[心理×映画 ] 映画鑑賞記・チャップリンの街の灯
05年3月17日鑑賞。
今更私如きが語るのもどうかと思うくらいの名作でございました。
勘違いとすれ違いの巧妙な展開に、ギャグをそこかしこにちりばめていて全然飽きさせない。今更語り尽くされてはいるけれど、ボクシングシーンは白眉。リングで笑い取る人達は見習わないと。
正直ここまでレベルの高い「楽しいプロレス」はそうお目にはかかれない。
ロープの反動利用してタックル気味に頭からぶちかまし入れていくシーンもある(リング内でのドラゴンロケット!)。旧作「拳闘」を練り直して使ったシーンだそうだが、実に見事である。作り込んでいくという真剣勝負の凄みがここに極められている。
そして目が見えるようになったヒロインと、誤解から再び落ちぶれたチャップリンとの再会のシーン。
見えない彼女のために懸命に金持ちを装う主人公、姿が見えて一度は軽蔑のまなざしを送るも、触った手の感触で真実に気が付いたときの彼女の表情。
「YOU」(訳では「あなたでしたのね」となっている)という一言の余韻の素晴らしさ。この勘違いから真実に気が付くまでのシチュエーションは完璧すぎ。
このシチュエーションをそのまま使っている作品も数多いが、これはアレンジしようがない。そのくらい作り込まれていて、改竄の余地がない。これは見事としかいいようがない。
舞台裏では、女優とチャップリンの確執もあったそうだが、演技に情熱のない女優のシンプルさが逆に奏功しているというのも、凄い話である。