[アニメ感想] 2018年春アニメ完走分感想文 若おかみは小学生
2018/10/05
関織子(おっこ)は、小学生の女の子。
両親を事故で亡くしたおっこは、祖母が営む旅館『春の屋』へ引き取られてきます。部屋で一人、寂しさから思わず泣き出してしまうおっこ。そこへユーレイ少年・ウリ坊が現れます。
「若おかみ、やれや。」ウリ坊はおっこに春の屋のあとをついで欲しいと頼みます。
「旅館の仕事なんてできない…。」とおっこは戸惑いますが、いつの間にか若おかみとしての生活が始まるのでした。(あらすじは公式HPより)
実は児童文学
春アニメで内容共々一番深夜帯の短編アニメには相応しくない作品。昔ならゴールデンタイムで実写ドラマになっていても不思議ではない。古くは「おくさまは18歳」あたりとか、ずっと下って月曜ドラマランドとかのテイスト(絶対意識して作ってはいないだろうけど)が感じられる。
とはいえ、「若おかみは小学生」の原作は「児童文学」であってライトノベルではない。ここがミソで、実は児童文学というところに面白さがある。正直もっと浅い時間の放送でもよかったんではないかというくらい、徹底的に子ども目線を意識した作り方だった。
そもそもおばあちゃんの友達だった男の子が幽霊になって主人公に、子どもっぽいちょっかいや、いらない世話を焼いて事件がおこるなんて、平成の世では考えらない。またライバル?の大型老舗旅館の娘が絵に描いたような嫌われキャラというのも、今の世では考えもつかない。ある意味一周回って新しいとさえいえるのではないだろうか?
なぜこう思ったのかというと、萌え系アニメだとこういう設定は割とありがちだからだ。でも何度も言うようだけど、これは児童文学。あくまで小学生の若おかみ「おっこ」が成長していく物語である。
劇場版の監督は宮崎駿門下!
よって「大きいおともだち」に媚びることなく、実に全うで健全に作り上げた「若おかみは小学生」。気が付いたら毎週楽しみにしている作品のひとつになっていた。15分という枠の中で精いっぱい見せられるドラマをひたすた丁寧に作ったらこれほどの佐品ができるんだな、ということを改めて教えられた。
後半ではライバルだった真月(まつき)と協力して、若おかみ研修で難題と立ち向かっていくおっこのたくましさには、半年で確実に成長した彼女の姿があった。確かに題材としては新しいものはないかもしてないが、それをきちんとやりきったことで、21世紀の現代に通用する物語にしてしまった。
ちなみに若おかみおっこの声は子役で、中学生の小林星蘭さん、対する真月役はベテラン・水樹奈々さん!この2人が小学生役をやっているというのもアニメならではというかなかなか面白い。
そして、シリーズ放送中に劇場版の発表があり、これも驚かされた。しかも起用されたのが「茄子・アンダルシアの夏」以来15年ぶりとなるベテランアニメーター・高坂季太郎氏だったから二度びっくり!確かに、宮崎駿門下の高坂監督と児童文学との相性はいいだろうけど、師のたどってきた道をなぞるような仕事にもなりかねない。
それを思うと、宮崎監督とは違うアプローチを示してくれそうで、これはこれで楽しみでならない。今期の中ではダークホース的な良作だったと思う。お見事でした!