映画鑑賞記・ぼくんち
05年4月29日鑑賞。
親代わりの姉と2人の幼い兄弟を主人公に、極限の貧しさの中で健気にたくましく生きる姿を、過激なセリフを散りばめ笑いと涙で綴り高い評価を受けた西原理恵子の同名コミックを「どついたるねん」「KT」の阪本順治監督が映画化。主演はTVドラマ「ナースのお仕事」シリーズの観月ありさ。
一太と二太の兄弟は、うらぶれた水平島の中でも特にビンボーな人間たちが集まっているうらの港に住んでいる。彼らには元から父親がいない上、母・今日子はもう半年も家を空けている。その母がある日、離れて暮らしていた娘のかの子を連れて帰ってきた。今日子はまたすぐ出ていってしまったが、姉かの子が母代わりとなり、水平島のおかしな面々に暖かく見守られながら、兄弟にとっては貧しくも楽しい生活が始まる。だがそれも束の間、今日子が新しい男に貢ぐため家の権利書を売却してしまい、3人は家を追われる羽目になってしまう…。 (あらすじはallcinemaより)
大阪を描けばこの人の右に 出るものはいないと私は 思っている、阪本順治監督作品。今回は関西の田舎の風景を 描いているのだが、下町も「らしい」けど、もっと 「らしい」風景がきちんと 描かれている。
基本的にコメディなのだが、 笑わせるところは笑わせ、泣きは泣きではいる。 タイミングにはずし無し。 キャスティングの妙も健在。 各役者さんが実にいい演技 をしている。いちいち書いて いてはきりがないのだが、阪本作品で毎回見るたび にひと味違う松之助師匠 はつぼ。
あと子役がいい味だしている。 毎回見ていて思うのだが、 なぜこんないい子役を 見つけてくるのだろうか? それと、今までだと割合 パターン化しているきらい もあった阪本ヒロインだが、 今回は西原原作を得て、ひと味違う女性像の構築に 成功しているように思った。
もう書きたいことはいっぱい あって、全てが印象深くて 何を書き残したらいいのか 分からないくらいいい映画。下世話で下ネタも満載 なのだけど、それが全然嫌み にならない。こんなに印象深くて 心に刺さる下ネタというのは かつて記憶にないくらいである。音楽も良いし、台詞もいい。
挿入歌も良いけど、ガガガSP のエンディングもいい感じ。ただ一点、無理矢理けちつければ (そんな必要ないけど)ラストで 泣きながら海を見つめる母娘 (鳳蘭&観月ありさ)のスタイルが 良すぎて、物凄くかっこわるくて 切ないシーンなのにも関わらず、絵になりすぎてしまったのが残念。演技的には一生懸命やって いらっしゃるのに、ここばかりは どうしようもない...
原作ファンには不評だったようだけど、原作未読でみたのでかえってよかったのかもしれない。