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[アニメソング] アニメ的音楽徒然草 アローン・アゲイン Alone Again (Naturally)

タイアップされたけど

今回はギルバート・オサリバン(Gilbert O'Sullivan)の名曲「アローン・アゲイン」(「めぞん一刻」オープニングテーマ・本放送では第24話のみ使用)を取り上げます。洋楽だとYouTubeにも音源があるケースが多く、記事が書きやすいという理由もありますが、ちょっと珍しいパターンの使われ方をした楽曲なんで、とりあげてみました。

「アローン・アゲイン」はいうまでもなく、めぞん一刻のために書き下ろされた曲ではありません(初出は1972年)。ただ、既存のヒット曲でなおかつ有名な曲がアニメソングに起用されたというのは、めぞん一刻が放送されていた80年代ではかなり珍しい出来事でした。ちなみに「アローン・アゲイン」は日本でもヒットし、オリコン洋楽シングルチャートで1972年10月23日付から5週連続1位を獲得しています。

実はこの「アローンアゲイン」は「めぞん一刻」が最初に実写(映画)化された際のテーマ曲だったのです。そして映画に合わせて当時放送中だったアニメ版のオープニングとしても使用された稀有な例になる曲でもあるのです。今でいうタイアップですね。製作はアニメと同じキティフィルムで、主演は石原真理子さんでした。

実写への拒否反応

昨今ブームのマンガなりアニメなりの実写化は、アニメとは異なるテーマソングが用意されるのが通例です。ところがめぞん一刻の場合は、実写に合わせてアニメのオープニングが変えられてしまったわけです。ですから、もともとは実写映画のテーマであるにも関わらず、アニメ版めぞん一刻のテーマ曲集には必ずアローン・アゲインが収録されています。

個人的には一回使われたので、確かにテーマ曲ではあるのです。しかし「めぞん一刻」には、ほかに収録してほしい挿入曲や挿入歌がたくさんあるので、そっちを収録してほしいのですが、なぜかそっちは黙殺されたまま今日に至っています。

さて、めぞん一刻がリアルタイムで放送されていた当時、実写化に対してファンが諸手を挙げて賛成したか、というと決してそんなことはありませんでした。むしろ、この強引なタイアップのやり方に拒否反応を示したファンはたくさんいたのです。もちろん私もその一人でした。

wikipediaによると当時プロデューサーだった松下洋子さんの証言がありまして・・・

「当時、安濃高志チーフディレクターの交代の時期で、制作現場はかなり忙しかったため、やむなく『めぞん一刻』のキャラクターに不慣れな古瀬登を作画監督に起用したが、完成したオープニング、エンディングはキャラクターも似ていないし、色もパッとしないものになってしまった。そのため第24話の視聴率はガタ落ちしたとなっているが、実際は曲が『めぞん一刻』のオープニングイメージとかけ離れていたため、『めぞん一刻』だと気づかず見飛ばしてしまったことが視聴率低下につながった要因ではないかとも言われている。また、不評の電話もあったため、即刻元のオープニングに戻すに至った」と語っている。

なお、その後、第27話で一度だけ挿入歌として『Alone Again』が流されている。

とあります。

視聴者からの不評

アローン・アゲインがたった一話しか使われなかった背景には、著作権云々という問題もあったといいますが、あの当時の空気を知るものにとっては、視聴者からの不評(それも炎上レベルではないくらいのもの)を買ったというのが正しいところでしょう。

変更されたのがオープニングだけならまだしも、エンディングも同じギルバート・オサリバンのGET DOWNに変更になったことも火に油を注いだ格好になったのではないかと私は思っています。なぜなら、変更前のエンディング「シ・ネ・マ」(ピカソ)は非常に評判がよく、結果的には24話の一話中断をはさんで計16回分使われたことでも証明されています。

めぞんのエンディングはほぼピカソが担当していますが、最初のエンディングだった来生たかおさんお「あした晴れるか」が14回分だったのに対し、ピカソの手がけた楽曲は、「ビギン・ザ・ナイト」「サヨナラの素描(デッサン)」が21回になるのを筆頭に、「ファンタジー」は18回と、いずれも長期にわたって使われました。

今みたいにワンクール12話内で、コロコロテーマ曲が変わる時代ではなかったですから、当然といえば当然ですが、それだけ視聴者の評価も高かったのです。もし、制作サイドが実写とのコラボとかいう「余計なこと」をしなかったら、「シ・ネ・マ」がもう一回長く使われたということにもなります。

一般との評価の乖離

そもそも「めぞん一刻」を知らない方には普及の名曲である「アローン・アゲイン」が、こと「めぞんファン」の間では駄作認定されているのはひとえに実写化の弊害といっていいでしょう。「アローン・アゲイン」には一般とは評価の「乖離」が起こってしまっているのです。言い方を変えればこれは悲劇といってもいいでしょう。

個人的にはギルバート・オサリバンは好きなアーティストですけど、こと「めぞん一刻」に彼の音楽が合うかどうかといえば、これは明確に「合わない」と私は断言できます。

めぞん一刻は、この「アローン・アゲイン」のケースに学ばなかったのか?2度実写化されています(テレビ朝日版・テレビスペシャルで、主演は伊東美咲さん)が、どっちも私は見ていません。ただ、最初の実写版で四谷さんを演じた伊武雅刀さんの怪演は話題にもなりましたし、これを見たアニメ版の四谷さんの担当声優である千葉繁さんは「アニメも伊武さんがやったほうがいいのでは?」と語ったといわれています。

個人的には機会があれば、実写版も(B級映画を見る感覚で)見てみたいなとは思っています。とはいえ、古い作品ですので、今ではなかなか見ることは難しいのですけどね。

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