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[心理×映画]映画鑑賞記.第3の男

10年6月29日鑑賞。

作中のハリー・ライムによる名台詞、「スイスの同胞愛、そして500年の平和と民主主義はいった
い何をもたらした?鳩時計だよ」は、グリーンが執筆した脚本の草稿には存在せず、ライム役を
演じたオーソン・ウェルズの提案によるものなんだそうだ。

ウェルズの起用は結果的に正解だったとされるが、撮影中ウェルズは様々なトラブル(ウェルズがウィーンに到着するのが遅れたために仕方なく彼の代役を立てて撮影したこと、映画のクライマックスである下水道での追跡シーンに出演するのを拒否したことなど)を引き起こしスタッフ
を悩ませた。

いやー、オーソン.ウェルズってなんとなくいい人だと思っていたんだけど、結構本性も悪だっ
たんですね^^

まあスターのわがままというのは昔からよくある話ではあるんだけど、直感が冴えていたんだろ
うなあ。

脚本に直し入れるセンスの良さとか抜群だし、実際見ていてウェルズが付け足した台詞がもっとも強烈にのこっているし。

しかし恵比寿駅のジングルというかビールのBGMでしかこれを知らない人にとっては、こんな重
い話だとはつゆほども思わないに違いない。ただ、このどことなく軽快で、それでいて、哀愁の
あるツィターをメインにもってきたのは大正解。

オーケストラ盤で聞いてもたぶんそんなに迫力はでなかっただろう。

たぶん想像だけど、押井監督の「犬狼」シリーズなどで見られる下水道を使った壮絶な追撃戦
の展開や、下水道を使ったアクション映画の大元は、全てここにあるように思える。

悲しい余韻で幕を引くのもすばらしい。これは軽快なオープニングと対になっている感じがし
た。

でも後味の悪さのある名画ではある。

-映画鑑賞記