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映画鑑賞記・ドラッグストア・ガール

09年1月22日鑑賞。

薬科大に通う女学生・大林恵子はある日、同棲中の彼氏が二股をかけていたことを知り、怒り心頭に発し家を飛び出して電車に飛び乗る。車内で泣き疲れてうたた寝しつつ、気づくとそこは、見知らぬ郊外の街・摩狭尾(まさお)。何気なしに近日開店の大型ドラッグストア「ハッスルドラッグ」に立ち寄り、薬剤師の小松兄弟に経緯をぶちまけてすっきりした恵子は、成り行きでその店でバイトを始めることになる。

一方で周囲の小売店は、ハッスルドラッグに客を奪われるのでは……と不安に怯えていた。薬屋、パン屋、酒屋の主人、寺の僧侶、ホームレスの5人が結託し、ハッスルドラッグ開店日に営業妨害を仕掛けることを計画。だがパン屋の沼田が恵子に一目惚れしてしまい、計画は頓挫。それどころかオヤジたちが揃いも揃って恵子に惚れ、あっという間にストアの常連客となる。

やがて恵子が大学のラクロス部に所属していることを知った彼らは、恵子に近づきたい一心で、ルールも知らぬまま、あり合わせの道具で見様見真似でラクロスの練習を始める。彼らの噂を聞きつけた恵子は、素人同然の彼らを見るに見かね、自らコーチを買って出る。オヤジたちは憧れの恵子と一緒にプレイできるのを大喜びするが、それも束の間。外見とは裏腹に体育会系丸出しの性格の恵子のコーチは、オヤジたちには過酷なスパルタだった。それでも彼らは、街に自生する竹でクロス(ラクロス用の道具)を自作し、ここに「まさおバンブーボーイズ」が誕生した! やがてクロスは街の人気商品として、スポーツと地場産業のコラボレーションとしてTVでも取り上げられるほどの話題となってゆく……。

宮藤官九郎脚本、本木克広監督による一風変わったおっさんのラブストーリー。榎本明、六平直政、三宅裕司、徳井俊、伊武雅刀らといった配役が絶妙で面白い。

田中麗奈がヒロインとしてラクロス監督として場を盛り上げていくのだけど、途中からラクロスの魅力に目覚めた中年たちががんばりだしてから、話しは加速度的におもしろくなっていく。実はクドカン作品は「ゼブラーマン」しか見たことがなくて(09年当時)、これが2本目だったのだけど、今回は「あたり」だった。

クドカン色と言うより本木監督色の方が強く出ていたかな。小さな親父の下心が、いつの間にか町おこしになり、町全体を巻き込んで大きな輪になっていくのが本当に痛快でおもしろい。これもぜひおすすめしたい。

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