万国びっくり映画鑑賞記・0093女王陛下の草刈正雄
2016/10/18
09年8月8日鑑賞。
草刈正雄はダンディな二枚目俳優として知られるが、その正体は女王陛下の諜報部員・コードナンバー"0093"である。かつて芸能界に潜む悪の組織を壊滅すべく、駆け出しだった0093は無名の俳優「草刈正雄」として潜入捜査を行い組織は壊滅した。しかしその美男ぶりからあまりにも有名になりすぎたため、それを逆手に取って正体を隠すために芸能活動を続けていたのだ。もっとも、長らくスパイとしての活動が無かったために本人も忘れかけていた。
しかし、そんな彼に20年ぶりの新たな指令が下される。『イギリスの研究所から盗みだされ、日本のIT企業の社長・三輪嘉門が入手した「洗脳信号ディスク」を回収せよ。』というものだった。三輪は新たに開局するテレビ局を通じて視聴者を洗脳する事で、自らが独裁者となる事を目論んでいたのだ。0093は早速活動を開始したが、そんな彼の正体を暴くべく、日刊スポーツの女記者・霧島ハルキがスクープ狙いで追いかける。しかも「草刈正雄」の愛娘・麻有は父親の反対を押し切って女優を目指し、三輪のテレビ局のイメージガールに選ばれてしまう。スパイとして、スターとして、更に父親として、0093=草刈正雄の戦いが始まる。
(あらすじはwikipediaより抜粋)
実は今日だけでこの映画、三回見た。一回は通しで見て、あまりの出来に大興奮してしまい、「これは描き止めねば!!」と思い立ち、合計21枚のイラストを、何度も一時停止しながら、2時間半かけて色塗りまですませた。ここでもう手が痛くなっていたのだが、今度は文章を書かねばならない。もう泣きながらキーボードを打っている。
どうしよう....今年まさか、こんな凄いモノに当たるなんて、あまりに運が良すぎる。はっきり言って、この作品に惚れた!!!!とにかく史上空前の「バカ映画」である。
それも「シベ超」のように偶発的な笑いを取るのではなく(余談ながら、草刈さんが「草刈正雄」役で、水野閣下がシベ超Tシャツを着て「水野晴男」役で、会話をする夢のような2ショットがあるのだ!)、ワンカット、一瞬でも見のがしたら、絶対なんかやらかしているのだから、目が離せない。
もう一回目は笑い死にしそうになるくらい笑って、息も絶え絶え。2回目は早送りとは言え、その確認もあって見直さざるを得なかった。メモを取りながら見るなんて、普通まずしないんだけど、この映画に関しては、そうでもしないとポイントを忘れてしまいそうで、怖かった。
そして「絵」として書き留めるために3回目の鑑賞(早送り)が必要だった。キャストも油断できない人ばかりで、ネタバレになるからあまり言えないんだけど、気象予報士の森田さんが、草刈さんの「ボス」役で、出ていたり(それも演技が結構うまい!)、敵役として嶋田久作さんが存在感たっぷりに登場するのだが、みんなしれっとして「笑い」をとっていくものだから、見ているこっちはたまったモノじゃない。
とにかく映画自体が「ボケ倒し」ているので、10秒に一回は十分突っ込みが入れられる。こんな映画見たことがない。しかも、相手の手のひらにのっからされて、つっこまずにはいられなくなるなんて、ずるいにもほどがあるっ!!ギャグは全部オリジナル。唯一のパロディは、今更感たっぷりの「007」と来ているモノだから、どうにもこうにも....
でも、一番のポイントは、この映画の主役に「草刈正雄」をキャスティングしたことだろう。はじめに草刈さんありきで、ストーリーが作られていたのか、あとづけで草刈さんがはまったのか、そこのところはよくわからないけど、少なくとも異常なまでにノリノリだったのは画面からも伝わってきた。まさに「草刈祭り」といっもいい。
ストーリーと言えば、意外とストーリー進行もきちんとしていて、決してギャグにおんぶにだっこされている映画ではないという、ここも凄いところ。それから女性陣がみんな綺麗なのね。だけど.....日刊スポーツ(実名で登場)記者なのに、「東スポ」みたいなネタを追っかけて、ピュリッツアー賞をねらっている女性記者。IQがものすごく高いのに、本職よりマネージャー業にはまってしまった、女性スパイ。芸能界入りを夢見る「草刈正雄」の一人娘が一番まともそうだけど、実はこいつも....
とにかく出てくる全員が大バカなのだ。誰一人としてまともな人間がいない。みんなしてボケているので、突っ込みはお客がやらざるを得ないシステムになっている。こんなのアリか??加藤淳也.脚本、篠原誠.監督のコンビはもう無敵だ。どんなお笑い番組より凄い映画を作ってしまった。最後に、テロップが流れるのだが、ここでも許してくれない。
映画館で見たら、たぶん、テロップが流れ終わって、劇場に明かりがついても「まだ、なんかあるんじゃないか?」って気にさせられたことだろう。いや、マジで。
007フリークの方でこれを未見の方にはぜひ見ていただきたいと思う。のちのち大河ドラマの真田幸昌で大ブレイクした草刈さんの魅力がはじけんばかりに詰まった一本だと思う。