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映画鑑賞記・必殺仕掛人

06年11月25日鑑賞。

映画として3本作られている 「仕掛人」の第一作。 テレビシリーズの大人気を受けて制作された、劇場版第1弾になる。ということで、テレビ版が先にあって劇場版が後になっている。各種設定は、テレビシリーズを元にしている。が、梅安と左内のキャストはテレビ版とは変更されている。本作では梅安は田宮二郎さん、左内を高橋幸治さんがそれぞれ演じている。半右衛門はテレビ版と同じく、山村聡さんが演じた。原作「おんなごろし」と短編「梅雨の湯豆腐」をミックスしたストーリー。なお、梅安が結果的に手に掛けることになる実の妹のお吉について、原作、テレビ版とは異なり、梅安が自分の妹だと最後まではっきり悟らないといったアレンジがなされている。

「必殺、というより仕掛人・梅安の物語といった方が 適切な映像化もしれない。ただこれが後の必殺シリーズ の原点であることは、 いかに原作者に嫌われようと疑いのない事実だと思う。「必殺シリーズ完全百科」はこの映画三本については特に触れられていないようなので、テレビとは切り離した方がいいのかもしれないけど。よりハードボイルドで 無情な仕掛人の世界を梅安さんの悲劇的トラウマをもって描ききった佳作。

単に女に弱いのではなく、過去に根ざしたものがあるから女を「殺しにくい」と言う事実は この映画を見て初めてわかった。背景の黒を基調とした影を有効に使った演出も、もうすでにこの時点で完成の域に達している。二重三重に入り乱れる悪の陰謀といい、わずか一時間半の間に、何人殺しても足らないじゃないかと言うくらい「仕掛」のシーンが出てくるのには驚いたが、後に明るいエンターテインメントに走った「必殺!」映画版とは 大きく趣を異にする。

やっぱり別物と思ってみた方がいいのかもしれないのかなあ、などと思ってみたり...。近年の再放送を含めて色々感慨深いものがあった。

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