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[アニソン] アニメ的音楽徒然草 氷の世界

2018/09/13

史上初のLP販売100万枚突破

今回はアニメ「夏のあらし!」(2009年)と、「テニスの王子様」(2001年~2005年)でカバーされた、井上陽水さんの至高の名曲、「氷の世界」をご紹介します。そもそも「氷の世界」は様々なアーティストが歌っています。意外なところでは荻野目洋子さんもこの曲をカバーしています。また筋肉少女帯の大槻ケンヂさんがこの「氷の世界」を大変気に入っているというのは、有名な話です。

実は私、「テニスの王子様」(テニプリ)は途中までしか見ていなくて、「夏のあらし!」も未見なんですが、調べてみたら色々思白いことがわかったので、今回記事にしてみました。

その前に、オリジナルの「氷の世界」について、少しお話しておきましょう。「氷の世界」は、1973年に発売された井上陽水さんのアルバム「氷の世界」の表題曲として、その5曲目に収録されています。

アルバム「氷の世界」は、100週以上BEST10に留まるなどロングセールスを続け、発売から2年後の8月に日本レコード史上初のLP販売100万枚突破の金字塔を打ち立てています。LPレコードというのはEPレコードの4倍以上の価格差があった時代にこの記録ですから、とんでもないことなんですね。また、オリコンのLPチャートでは5度も1位に返り咲くという珍記録を持っているという、色んな意味で凄い曲です。

言葉選びのセンスが桁外れに天才的

凄いのは記録だけでなく、その歌詞もまたかなり独特です。陽水さんの作詞法は、日本語辞書から自身が面白いと感じた言葉をピックアップするというかなり変わった手法が用いられています。

その言葉選びのセンスが桁外れに天才的なのが井上陽水の陽水たる所以でしょう。だから、テニスの王子様に出てくる跡部景吾のキャラクターソングとして使われていた「氷の世界」はかなり異質なキャラソンになりました。

テニスの王子様で跡部景吾(諏訪部順一さん)が歌う「氷の世界」は、彼のセカンドソロアルバム「The Ultimate Hard Worker」の初回限定版のボーナスディスクに収録されています。

「テニスの王子様」という作品を、一応説明しておくと、アメリカ各州のJr大会で4連続優勝の経歴を持つ天才テニス少年である越前リョーマが日本に帰国して、名門「青春学園中等部」に入学するところから物語は始まります。全国制覇を目指す青学テニス部に入部し、1年生にしてレギュラーとなったリョーマが、様々な対戦校やライバルたちとの試合を経て成長していく・・・というお話です。

これだけだと、聞こえはいいのですが、そこはやはりジャンプマンガ。だんだん中学生ではありえないような「トンデモ技」のオンパレードになっていき、もはやテニスではない別の何かになっているという、ジャンプとしては「正統派」なマンガでもあります。

出てくるキャラクターがいずれも絶世の美少年ぞろいということもあって、女性人気も高く、アニメもミュージカルも大人気。2008年にいったん完結したのちに2009年3月から第2シリーズ「新テニスの王子様」として「ジャンプスクエア」に掲載紙を移して連載再開しています。

テニスの皮を被った超能力マンガ

ちなみに跡部景吾というキャラクターは、ウィキペディアによると、

「オールラウンダーの中のオールラウンダー」と呼ばれる凄腕プレイヤー。自ら「美技」と称する得意技を数多く持ち、決め台詞は「俺様の美技に酔いな」。

毎年、氷帝学園に多額の寄付を行っている「跡部財閥」の御曹司。尊大で好戦的な性格のナルシストだが、面倒見のよい一面もある。また、勝負ごとにおいては冷徹な一方、テニスや仲間に対しては熱い感情を覗かせる。

高いカリスマ性を持ち、入学当初から部長を務めている。大変ストイックな努力家であり、豊富な練習量でスタミナを身につけてからは、相手をひれ伏させ楽しむために持久戦を挑むプレイスタイルに変化した。

関東大会決勝戦でリョーマと真田の試合を見たことで奮起し、特訓を重ねた結果、「タンホイザーサーブ」や「氷の世界」などを編み出した。(一部抜粋)

跡部は泣く子も黙る「氷帝学園」のテニス部部長であることから単なる氷つながり・・・・かと思ったんですが、上記のように跡部の必殺技には「氷の世界」という名前のものがあったんですね。

とはいえ、先程も書いたように、独特すぎる世界観がある井上陽水さんの世界と、跡部景吾のキャラクターはあまりに水と油すぎるのではないか、と思うのです。そうは言っても跡部役の諏訪部順一さんが、原曲のイメージと跡部のキャラクターとに苦心しながら、形にはなっているので、このカバーは逆に凄いとも言えますね。

そもそも「テニスの王子様」自体が、「テニスの皮を被った超能力マンガ」みたいなもの、という認識がある私としては、「氷の世界」の際立った歌詞もむしろ一周回って、テニプリの世界観にフィットしているかもしれないな、とさえ最近では思うようになってきたのです。

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