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[映画鑑賞記] メイドインアビス-深き魂の黎明-

2020年1月17日鑑賞。

隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。
どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、
奇妙奇怪な生物たちが生息し、
今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。

「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。
そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、
次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。

アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、
いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。

ある日、母・ライザの白笛が発見されたことをきっかけに、
アビスの奥深くへ潜ることを決意するリコ。
リコに拾われた記憶喪失のロボット・レグも
自分の記憶を探しに一緒に行くことを決意する。

深界四層でタマウガチの毒に苦しむリコ。
リコを救ったのは成れ果てのナナチだった。
ナナチを仲間に加え、ボンドルドの待つ深界五層へと三人は冒険を進める。
そこで、プルシュカと名乗る女の子に出会い…(あらすじは公式HPより)

過去と向き合い、苦しみを清算する話

メイドインアビスは、可愛らしい絵柄からは想像できないダークなストーリーから話題になっていた作品。2018年にはアニメ第1期が放送され、2期への期待が高まってきたところに劇場版発表。「深き魂の黎明」は、純粋にテレビシリーズの続編で、全く設定の説明などなく、タイトルは「劇場版」ながら全然単独で観ても成立していない。

最低でも前後編総集編くらいは観ておかないとわからない点もなくはないのだが、これから見返しても問題はない。

深き魂の黎明は、レグとナナチがメインで、リコの活躍は少ない。ボンドルド編は、ナナチの過去と向き合い、苦しみを清算する話だから、テレビ一期ではあまり出番がないナナチが実質メインになるのである。

さて、原作では最も表現が過激な箇所にあたるボンドルド編。しかも原作では最もエグい描写にあたる。深き魂の黎明は中盤以降、ボンドルドの「娘」プルシュカを中心に、基本グロ描写しかないのだが、それさえも何か大きなテーマの一部に見えてしまうのが、メイドインアビスの凄いところなのだ。

リコとは表裏一体の関係

先程リコの出番は少ないと書いたが、それには理由がある。ボンドルドの存在である。私は原作を一巻しか読んでいないため知らなかったのだが、この人体実験に浪漫を見出す狂気の主であるボンドルドは、原作でも屈指の人気を誇るキャラクターだったのだ。

実際、リコ役の声優・富田美優さんは好きなキャラクターとしてボンドルドをあげている。それはアビスに魅せられ、冒険にロマンを見出しているリコとは表裏一体の関係にあるからだろう。

そのボンドルドを実に魅力的に演じているのが森川智之さんである。表情のみえないボンドルドの感情を決して無機質にすることなく、むしろ感情豊かに表現されていた事に、驚愕させられた。そして気がつけば私自身がボンドルドに魅せられていたのだ。

前述の富田美優さんは、アフレコ時に森川さんとの掛け合いがあった際に「森川さんに引っ張られまい」という意識を持って臨んだそうだが、想像するに、森川さんの演技力もさることながら、リコとボンドルドが表裏一体の存在だからかもしれない、と考えてみた。

むしろ畏敬の念さえ

実際、リコがボンドルドに対して理解を示すシーンが劇中にあるのだ。そして非道な人体実験を繰り返す、人間としては外道なボンドルドがなぜこれほどまでに読者を引きつけてやまないのか、という理由が分かってきたような気がしてきたのだ。

今回の深遠な魂の黎明は、確かにR15指定の作品である。グロい描写も多い。だが、それさえも内包してしまうアビスの深淵にはむしろ畏敬の念さえ感じてしまう。アビスが言うまでもなくフィクションの産物であるにも関わらず。

発表通りメイドインアビスは第二期の制作が決定しており、ボンドルド編の続きをアニメで見られるのは確定している。この後もアビスの深淵に魅了され続けられるのかと思うと、リコでなくてもワクワクしてくるんじゃないだろうか。

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