてペットショップを経営することだったのだ。源蔵はこの異世界で、輝かしい第二の人生をスタートすることができるのか!?(あらすじは公式HPより)
勿体なかった源蔵のキャラ
物語は、試合中に突然、異世界に勇者として召喚された源蔵が、魔王を退治して欲しいという依頼を無視して、レスラー時代からの夢であるペットショップの開店を目指す、というのが主な流れになっている。
作品としての面白さはそこそこ程度という印象。私的には弱いと思ったのは源蔵のキャラ。異常なほどのケモノ好きということは、ギャグのネタとして繰り返し描かれるのでわかるんだが、それ以外の個性や、人間としての魅力が、あまり感じられないのは致命的に思えた。
ただ強い変人というだけでなく、何かもう少しプラスアルファの部分があると良かったかなあ。「このすば」と同じ作者というだけあって、花子とカーミラなどはコメディ作品のキャラとしてしっかり機能していただけに、源蔵のキャラはもったいなかった。
また、シグレや尻姫なども含め、女性キャラのキャラデザは全体的に良かったし、概ね作画も良好。音楽も悪くなかった。それだけに「もっとできたんじゃないのかな」という気持ちが残ってしまった。
本当に「おしいなあ」
いかんせん「このすば」作者がかかわっている以上、「普通くらいのレベルの異世界アニメ」という出来だと、点数がどうしても辛めになってしまう。中盤ではちょっとネタがワンパターンかなという気もしたので、「このすば」並みにもう少しギャグにバリエーションがあ ったほうが良かったかなあ。
プロレスに関しては監督は全く知らないということで、それなりに研究したり、またDDTプロレスリングの協力を仰いでそれなりには仕上がっていたけど、異世界でやるプロレスというのが、もう少し機能していたらよかったなあと思う。これだけの描写だと異世界でプロレスやる意味があまり見いだせないように思えてならない。
多少厳しめの評価にはなったものの、楽しめなかったわけではない。ただ、色んな意味で詰めがやや甘かったかなというところが残念でならない。プロレスをやりたいがためにアニオリを多くした割には、プロレスの面白さを表現できていないのが、いちいちひっかかってもどかしい思いもした。
このあたりは私がプロレスファンでもあり、また「このすば」のファンであるがゆえに、どうしても心から楽しめなかったということである。制作陣は真摯に作っていたと感じられたので、もしかするとプロレスもこのすばも知らない層の視聴者は楽しめたのかもしれない。
でも、どうせなら自分みたいな層も満足のいく作品にしてほしかった。その素養はたくさんあっただけに、全話観終わって本当に「おしいなあ」と思わずにはいられなかった。