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[映画鑑賞記] ノーゲーム ノーライフ ゼロ

2017/07/23

17年7月21日鑑賞。

それは一切の争いが禁じられ、全てがゲームで決まる《盤上の世界(ディス・ボード)》が創造されるはるか以前の出来事。世界を統べる唯一神の座をめぐり、終わりの見えない大戦が続いていた時代。天を裂き、地を割り、星さえも破壊し尽くさんとする凄惨な戦争は、戦う力を持たない人間たちに理不尽な死を撒き散らしていた。

強大な力を持つ様々な種族に追いやられ、存亡の危機に瀕する人間を率いる若きリーダーの名はリク。一人でも多くの人間が明日を迎えるために心を砕き、擦り減らす日々が続くある日、リクは打ち捨てられた森霊種(エルフ)の都で
機械仕掛けの少女・シュヴィと出会う。

機械には持ち得ぬ心に興味を持ってしまったことでエラーを起こしてしまい、仲間たちから廃棄されてしまったシュヴィは、エラーを修正するため、リクに《人間の心》を教えてほしいと頼むのだが……。これは六千年以上もの昔に紡がれた
《最も新しい神話》へと至る《最も古き神話》。記録にも記憶にも残らない、誰にも語られることのない物語が今、幕を開ける——(あらすじは公式サイトより)

原作では第六巻にあたるお話で、テレビ版の前日譚の位置づけになる作品。テレビ版主人公である空と白のアナザーストーリーといってもいい。テレビ版を知らなくても楽しめるけど、テレビ版を知ってみたらより深い気づきが生まれ得る、そんな作品になっていた。
テレビ版と同じスタッフが再集結しているので、なんの心配もなく最後まで見られたけど、カラフルな「ノゲノラ」の世界とは何もかもが対照的に描かれているのが、面白いと思った。単純に6000年を経て、リクとシュヴィが空と白に転生しただけのお話ではないのだ。それだけ声を大にして言っておきたい。

運命に抗い、自分に嘘をついてでも強く生きようとしたリクとシュヴィは、確かに強いけど、勝つことはできない。自分の弱さと向き合えないことが、彼らの一番の弱点にもっている。

一方弱さを知りながら、その弱さをもとに勝つための方策を練って、ゲームでは無敗を誇る空と白。テレビ版だけみれば俺TUEEE系に属するように見えるけど、実はリクとシュヴィという「対」になる存在と対比してみると、奥行きが何倍にも増してくるから面白い。

実はテレビシリーズにも「過去のいきさつ」をにおわせる場面がないわけではないが、この劇場版を見ると、その背景をよりはっきりと理解できるのではないかと私は思う。
テレビシリーズが「光」ならば、劇場版は「影」といってもいい。色彩設定も実に丁寧に計算されていてこのあたりが、いしずかあつこ監督らしいというか、女性らしい細かい計算で画面が作られており、思わず引きずり込まれてしまった。

そんな中で時折空白の兄妹と、リク&シュヴィがリンクしていくところや、空白兄妹が転生してきた世界の理を生み出したのが誰であったかとか、結構興味深い点が描かれており、テレビ版を視聴していたファンだったら満足することはうけあいだろう。

6000年前の悲劇を繰り返さなかったという意味では、あの独特なルールが継承されているノゲノラの世界がなんだかとても愛おしく感じてしまった。当然、6000年前から生きているキャラクターの背景も知ることができる。行くかどうかで迷ったけど、最終的には見に行ってよかったと思うし、ノゲノラの世界を知らないで、見た人はぜひともテレビシリーズを見てほしいと思う。






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