[心理×映画] 映画鑑賞記・空の大怪獣ラドン
炭鉱技師の河村繁は阿蘇付近の炭鉱に勤務していた。ある日、坑道内で原因不明の出水事故が発生。それに続いて炭鉱夫らが水中に引き込まれ、惨殺死体となって発見される殺人事件が相次ぐ。当初は河村の友人で行方不明の炭鉱夫、五郎が犯人と目されていたが、まるで日本刀で斬られたかのような被害者の傷口に警察も頭を悩ますばかりだった。やがて出現した真犯人は、体長2メートルを超える巨大な古代トンボの幼虫・メガヌロンだった。村に出現したメガヌロンに警官のピストルでは歯が立たず、河村は警察が要請した自衛隊と共にメガヌロンが逃げ込んだ坑道に入る。機関銃によって一旦は怪物を追い詰めるが、発砲の衝撃で落盤が発生、巻き込まれた河村は坑道内に姿を消してしまう。
やがて阿蘇では地震が発生、阿蘇山噴火の前兆かと付近一帯は騒然となる。だが、地震によって出来た陥没口で調査団が発見したものは、落盤事故から奇跡的に生還したものの、記憶喪失となっていた河村であった。時を同じくして、航空自衛隊司令部に国籍不明の超音速飛行物体が報告された。確認に向かった自衛隊の戦闘機を叩き落とした飛行物体は、さらに東アジア各地にも出現、各国の航空業界を混乱に陥れていた。一方、阿蘇高原では家畜の失踪が相次ぎ、散策していたカップルが行方不明になる事件が起きる。若い恋人の心中かと思われていたが、彼らが残したカメラのフィルムには、鳥の翼のような謎の影が映っていた。
入院していた河村の記憶は戻らないままだったが、恋人キヨの飼っていた文鳥の卵の孵化を見たことをきっかけに、失われていた恐ろしい記憶が甦る。落盤で坑道の奥に閉じ込められた彼が見たものは、地底の大空洞で卵から孵化し、メガヌロンをついばむ巨大な生物だった。柏木久一郎博士の調査団に同行して阿蘇に赴いた河村の眼前で、古代翼竜の大怪獣ラドンが飛び立つ。
知らせを受けて発進した自衛隊のF-86Fセイバー戦闘機の追撃を受け、ラドンは佐世保の西海橋付近に一時は墜落したが再び飛立ち、福岡を襲撃した。自衛隊の特車部隊が応戦するものの、さらにもう1頭が出現して街を破壊。2頭のラドンはいずこともなく姿を消す。
「生物の帰巣本能で阿蘇に戻るのではないか」という柏木博士の予測どおり、ラドンは阿蘇火口の大空洞に潜んでいるのが発見される。火山研究所が阿蘇山大噴火の誘発を警告する中、住民の避難が進められ、自衛隊の攻撃準備が進む。(あらすじはwikipediaより)
54年東宝作と来れば近日見たばかりの 「三丁目の夕日」と どうしても比較してしまう。 「ラドン」はもろにその時代の ロケだし、それを元にした 特撮であり、セットであるから、 こっちはまぎれもない「本物」といえる。 それから比べるとさすがに 実物と寸分違わないとはいえ、 「三丁目」はCGゆえに綺麗すぎる感は否めない。
しかし「三丁目の夕日」スタッフは健闘された方だと思う。まあ「ラドン」は主に九州が舞台だから、一概に比較はできない けど、それにしてもいいんです よね。1954年当時の九州の町並みがミニチュアとは言え丁寧に再現されてて....円谷特撮監督の匠の極み、 ここにありって感じで。 でもその町並みはラドンに派手にぶっこわされる (特に新天町、西鉄駅あたりが^^;)...それもはかなくてなおいい感じがするんでこの辺りはぜひじっくりみていただきたい。
ラドンの武器が超音速という術しかないので、どうしても派手なゴジラと比べると見劣りはする。が、その分哀愁あるラストシーン と共に切なさも感じる。 「文句のもっていきようのない被害を被る」人類がやむを得ずラドンを退治するという展開 には心に来るものがあった。
そうそう作品冒頭で メガヌロン出現を地球温暖化と 結びつけていたが、これは 感心してしまった。まあ 結局原水爆実験の結果と 言うことで片づけられて しまったけれど、ちょっと目の付け所が違うかなとも 思ったんだけどなあ。 この時代の東宝特撮は ほとんど放射能ありきで片づけられてしまっている。時代背景を 考えると仕方ないことではあるけれど。 今だともう少し違った形で描かれていたかも知れない。