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[アニメソング] アニメ的音楽徒然草 おいらは淋しいスペースマン

時代の趨勢によって・・・

今回はNHKアニメとして放送された「キャプテン・フューチャー」より、TVスペシャル「華麗なる太陽系レース」の中で流された挿入歌「おいらは淋しいスペースマン」をご紹介します。

キャプテンフューチャーは、1978年の未来少年コナンの後番組として制作されたNHKのオリジナルアニメ作品です。今でこそ、かの国営放送がアニメを放映するのは、当たり前のようになっていますが、1970年代は、みんなのうたなどの一部の例外を除いて、NHKでアニメが放送されることはありませんでした。

しかし、時代の趨勢には逆らえなかったのか、ついに重い腰を上げたNHKが満を持して放送したのが未来少年コナンでした。しかも宮崎駿さんのキャラクターの印象からするに、いわゆる日曜7時半の名作路線かと思いきや、アレクサンダーケイ原作のSF小説を原作にしたまさかのSFアニメ!

そして、未来少年コナンの後を受けたキャプテンフューチャーも、古典スペースオペラを多数輩出したエドモンド・ハミルトンらが手掛けたキャプテンフューチャーとくれば、あなたはもしかしたら「攻めてるな、NHK!」と思われたかもしれません。

でも、実際当時はスターウォーズや宇宙戦艦ヤマトといったSFアニメブーム真っただ中。要するにそういったブームに迎合した企画でもあったわけです。ただ、このブームというのが当時までアニメ放送を拒んでいた「お堅い」NHKをも動かしたという点がすごかったわけですね。

一回きりの挿入歌

で、キャプテンフューチャーの原作にある「謎の宇宙船強奪団」の作中で歌われていた、登場人物が歌っていた鼻歌を翻訳されたのが、翻訳家でもあり、テレビプロデューサーでもあった野田昌弘氏だったわけです。この野田氏の存在こそが、NHKをも動かしたスペースオペラを中心としたSFブームを陰で牽引していたといっても過言ではなかったのです。

そもそも野田氏の名訳はSFファン並びにスペースオペラファンに広く知られておりました。当時のファンは野田氏に尊敬と親しみを込めて「宇宙大元帥」と呼んでいました。そして小説版スターウォーズを日本語訳したのも野田大元帥だったのです(エピソード4~6まで)。その熱狂ぶりは正直仕事の域を超えており、終生貫かれた「ファンにSFの楽しさを伝える」点にブレがなかったのです。

野田さんのエピソードは枚挙にいとまないほどあります。テレビプロデューサーとしててがけた「ひらけ!ポンキッキ」では、国民的スターになったガチャピンのモデルにもなっていますし、SF作家としても数多くの作品を残されています。

一面識もないファンからの質問や相談にも気軽にこたえ、気さくで親分肌の人柄は多くのファンから非常に親しまれました。またトークもうまく、数々のイベントに顔を出して多くのSFファンたちと会話を交わしたことでも知られています。

今回取り上げた「おいらは淋しい スペースマン」はそんな野田大元帥の名訳がなせる技のひとつといってもいいでしょう。これにTVアニメ版キャプテンフューチャーの、音楽を担当された大野雄二氏が曲を付けられたことで、テレビ版スペシャルにおいてただ一回だけ流された幻の挿入歌になっていたわけです。

2010年にカバーされた

さて、こんな幻の名曲はなぜか2010年放送のアニメ「あそびにおいでよ!」というSFラブコメ作品でカバーされています。このことも触れないわけにはいきません。

この作品は簡単にいうと、ある日突然、可愛い猫耳・尻尾の宇宙人娘がやって来て、男の子主人公に一目惚れするという今ではありきたりなパターンな作品です。で、この場合、基本はあくまでもラブコメディであり、宇宙外交や侵略その他は、在ってもスパイス的なものでしかないわけですね。

しかし、「おいらは淋しいスペースマン」が使用された第9話だけは少し趣きが違います。この作品の中には「アシストロイド」という喋る機能がないため、プラカードに文字を書いてコミュニケーションを取るロボットが登場します。実は第一世代型の「ラウリィ」には悲しい過去があり、その過去にまつわる歌が「おいらは淋しいスペースマン」だったというわけです。

この「あそびにおいでヨ!」は2018年現在、dアニメストアで全話視聴可能ですので、これ以上のネタバレは避けますが、私は「おいらは淋しいスペースマン」聴きたさに、第9話だけ先に視聴してしまいました。たしかに普段ラブコメで通しているシリーズに唐突に入るには異色すぎるエピソードだな、とは思いました。

第9話のみのエンディング

しかし、私はもし野田大元帥がこのエピソードをご覧になられたら、きっと喜ばれただろうな、とも思いました。とはいえ残念ながら野田大元帥は、2008年に他界されているため、「あそびにおいでヨ!」はご覧になられていません。

ちなみに、第9話「いだいなるさいしょのあしすとろいど」に登場する最初のアシストロイドである「ラウリィ」(演じるのは、声優・歌手の茅原実里さん)が「おいらは淋しいスペースマン」を歌っており、劇中でも第9話のみのエンディングにもなっています。これは現在でもiTunes等で入巣が可能です。

ただ、個人的には「あそびにおいでヨ!」9話終幕直前に登場人物全員で歌うバージョンもいいなと思ったので、探してみましたがみつかりませんでした。また、オリジナル版はiTunesにはなく、CDでのみ入手が可能になっています。キャプテンフューチャーの総音楽集や、ヒデ夕樹さんのスーパーベストなどのCDには収録されています。

キャプテンフューチャーに関していうとオープニング・エンディングともども名曲が多く、宝島009も含めて素晴らしい楽曲ばかりで、これらもいずれご紹介したいと思っていますので、気長にお待ちいただけると幸いです。

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