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[格闘技観戦記] 関門ドラマティックファイトvol.13

2018/11/12

関門ドラマティックファイトvol.13(2018年10月28日 日曜 海峡メッセイベントホール)

誕生日に衝突事故して4日後となる関門ドラマティックファイト。実はこの日も裏でプロレスがあったが、さすがに月二回遠方に行く体力とお金がないし、そもそも先約がこちらなんで、遠征は断念。

さて、個人的な事情はこの辺にして、相変わらずボクシングに関しては門外漢という立ち位置を貫いている私には、やはりプロレスで培った見方と、カウンセリングの勉強で研鑽し続けてきた観察力がある。したがって門外漢でありながら、的外れな観戦はしていない、という自負がある。

だから、実体験がなくてもそこにある事実と、私がどう感じたか?ということでなら、記録することは十分可能なのだ。極論をいうなら、サスペンスドラマは殺人を経験しないと書けないわけではない。

想像力や観察力は、時に実体験に勝る事がある。そして事実はどうであれ、私にどう届いているか?私がどう感じたか?その部分を大事にして書いていく。

第1試合 4回戦 48キロ契約

◯スマイル渚(関門JAPAN:アトム級18位・一勝一敗) 対 ×伊藤悠子(RK蒲田:ミニフライ級12位・一戦一勝)
判定3-0

個人的にスマイル渚の中では、今までのなかでは一番の試合。まずメンタル的に引けている場面がなく、4ラウンドを戦い抜いたこと。ガードが下がらなかったこと。

ただし1ラウンドでは様子見したせいか、相手のパンチを結構もらっていたようにみえた。手数で勝負するなら序盤が少し慎重になりすぎたかもしれない。

でも、2ラウンド目から手数を増やして、相手に有効打を貰わなかったのは、見ていて印象が全然違った。1ラウンド目とはまるきり違う印象を見ている側に植えつけたのであれば、これはもう文句ない。

強いて課題を言うなら、どうしても相手を倒してやろうという気迫やオーラがまだ弱いかな?これは経験積まないと無理だろう。試合が終わればノーサイドでいいけど、試合中は倒すか、倒されるか。その中でいかに自己主張していけるか?

判定でも勝てればいいという段階は来年中には卒業して、倒せるボクサーになるべく精進してもらいたい。たまたま前半戦の結果が第一試合以外全部KO決着という形になってしまったために、第一試合の印象がかなり薄れてしまった。ここは課題になるだろうか?

誰に対して何のためにボクシングをしているのか。この問いかけはプロボクシングを続けていく間は、避けては通れないからだ。

第2試合 4回戦 54.5キロ契約
×辻雄大(三松スポーツ:一戦一勝1KO ) 対 ◯村上大和(黒崎KANAO:デビュー戦 )1ラウンドTKO

まず、試合前から青コーナーの村上のオーラがハンパない。入場から「倒してやる」オーラを感じる。デビュー戦にしてこの風格はただものではない。

プロスポーツは得てして若さと勢いだけではどうにもならない場面が多々あるものだが、ごく稀に「それだけ」でプロの壁を破るのは難しい。

村上のいいところは、まさに若さに任せた勢いなんだが、キャリアを重ねてきた時に今日よりすごい試合ができるかどうか?そこは課題になっていきそうだ。

第3試合 4回戦 スーパーライト級
◯日高健次(筑豊:7戦1勝[1KO]6敗 ) 対 ×愛川翼(黒崎KANAO:2戦1勝1分)4ラウンドTKO

これも結果だけいえばKO劇となった。こちらはもろにキャリアの差が出た試合だったように私にはみえた。

正直、途中まではどうなるかな?と思いながら見ていたが、大観衆の前で愛川の方が少し己を見失っていた感じがした。逆に日高は実戦経験がある分、多少冷静に捌いていた感じはあった。

とはいえ、ペース配分でいうとのっけから全力ファイトでぶつかり合っている感じにみえた。たまたま意気込みが空回りしないで済んだ、とも私にはみえた。

たしかに派手なKO劇はお客さんには好まれやすい。しかし、立て続けにKOを連発する試合を続けられるかどうかはまた難しい。今後同じ手が通用しなくなった時にどんな試合を見せられるのかが大切になってくる、と私は思う。

第4試合
×尾崎康太(筑豊:4戦2勝[1KO]2敗) 対 ◯前村隆気(宇部BS:4戦3勝[1KO]1分 )
4ラウンドTKO ボディブローからのスタンディングダウン

結果的に前半戦は第1試合以外は全部KOもしくはTKOで決着がついてしまった。だが、KO劇で終わった3試合より、明らかにメインイベントの方が会場の熱量も高まっていた。

どれだけ選手が壮絶に打ち合っても会場にいる「ボクシング通」が「解説者目線」で「冷静に観戦」していた以上、彼らに火をつけられなかったという意味では、第2試合から第4試合までの全選手には「勝敗を超えた何か」を提示できなかったということもいえるのではないか?

冷静に見ている事情通というのは、どんなスポーツにも一定数はいるようで、実はプロレスにおける私もそんなスタンスで観戦していることが多い。

そんな彼らや、二階席にいた子どもたちに届く試合ができていたかどうか?結果は一瞬のことでしかない。常に内容が問われるプロの試合ができないと、なかなか上にはあがれない。

たまたまKOができた、という以上の何かは、この試合でも私は感じる事は出来なかった。

第5試合 8回戦 ウェルター級
×チェンジ濱島(関門JAPAN:14戦10勝[4KO]3敗1分) 対 ◯海藤正晴(シュウ:8戦6勝[2KO]2敗)7ラウンドTKO ボディブローによるダウン。タオル投入による

ここのところ、勝ち星には恵まれていないものの、良い内容を残している濱島。今回の対戦相手は国内ランカー、海藤。見た感じリーチが長く、自らの懐に安易に相手を飛びこさせないタイプの選手だろうか?

第2ラウンド海藤の手数増えはじめた感じ。逆に濱島の手数が少ない。ラウンドおわりでもりかえすものの、やや固い印象。

3ラウンド序盤濱島がダウン奪うが、こちら側からだとレフェリーの死角になってスリップかどうかが微妙。しかしダウンとれたとなると、ここから試合展開は変わる可能性がある。

だが、見ているといつもの濱島にある積極性が乏しく、いいのを入れたあとにあとが続かない。右からのパンチがでないのは海藤にうまくガードされているからか?濱島判定だと負けるかも、と見ていて私は思っていた。

濱島はいいのを入れたあとにあとが続かない。右からのパンチがでない。3ラウンド目で濱島はパンチによるカット。海藤も偶然のバッティングでカット。こういうアクシデントを味方にできるかどうか、でも真価が問われる。ただ、濱島は目線が狙いすぎているようにみえた。海藤もそれをみすかしたか?上手く避けていて、自分の懐に入らせない。このあたりは流石にランカー。

左手をぶらりと下げた海藤はあきらかに誘っている感じがした。うかつに踏み込めない濱島は、手数が止められている。いつのまにか攻め手の選択肢が少なくさせられていた。海藤という選手の用意周到さはラウンドを重ねるごとに伝わってくる。クドゥラとはまた違う難敵に濱島は苦戦。普通先にダウンとれたら、そこから勢いで押し込んでいけそうなものだが、なかなかそうはならない。これはボクシングでもプロレスでも変わらない。

後半は海藤のジャブからストレートにいくタイミングが冴え渡る。一方で濱島踏み込めない中、強烈なボディブローがみぞおちに決まり、7ラウンドTKO。濱島完敗。

正直ランカーとそうでない選手との力の差がここまであるとは思わなかった。終始動きが柔らかい海藤に比べて、濱島はどこか力みがみえた。実力以上に差を分けた部分があるとしたら、こういうところだったかもしれない。

「濱島はいい経験になったよ」と、私の近くのお客さんが言っていた。しかし、次世代を担うセミファイナリストとして、内容も結果も求められる地位にいる以上「勉強になった」だけで終わらせてはならないだろう。

次はランカーとして下の選手に、今日の海藤みたいな試合を濱島ができるようになれるかどうか。私はその成長の過程も楽しみにして見ていきたい。

メインイベント 8回戦 ライト級
△アクセル住吉(関門JAPAN:17戦11勝[3KO]4敗2分 日本ライト級一位・OPBF東洋太平洋ライト級5位) 対 △柳達也(伴流:21戦15勝[6KO]5敗1分 日本ライト級二位・OPBF東洋太平洋ライト級12位 )
8回ジャッジにより1-0でドロー

日本タイトル挑戦という大テーマがあるメイン。しかしランキング一位にいる住吉にとっては、柳は避けて通れない因縁の相手。地元で負けに等しい引き分けを経験させられたが故に、完全決着を果たしてタイトルマッチに挑みたいところ。

序盤から柳はレバーねらいで攻めてきた。一方住吉は長い勝負を望まないのか、やや飛ばし気味。さすがにランキング1位と2位の対決だけあって、実力は拮抗している。セミまでと違い、会場の緊張感がピーンと張っているような空気に変化した。これがメインイベンターの実力というものだろう。

柳のうまさをかいくぐり、住吉はボディにパンチを決めていく。序盤から相手に圧力はかけられているが、柳もやり返してくる。緊迫した攻防が続いていく。セミまでは冷静にみていた観客がヒートアップしていくのがわかる。

2人とも強弱の付け方がうまい。メインらしい試合になっていった。住吉も柳も非常におちついている。

4ラウンド終盤に住吉がアッパーを食らった。しかしこれは決定打にはならず。柳は、終盤スタミナが少しきれてきたか?力みがみえる。しかし集中力はきらしていない。

結局死闘は8回までもつれ込み、判定は1人のジャッジが住吉の勝ち、ほかの2人はドロー。したがって試合はドローとなったが、規定によってランキング1位の住吉が次期挑戦者に決定。

互いに死力を尽くした闘いだったし、私は負けに等しい引き分けとも思わない。その結果、またしても決着が付かなかっただけだ。インタビューで住吉がベルトを戴冠した後に、もう一度柳との再戦を熱望。タイトルがかかった一番で、この2人の対戦はみてみたい。

全体的にセミまでとメインの試合に差がありすぎた感じがした。KO劇でも生まれなかった感動がメインには確かにあった。それがなんなのか?参戦した選手全員に問いかけられた謎に対して、これから各自が向き合っていくことになるのだろう。

私も「その先」を楽しみにして待ちたいと思う。

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