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映画鑑賞記・亡国のイージス

07年4月26日観賞。

前年5月に放送したものを視聴。体調はあまりよくなかったのだが、阪本作品に対する信頼感があったので、見てみることに。期待通り息をもつかせぬ攻防戦に見入ってしまった。

こういう政治的な側面を持つ阪本映画は既に「K.T」などが存在するが、その路線を辿ったと言うより、「亡国のイージス」という入れ物が先にあって、そこに阪本順次という人を監督に抜擢したという感じがした。つまりは、作家の色が割合薄めに感じたと言うこと。

比較するのもおかしいのだが、「どついたるねん」とか「ぼくんち」で見せたのとはまた違う色合いなのは確か。これも阪本作品には違いないのだけれど、どちらが好きかと言われれば
やはり大阪の人情や、粗雑な感じを描いた映画の方が好みかな。

とはいえ、けっしてつまらなかったわけではなく、重いテーマを扱っている割にはエンターテインメント性も失っていないし、映画としてのバランスも良かった。

阪本組といっていい俳優さん達を含めても新鮮な顔ぶれが揃っていたのと、ヒロインがほとんどでてこないという点が今までの作品とは決定的な違いかな。

そう、阪本監督の映画の魅力は、割と通り一遍だけど、主人公を支えるヒロインにもあると思うので、その分割り引いてみてしまったのかもしれない。まあイージス艦を女性に見立てるのはマニアでもない限り不可能ではあるのだけれど(笑)

あと一つ決定的に違和感を感じたのは、イージス艦のラスト。もろCGってのが見えちゃっている。

せっかく自衛隊の前面バックアップがあって、
迫力ある映像が映し出されているのに、あそこだけ「惜しい」と感じずにはいられなかった。

日本映画の難点というか、限界なのかな。
ハリウッドなら決してそこの手間と金は惜しまないだろうにと思うと、何か悔しい気分にもなったのだ。

そりゃ確かに船の最後が見せ場であるはずがないし、テーマ先にありきなのはわかってはいるのだけれど、一つの物語の象徴が退場するに当たって、そこの部分が物足りなく見えてしまうのは、やはりマイナスだと思うのだ。

阪本映画のシンパとしては敢えて苦言を呈することになってしまったが、それでも悪い映画ではなかったし、十分楽しませてもらった。それでもなお欲を言うのが消費者であり、どこまでもどん欲なのは鬱陶しいかもしれないけど、許していただきたいのだ。

-映画鑑賞記