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映画鑑賞記・パッチギ

1968年。京都にある府立東高校2年生の松山康介は、常日頃から争い事の絶えない朝鮮高校(朝高)にサッカーの練習試合を申し込むことになった。康介と友達の紀男はしぶしぶ朝高を訪れるが、そこで康介は音楽室でフルートを奏でていた少女・キョンジャに一目惚れする。しかしあろうことかキョンジャの兄アンソンは同校の番長であった。どうしてもキョンジャと仲良くなりたい康介は韓国語を必死で習得すると同時に楽器店でギターを購入。キョンジャが演奏していた「イムジン河」を覚え彼女の前で演奏することを決意する。

「チルソク」と比較するとバイオレンス色は強いが、なぜかテロップに文科省の名前が。「イムジン河」を放送禁止にしたのも、結果的には国家権力のはずなのに何かおかしかった。

言いたいことは3つ。

まず思想色の強い映画ではなかったこと。やっぱり井筒監督はアンタッチャブルなものでも十分エンターテインメントにできる人だなと言う感想がひとつ。

二つ目は「チルソクの夏」もそうだったが、共にフォークが効果的に使われていたのは印象的。年代は「パッチギ」の方が少し古いように思うが、ほぼ同時期を舞台に国境を越えた恋愛を描いたという点でも対照的。

3つ目は自分の中で「チルソク」より「パッチギ」の方を上位概念として勝手に位置づけていたのだが、見終わってみれば両方とも大好きになれたこと。これは意外だった。

重いテーマを頭からたたきつける(「パッチギ」ではそのまんまのシーンも多かったけど^^;)感じではなく、双方とも実は心に染み込ませるような映画になっていたことも共通していたと思う。素晴らしい映画だった。

余談ながらヒロインの一家が下関、徳山を経て京都にたどり着いている下りが台詞で説明されている。

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