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[プロレスコラム]プロレス想い出回想録 栄光のまだら狼・上田馬之助伝①

2020/05/29

恩人の枠を超えている方

今回は2011年12月21日に71歳で亡くなられた、初代・上田馬之助さんを偲んで、私の思い出を綴ってみようと思います。私にとって、いわゆる「プロレスの師匠」と呼べる方が3人います。師匠といっても私が弟子入りしたわけではなく、私のプロレス感に多大なる影響を与えていただいた、という意味で私が勝手に「師匠」とお呼びしているのです。

そのお三方とは、大阪でお世話になったミスターヒトさん。東京で貴重なお話を聞かせていただいた、ザ・グレートカブキさん。そして今回ご登場いただく、上田馬之助さんです。お三方は恩人でもあるんですが、恩人の枠は超えてるな、と思い、勝手ながら「師匠」という表現を使わせていただきました。

私が上田さんにはじめてお会いしたのは90年代初頭。当時上田馬之助さんは、熊本でスナックを奥さまと経営されていました。最初にお邪魔した季節は8月の終わり。私は遅い夏休みを取っていました。

90年代初頭、熊本に行くには、九州新幹線もありませんでしたから、博多まで新幹線で行き、博多から在来線の特急に乗り換えて熊本まで行きました。この時は、アニメのイベントもあり、かつ上田馬之助さんのお店にも伺うという複数の目的がありました。

社会貢献活動に熱心

ちなみに当時は私もお酒を飲んでいたのと、上田さんのお店に行くという目的もありましたから、花畑広場の前のビジネスホテルに宿をとりました。宿で荷物を降ろし、友人と待ち合わせて食事を済ませたあと、この日最大の目的である上田馬之助さんのお店、スナック亜砂路に向かいました。

熊本の中心街に位置するアーケード街の一角に、スナック亜砂路はありました。スマホもない時代にどうやって迷わずいけたのか?方向音痴を自認していた自分でもよく覚えていないのです。

お店の中に入ると、お客さんの中にあってひときわでかい金髪の男性がいました。その方こそ初代・上田馬之助さんでした。会場でみるより大きく感じたのは、多分お店の広さが、そんなに大きくなかったからだと思います。

我々はカウンター席につくと、まもなく上田さんが近くに座ってくださいました。この時は結構緊張したことを今でも覚えています。もっともプロレスファン的には、リング内では狂乱のまだら狼でも、実は上田さんがリング外では社会貢献活動に熱心な方だということ事実も知ってました。そして実際お話してみた上田さんは非常に紳士な方で、私のようなどこの馬の骨ともわからないようなプロレスファンにも気さくに対応していただきました。

一度も悪口を聞かなかった

先程、慈善活動に熱心という話をしていましたが、上田さんのお店には24時間テレビの募金箱が置いてありました。当時は24時間テレビも今ほど批判を浴びるような内容ではありませんでしたし、上田さんから募金頼まれて断るプロレスファンはいないでしょう。

私も気持ちよく募金したところ、サインつきで一曲サービスしていただくことになりました。上田さんがマイクを持ち、流れてきたのは、なんとコント赤信号の「男は馬之助」だったのです。これはびっくりしましたね。

もちろん上田さんが歌うわけではなく、レコード音源に合わせて上田さんが合いの手を入れていく、というものでしたが、あのまだら狼として恐れられた上田さんが照れながら、マイクで合いの手をいれている光景は未だに忘れられません。

幸運なことに、私は数々の日本プロレス出身のレジェンドの皆さんとお話する機会がありました。日本プロレスは創始者である力道山没後、結果的には内紛により分裂し、崩壊してしまいます。

そのせいか特に選手どうしはあまり仲がよろしくなかったようで、だいたいどなたかの悪口を聞く、というのが通例になっていました。しかし、上田馬之助さんからは何度かお会いする機会がありましたが、ついに一度も誰かの悪口を聞くことはありませんでした。

人間性の素晴らしさ

そして、誰それが強いという話も聞かなかったですね。本やインタビューでは、そうした話もされて残ってはいますが、私が知る限り、ご自分からその手の話をされた記憶はありませんでした。

その辺の信頼を裏付けるものとして、上田さんのお店にはブルーザー・ブロディと上田さん、アンドレ・ザ・ジャイアントと上田さんのツーショット写真が飾られていました。アンドレはまだしも、ブロディは業界内でも気難しく、トラブルで刺殺された事を考えると、レスラー同士のツーショットが、オフショットとして上田さんの元にあったというのは、奇跡といってもいいくらいのことでした。まさに上田馬之助という方の人間性の素晴らしさを物語っていたと思います。

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいました。お土産というにはあまりに拙いのですが、私が描いた上田さんのイラストを差し出すと、上田さんはたいそう喜んでくださいました。

「これ、店に飾らせてもらうよ」とまで言っていただき、私は天にも登る気分でした。宿に戻ると、あまりの嬉しさでなかなか寝付けず、腹筋と腕立て伏せをやって、一汗かいてからようやく寝付けたくらい、わたしには特別な一日になったのでした。

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