8年半の体験談を告白しちゃいます。もとカーディーラーセールスマンの体験談ブログ あなたの車の値段はどうやって決まる?

8年半の体験談を告白しちゃいます。もとカーディーラーセールスマンの体験談ブログ(3)あなたのクルマの値段を決める重要ポイントPART3

2016/08/31

*車のオンリーワンとは・・・・

こんにちは。カーブロガーのcocoro.haradaです。

私は昭和62年に日本最大メーカーの看板を掲げたディーラーに入社しました。このブログはそこから8年半働いた私の体験談を主に綴っていきます。折々に実際にハンドルを握ったクルマのレビューもお伝えしていこうと思います。

車の世界にはカスタマイズというものがあります。もともとカスタマイズ(customize)とは、ユーザーの好みと使い方に合わせて、システムやソフトウェアの機能などを設定し直すことです。車の場合、自分好みにドレスアップしたり、改造したりするのが一般的です。近年はメーカーも合法内のドレスアップには積極的で、車種によっては、着せ替えのようにカスタマイズが楽しめる時代になりました。

また、そうしたドレスアップ車やカスタマイズ車を専門に扱うお店も30年前から比べたら随分増えました。

昔は改造車といえば、いわゆる暴走族系のオラついたものが中心でしたが、現在は主にアニメキャラをラミネートした痛車に主流が変わりつつあります。

こういう形でオンリーワンなクルマの楽しみ方ができるなんていい時代になったもんです。私もアニメファンの端くれとして痛車が展示してあるとついついマジマジと見てしまいますね。しかし、いくらアニメが好きでも自分の車を痛車にしようとは思わないですけどね(個人的にドレスアップ自体が嫌いなので)。

ただし…

お金と時間と手間が果てしなくかかったあなたの愛車も、転売や下取り、買取というフィルターを通すと、ただの中古車にしかならないのです。

仮にあなたがまっさらの新車を買ったとします。しかし、いくらあなたがお友達や同僚に「新車買ったんだ!」と自慢しても、あなたの愛車は査定上では「中古車」なんです。




*実は売りにくい新古車

納得できないですか?では、仮にこう考えてみてください。

あなたは偶然入った中古車販売店でとある新古車に出会います。値段は新車で買うよりはるかに安いのです。この状況であなたはどう考えるでしょうか?少し想像してみてください。

「新古車って書いてあるけど、新古車って何?」
「値段もえらい安いけど、どうしてかな?」

などと思われたかもしれません。

新古車には私が知る限り主にふたつの理由が考えられます。

(1)試乗車として使われていた

(2)納車後まもなく事故して、縁起を担いだ前オーナーが手放した

(1)の試乗車として使われて新古車になるパターンは一番ありえる話です。ただし、30年前は試乗車というもの自体がほとんどなかったので、昔はそうそうあるものではありませんでした。この試乗車落ちの車を買うメリットは新車よりはるかに安く、新車とほぼ同じ条件の車を手に入れられることです。デメリットは、素性も知らない不特定多数の人がたくさん乗っていた事実があるということですね。あなたにとっては意外かもしれませんが、新車を買うユーザーでこれを気にする方は結構多いのです。手垢がついてないから、前オーナーの癖がついてないからというのは、新車購入ユーザーの大きなモチベーションになっていることは間違いないですね。これは8年半ディーラーで働いてきて、実際にお客様から聞いてきたことですから。また前オーナーが特定できる中古車はまだしも、不特定多数が乗ったという事実は、乗り癖がついていることに耐えられないユーザーにしてみたら、「じゃあ、新古車を買うくらいなら予算上乗せしてでも新車を買う」というくらい重要なポイントなんです。

ここまで書いてあなたはなぜ、新車が納車した瞬間から中古車になるのかおわかりでしょうか?新車ユーザーは特に、乗り癖を嫌う傾向があるというのもありますが、誰が触ったかわからないものを買うのは嫌だという心理に加え、新車である以上、自分以外のドライバーにハンドルを握らせるのはいやだと考えるユーザーが意外と多いからなんですね。そしてここが肝心なところですが、あなたにおお尋ねします。「試乗という立派な名目があったとしても、じゃあ、あなたは試乗車を新車と同じ条件で買いますか?」と。

きっとあなたはこういうでしょう。

「そんな馬鹿な話があるか!」と。

そうです。

手放すときは高く売って、買うときはお安く買うというのは消費者心理として当然なんですが、一方では自己都合ともいえます。今度は買う側になってみたらどうでしょうか?

そう考えていくと、あなたの車だけでなく、査定上は納車された時点から全ての車が中古車であり、しかも一年目はがくっと価値が下がるということなんです。これについてはまた後でも詳しくお話します。





*買う側からすれば疑心暗鬼になりやすい

さて、(2)の納車後まもなくして、事故したオーナーが縁起を担いで手放した、という理由ですが、これは実際にたくさんあります。私のお客様だった方でも結構いらっしゃいましたし、何より私自身が納車一か月後にフロント大破の事故で新車をおしゃかにし、その一か月後にまた事故って、納車後ほとんど自分の車に乗れなかった体験ももっていますので、縁起を担ぎたくなる気持ちは痛いほどよくわかるんです。普段神仏や占い・ジンクスなどを信じない人(私も信じていません)でも、ことが命にかかわることでもありますから、ユーザー自身がお祓いに行ったり、納車日を大安吉日の日にしてほしいというリクエストなども普通にありました。

ちなみに私の場合、ローンを組んでいたことと、大破といっても修理可能だったので泣く泣く修理して乗り続けました。でもふところに余裕があったら買い替えていたかもしれないですね。

もしもあなたに事故体験がおありでしたら、なんとなくおわかりいただけるかもしれませんが、やっぱハンドル握るとしばらくは事故した瞬間がフラッシュバックして、あまり気持ちのいいものではないのですね。本当は運転自体したくないけど、通勤とかでどうしても必要だからとか、交通の便が悪すぎて車無しの生活が考えられなくて、我慢して乗っているとかしてると、本当は楽しいはずのドライブも苦痛で仕方ありません。ならばせめて事故を想起する車を手放して自分も心機一転したいと考えてもおかしくはありません。多くの方の場合は私のように泣く泣く乗り続けることにはなるでしょうけど。

さて、ここまで書いておいて再びあなたに質問します。

「事故して(もしくはなんらか縁起の悪い事情があって)前オーナーが納車後、すぐに手放した車をあなたは新車と同じ条件で買いますか?」と。

きっとあまたはこう答えるでしょうね。

「そんな馬鹿な話があるか!」と。

そうです。いくら納車したばっかりといっても事故車は事故車です。車対車だったらまだしももしかしたら人をはねているかもしれません。しかし年式上は新車とたいして変わらないのです。走行距離もほとんど走っておらず、前オーナーの乗り癖もありません。それもあなたは頑なに拒むでしょうね。

実は30年前にはこうしたワケあり新古車はたくさんありました。

あまり考えたくはないのですが、あなたの目の前にある新古車が実は履歴を「試乗車」と偽って実は納車後すぐに手放された車だとしたら・・・・その車が修理の必要はなかったけれど、実は人をはねていた履歴があったとしたら・・・・

これらをユーザーでない第三者が調べて実証するのはかなり難しいですね。よっぽどひどい事故をしたのであれば別ですが、たとえば後方確認をよくせずバックして、運悪く人をはね、打ちどころが悪くて死に至った場合とかは、修理履歴から調べていくことは困難極まりありません。

いかがですか?

まとめると、

(1)試乗車落ちの新古車は不特定多数の人間が運転しているため、新車に比べて癖もついているかもしれないし、新車とは呼び難い。

(2)新古車の前歴がワケありである可能性を、前ユーザー以外の第三者が証明しにくい。

となります。

手放す側のあなたがいくら新車と同じと思っていても、買う側からすれば疑心暗鬼になりやすい買い物、それが新古車です。したがって非常に売りずらいため、査定価値を落とす以外に売りやすくすることが困難なのです。査定価格が下がるのにもちゃんとした理由があるのです。

ちなみにディーラーにおいてある新古車はほぼ本当に試乗車である確率は高いと思われます。絶対とは言い切れませんけどね。余談ですが、全国各地にあるディーラーはメーカーから看板をもらってそれぞれが独立した企業として営業しているので、看板にいつわりがあるとメーカーから看板をうばわれかねません。ですから、嘘はつきにくいと私は考えていますが、なんせ昨今、その大メーカーですらいろんな偽装をしていることがばれてますからね。疑い出したらキリがありません。

私からいえることは条件のうまい話にはまず疑ってかかれということと、疑うのが嫌ならわけあり物件を探さすに最初から新車を購入した方がいいですよ、ということくらいですかね。まあ、これを読んでどうするかはあなた次第ですけど。

以上、カーブロガーのcocoro.haradaでした。






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