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[プロレス観戦記] DDT D王 GRAND PRIX 2020 in FUKUOKA

DDT D王 GRAND PRIX 2020 in FUKUOKA(2019年12月9日月・西鉄ホール:観衆:262人(満員)

12月のDDT博多大会は定番化しつつあるが、昨年はがむしゃらプロレスとバッティングし、今年はレアルルチャが前日にあるというなかなかの強行軍。

昨年なんか無理して観戦詰め込んで、2019年1月に腸閉塞を再発して、喘息まで引き起こした以上、はしご観戦はするつもりはなかったが、結果的にはあまり身体に優しくない真似をする羽目になってしまった。

とはいえ、昨年のD王グランプリは大会後半しか見られなかったから、最初から見られる今年はまだマシとしておこう。人間ドックで見つかった軽い脳梗塞についても十二分に対策を講じて、たっぷり休みを取った上で、レアルルチャの観戦記を書き終えて出発。

しばらく列に並んでいると前の人が話しかけてきた。なんでも写真撮影会に参加するのははじめてらしい。ジャックのTシャツを着ていたので、昨日のレアルや篠栗の話で盛り上がった。私のプロレス与太話がいい暇つぶしになってくれたら、幸いである。

中に入るとまさかの平場!ひな壇の客席が畳まれていると西鉄ホールはなんだかせせこましい。そのうえ思った以上に、平場の西鉄ホールは見づらいことが判明。これならまださざんぴあの方が良かったかなあ。とはいえ、なんとかうまったところをみると、結果的にはよかったのかもしれない。

だが、好事魔多し。来年4月の東京女子&DDTの博多大会が、がむしゃらプロレスの真裏になるとということが判明!なんということだ。

特に東京女子の博多大会は皆勤賞だっただけになんとも残念でならない。でも、観に行っている歴史を考えると、がむしゃらを選択せざるを得ないしなあ。ああ、悩ましい・・・・。まあ、こういう時のために、UNIVERSEに加入したんだし、配信で見るしかないな。

オープニングマッチ(30分一本勝負)
男色ディーノ&〇高梨将弘&大和ヒロシ vs 大鷲透&平田一喜&×アントーニオ本多(7分35秒 横入り式エビ固め)

普通の団体ならD王のようなシングルトーナメントが王道で、こういう試合は邪道なんだが、DDTの場合は正反対。

しかし、シングルマッチが多数控えたせいか、この試合は比較的てきぱきと進んでいく。まあ、いつもやっているバージョンのダイジェストといった感じ。

アントンのごんぎつねから、ディーノがコーナー上で地獄門を開門したあたりも、かなり巻いている感じがした。

アントンはさらにごんぎつねを地獄門に突き刺すと、ディーノはコーナー上でダウン。地獄門により強化されたごんぎつね。しかしダブルのごんぎつねは大鷲と平田に誤爆し、さらに高梨によってアントン自らの目に突き刺され前後不覚に!すかさず高梨がアントンを丸め込んで3カウント。

第二試合(30分一本勝負)
○彰人&勝俣瞬馬&〇飯野雄貴&相島勇人 vs 大石真翔&納谷幸男&×渡瀬瑞基&アズールドラゴン(8分21秒 スピアー→片エビ固め)

ALL OUTに相島、混成軍にアズールが入っての8人タッグ。個人的には、電流爆破なんかやっている暇があるなら、納谷にはD王グランプリにエントリーして欲しかったが、試合を見る限り、まこりんや対戦相手に乗せられる形で戦っていたので、こりゃ無理だな、と。

たしかに素材は一級品なんだけど、納谷は組み立てや、自分がどう見られているか、と言った客観性を出来るだけ早く身につけないと、出世なんてのぞむべくもない。

試合はDNAあがりの渡瀬と、こちらはD王出場中の飯野が激しくやりあう。入江がストロングハーツに行き、レネゲイツがなくなって行き場がないフラストレーションを渡瀬が吐き出そうとしているかのようにみえたが、さすが、そこは6人タッグとはいえ、飯野はチャンピオン。渡瀬の打撃を受け切り、ラグビー仕込みの強烈なスピアーで勝ち星をもぎ取った。

第三試合○Bブロック公式リーグ戦 30分一本勝負
〇佐々木大輔 vs ×ブル・ジェームス(8分50秒 クロス・フェースロック)

これはカリスマの巨漢殺しというテーマがある。決してプロレスラーとしてでかい方ではない佐々木大輔のスキルが存分に発揮されそうな試合。

果たして、試合は全てがカリスマの計算通りに進んでいく。序盤のタックル合戦からの、場外に出ての膝攻撃。

ジェームスも負けじとイスで応戦するが、要所要所でカリスマの膝攻撃が炸裂し、なかなか攻め手が線にならない。

そして、ジェームスの意識が完全に下半身に集中したところへ、フェイスロック狙いに移行。最後はクロスフェイスで、ジェームスの上半身を起こす形で反り上げてタップアウト。

まさに巨漢殺しを絵にかいたような、ある意味プロレスの教科書といっていい内容の試合だった。

第四試合○Aブロック公式リーグ戦 30分一本勝負
×上野勇希 vs 〇クリス・ブルックス(10分17秒 伊藤スペシャル=しゃちほこ式テキサスクローバーホールド)

博多で組まれたカードの中では一番バランスがよいと思われるカード。キャリア的にはクリスに分があるだろうが、急成長中の上野だけに舐めてはかかれないだろう。

序盤では身長差を生かしたクリスの反則絡みのテクニックや、イギリススタイルの関節技まで多種多様に上野を攻めていくが、上野も自身の跳躍力や、最近開花しつつあるずるさも交えて、クリスに肉薄してくる。

目を見張ったのは、クリスの飛びつき卍固め。飛びつき式はザックセイバージュニアも使っているが、それとはまた異なる。まさにグレープバインストレッチというにふさわしい決め方だった。

試合は一進一退を繰り返しながら、終盤でクリスはテキサス・クローバー・ホールドで締め上げようとする。これに抵抗して上野は何とかロープへ逃げようとするが、クリスがリング中央に戻して、腰を落とし一気に絞り上げると、たまらず上野はギブアップした。

第五試合○Aブロック公式リーグ戦 30分一本勝負
〇石井慧介 vs ×橋本千紘(10分58秒 ニールキック→体固め)

2019年は仙女とも因縁があるスターダムのブシロード傘下入りという激震が走った女子プロ界。しかし、そんな中で「プロレスに男も女も関係ない」という里村明衣子とセンダイガールズのスタンスはある意味異形でもある。

DDTは男女混合団体とはいえ、仙女絡みはほぼほぼ男子対女子が日常化。ついには橋本千紘がリーグ戦参戦まで成し遂げた。

しかし、プロレスに男子も女子も関係ないというなら、参加して終わりではすまされない。そこへきて、ある意味飯伏以上に人でなしな石井が対戦相手となれば、ただではすまされないだろう。

果たして、序盤から石井は久々にキチガイテイスト全開で、ハナから勝ちにきた。まあ、様子見とかそんなレベルの試合ではない。

が、しかし、これに食らいついて本気で勝ちにきていた橋本千紘もまた立派なキチガイである。女子プロ無双のあの体格が、男子に混ざると、改めて突き破れない壁みたいなものにぶつかるんだから、プロレスは奥が深い。

後にメインで散々「異物」の話をしてるけど、DDTグループ内であるが、他団体のガンバレ☆プロレスからきた石井慧介と、性差を乗り越えて、自身初のシングルリーグ戦に挑んできた橋本千紘の二人はまさに異物同士と言っていい、と私は思っている。

これが共鳴しあったのだから、面白くならないわけがない。まさにDDTでしかできない、プロレスでしかできない対決だった。

これをイロモンと呼ぶなら呼ぶがいい。だが、イロモンは面白くなければそもそもなれはしないのだ。

第六試合○Bブロック公式リーグ戦 30分一本勝負
×吉村直巳 vs 〇田中将斗(13分46秒 スライディングD→片エビ固め)

DDTの中でも力自慢で鳴らす吉村にしてみたら、田中将斗とのシングルは願ったりかなったりだろう。今回因縁抜きで楽しみなカードの一つでもある。

ところが、吉村は表現があまり上手ではないのか、ゴンタ顔以外の表現が下手。勢いに乗っているときはいいのだが、受けに回るとどうももろい印象を受ける。

要は吉村の目指す先にいるのが田中のファイトスタイルだと思うのだけど、見れば見るほど、吉村の足りないところばかりが目立って、田中将斗の元気っぷりだけが際立って行ってしまった。

かみ合えばいい勝負になると思っていたのだけど、意外と吉村のぼろがでてしまって、そうはならなかった。とはいえ、この試合で吉村が得たものはきっとあるはずなんで、それを今後に生かしてくれればと思う。

セミファイナル○Bブロック公式リーグ戦 30分一本勝負
〇HARASHIMA vs ×高尾蒼馬(10分33秒 蒼魔刀→片エビ固め)

この二人のそもそもの因縁は、高尾がHARASHIMAを裏切りDAMNATION入りした事に端を発する。その後、HARASHIMAは、ディザスターボックスを再結成し、11月の両国大会では竹下とメインで闘い、現在は無差別とエクストリームの二冠王である。

片や高尾はカリスマ佐々木と長くKO-Dタッグを保持しているが、シングルの戦績はイマイチ奮っていない。自分からユニットを離脱した以上、HARASHIMA越えは高尾のメインテーマであるはず。

しかし、DAMNATIONに入ってかなりたつのに、未だにHARASHIMA越えがテーマにならざるを得ない現状には高尾自身が苛立っているようにもみえた。

今更ドリフの話をしてもなんだろうけど、ガンバレ☆プロレスで石井はシングル戴冠、別な道を歩み始めた入江は、11月のOWE博多大会でやはりシングル王座を奪取した。そもそも入江はDDT時代にKO-D無差別も巻いている。

あの3人の中で、ルックスもよく、テクニックもあり、運動神経もよい高尾が未だに出遅れているという現実。

ユニットこそ変わったけど、一人DDTに残る高尾が、もがき苦しむ様を楽しむかのように、HARASHIMAはイキイキしていた。こういうサディスティックな面が強く出てくるときのHARASHIMAは無双である。

結局、ジントニックも繰り出せず、逆に蒼魔刀をくらって敗北した高尾。リーグ戦とはいえ、HARASHIMAに一矢報いれば、先にあるエクストリームなり、KO-D無差別なりに手が届いたはず。その事実は高尾本人が一番よくわかっているだろうなあ。

メインイベント○Aブロック公式リーグ戦 30分一本勝負
×竹下幸之介 vs 〇遠藤哲哉(23分49秒 変形ゆりかもめ)

この試合では、11月の両国でケニーが遠藤と竹下に対して辛辣な発言をしていた意味を私なりに考えながら観戦していた。

プロレスというのは身体能力の削り合いもさることながら、ライバルに勝ちたいとか、いろんな想いが交錯したりする。

しかし、それだけだと他のスポーツでも見られることで、プロレスでしか見られないものではない。では、プロレスでしか見られないものとは何か?

その答えを試合を観ながらずっと考えていたんだけど、私が考える解答の一つとして「不純物」があるかどうか、というものがある。

ケニー・オメガは、日本語を操る外国人選手であり、DDTのファミリーでありながら異質な存在だった。そして新日で戦っていた時は、DDT出身という自身のルーツを、不純物に仕立て上げた。それを嫌悪していたのが、新日本で生まれ育った棚橋であることはいうまでもない。

だが、純粋なプロレスというのは突き詰めるとスポーツにしかならないのではないか?だとすれば、新日本は異物との交わりを自ら放棄したことになりはしないか?

そう考えると新日本にくらべて積極的に異物を取り込んでいくDDTで、身体能力の品評会をすることに意味があるだろうか?

たしかに、試合としては素晴らしいものだった。どうしても竹下に一矢報いたい遠藤の気持ちも伝わった。だけど、こんな試合なら新日本でも見られるし、自ら異物であることを放棄して新日本に入団した飯伏がかわりにいくらでもやってくれるだろう。

そもそも、2019年12月時点で、アイアンマンを除くシングルのベルトが全てHARASHIMAの腰にあると言う事実に、高尾だけでなく、竹下も遠藤ももう少し危機感を抱かないと、おそらくケニーのメッセージは理解できないのではないか?

多分、今竹下や遠藤がケニーと戦ったところで、純度の高いスポーツプロレスになることは間違い無いし、そこで仮に彼らが勝利したとしても時代は変わらない気がする。

それでもDDTは、竹下対遠藤を二冠王であるHARASHIMAの試合をセミに下がらせてまで、メインに組んできた。この意味をD王グランプリという枠組みから離れて、二人にはもう一度考えてほしい。

既に遠藤にしろ、竹下にしろ「すごかったね」で終わっていいレスラーではなくなっている。だからこそ、ケニーのメッセージを真に読み解いて、もうワンランク、ツーランク上の選手になってほしい。2人なら真のワン&オンリーになれるはずだ。私はそう信じている。

この日のDDT西鉄ホール大会をもって、2019年のプロレス観戦は全て終了した。はじまりはどうなることかと思ったけど、終わってみれば、大満足の1年だった。また来年もたくさんプロレスが見たい。皆さん、本当にありがとうございました!

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