[心理×映画] 映画鑑賞記・追いつめられて(NO WAY OUT)
16年6月17日鑑賞。
海軍将校のトム・ファレル中佐は、アメリカからマニラに戻る途中、甲板で見張っていたクルーが高波にさらわれた所を救助する。新聞記事でこの救助劇を見たデヴィッド・プライス国防長官は、トムをペンタゴンに転属させる。
パーティーで出会ったスーザンと再会したトムは、スーザンがプライスの愛人だったことを知る。そんな夜、プライスがスーザンを殺害。事件の捜査を任されたトムは、徐々に殺人犯扱いされてしまう。(あらすじはwikipediaより)
87年製作のアメリカ映画。ケビン・コスナー全盛期の主演作。
ケビン・コスナー自体は特に興味なかったので今まで特に意識することもなくスルーしてきた。
なぜか縁がないとこういう形になるんだけど、リアルタイム世代ながら知らない俳優が多いのは、かなり自分の趣味が偏っているからだろうなあ、と思う。
でも当時のケビン・コスナーは生理的に苦手なタイプだったし、若いころはこういう肉食でガツガツいく筋肉脳系の軍人とかいうのは一番お友達になりたくない人種だったんで、たぶん誘われてもこの映画を見には行かなかったと思う。
さて、本作はアメリカ海軍の二枚目軍人トム(ケビン・コスナー)が不倫の渦中に巻き込まれて、愛憎入り乱れるドロドロ劇なのかな?と思いきや、最後にどんでん返しがあるというストーリー。
冒頭のバブリーなシーンがいかにも80年代後半といった感じで、当時社会人デビューしている私的には前半の不倫カップルのイチャコラぶりにイライラしていたが、このシーンか冗長に感じられるのは多分策略的なものだろう。
それとは別に前半フィリピンのショーパブでダンサーが踊る際のBGMが、「メジャーリーグ」の「ワイルドシング」(のアレンジバージョン)だったのは何か意味があったのだろうか?ちょっと気になってしまった。
まさかケビン・コスナーも本作の2年後に「フィールドオブドリームス」で主演するとは思ってなかったかもしれないので、広い意味でなぜか野球つながりになっているこのシーンは、リアルタイムで見ていたら分かり得なかっただろう。
余談ながら昔、プロレスラーの武藤敬司がアメリカ修行時代に立ち寄ったこの手のお店で、ダンサーが、BGMに自分の入場テーマ曲だったヨーロッパの「ファイナルカウントダウン」を使って踊っていた場面に遭遇。帰国後それが原因で入場テーマ曲を変えてしまった・・・というその筋では有名な?逸話があるのだが、「ワイルドシング」を入場テーマ曲にしている大仁田厚がこの映画を見たら、なんと感想を漏らすのか聞いてみたい気もした。
さて、この作品、おそらく英語がわかると、たぶん演者のアクセントやなまりなどがラストへの伏線につながるヒントになっているのがわかるんだろうけど、残念ながら字幕読んでいるだけではわからないのが残念。
だから途中まで「リア充爆発しろ!」と思いながら見ていたんだが、途中から雲行きが変わり始め、サスペンス風味になり始めてから俄然面白くなるので、前半が我慢できるかどうかで評価がガラリと変わるだろうと思う。
ある意味退屈な前半も後半のスピード感がある陰謀劇も、80年代を切り取ってみせていることには違いない。リアルそうで荒唐無稽な感じがするのも、この年代ならではの空気感だろう。
またこの作品を冷戦終結後に作っていたら多分オチまで変わったに違いないだろう。そういう意味ではやはりこの時代に、この時代のケビン・コスナーで作られたことにも肯定的な意味があったのだと思う。
しかし、そうはいいながら一本くらい主演作をみてそうな気もしたのだが、見終わって調べてみたら、実は私、ケビン・コスナーの主演映画はなんと一本もみてないことが判明してしまった。改めて自分の映画観は相当偏っているなと認識を新たにした次第。
でもこういう機会を得られたということはやはりこのタイミングで彼の映画をみるべきタイミングだったんだろう。こうしてまた未知のスターの足跡を知ることができたので、そういう意味では見て損のない映画だったと思うのだ。