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[プロレス観戦記] 『葛西純プロデュース興行 広島デスマッチカーニバル2018』( 8月19日(日)広島産業会館西館)

2018/08/25

『葛西純プロデュース興行 広島デスマッチカーニバル2018』(8月19日(日)広島産業会館西館:観衆538人)

FREEDAMSというのは、その土地、その風土を大切にする団体だという印象がある。今月は図らずも後楽園と広島で三回観戦することになったわけだが、北九州で慣れ親しんだFREEDAMSとはまた違う顔が見られるという期待はしていた。

中でもデスマッチカーニバルはいつか見たいと念願していただけに、待望の観戦になるわけだ。北九州では会場の関係でデスマッチ自体の開催が難しい。もちろんデスマッチがなくても、FREEDAMSは地力がある団体だから、十分に楽しめるのだが、別な一面があるなら、それも見てみたいのは人情というもの。

さて、ヤングダムスが終わったのが15時前。外は日差しが厳しい中、歩き回るのは得策ではない。幸い産業会館内には、コンビニもあり、ロビーにイスもあるので、軽く軽食をすませてヤングダムスの観戦記を書く。

なんとはなしにみていると、コンビニに買い出しにいく選手や、お客さんと談笑している選手の姿を散見できて、自分がプロレス会場にいるんだな、という実感を感じさせてくれる。

試合開始前に、FREEDAMSとダブを代表して、豪雨義援金が広島市議に手渡され、1人残った佐々木貴のオープニングコールで大会はスタートした。

◇タッグマッチ
ドラゴン・リブレ、●ヘイセンバーグ(前方回転エビ固め 12分58秒)レイパロマ◯、土屋クレイジー

ヤングダムスに続き2試合目になる土屋と、広島がホームのレイパロマがタッグを組む。ある意味異次元なチームなんだが、これにリブレやヘイゼンバーグがどう立ち向かうか?

基本、レイパロマが自由すぎるので、特にリブレには試練かもしれないが、土屋にとっても正念場である。

それにしても、まさかFREEDAMSで田中ケロリングアナのコールを聞く時代が来ようとは。しかもただの大会ではなく、デスマッチカーニバルなんだから、以前の田中リングアナからは考えもつかない。長いことプロレスをみていると想像もつかないことがあるものだ。

さて、懸念されたパロマと土屋のタッグは意外としっくりきていた。まあ、パロマもあんなになる前は普通に試合していた時代もあったし、それを知っているであろう土屋のリスペクトなしには成り立たないのは確かだろうけど。

見た目は変態だけどベテランの部類に入るパロマを警戒したのか?若手ふたりは何かにつけて介入しようとするパロマを度々場外に放り出して、土屋をローンバトルに陥れようとする。

確かにヘイゼンバーグのパワーだけなら、土屋を圧倒する場面も多々見られたが、ことグラウンドともなれば、土屋の得意分野である。若手のふたりが計算違いしていたのは、土屋をローンバトルにしたら勝算あり、と踏んだあたりにあるのではないか?結果的に土屋にグラウンドで粘られて、パロマにスイッチしたあたりから、流れは完全に広島&山口コンビのものになってしまった。

プロレスというのは特にほかのスポーツと違って、若さと勢いだけではなかなかいい試合にもならないし、結果もついてこない。ただ、ヘイゼンバーグとリブレにとってはこの試合は得難い体験になっただろうし、もちろん土屋クレイジーにとってもキャリアの上で重要な試合になったはずだ。この夏、また経験値を上げたGWAタッグチャンピオンは、9月にむけて順調な仕上がりをみせていた。

◇タッグマッチ
◯進祐哉、ライジングHAYATO withキューティエリー(片エビ固め 12分24秒)杉浦透、香取貴大●
※フロントクラッシュ

こちらもヤングダムスから引き続き登板になるライジングHAYATO と香取。今度はチームではなく、敵味方にわかれての対戦。これに関しては横にいる進のリードが期待できる分、思い切ってぶつかって言ってもらいたい。そういう意味で言うなら、杉浦は容赦しないし、香取もガンガン向かってくるだろう。

熱い試合になればいうことはない。と思ってみていたのだが、やはり対角線上にライバルがいると意識してしまうのか?序盤からライジングが飛ばしすぎてしまう。

生き急いでくる相手を力づくでいなすのは、最近の杉浦透の得意芸でもある。ヤングダムスの時の土屋クレイジー同様に、立っては記憶が飛ぶ打撃。寝ては反り返るキャメルクラッチと、HAYATOをいたぶり続ける杉浦は憎々しい表情で、進も威嚇する。

しかし、誤算だったのは香取がスタンディングで進とキック合戦を申し込んだこと。これで進に火がついたか?烈火のごとき鋭い蹴りで香取を圧倒。最後のフロントクラッシュにつながっていったように、わたしにはみえた。若さは時に怖いもの知らずで、勢いにまかせた攻めに出がちだけど、そういう向こう見ずなところも香取貴大の魅力の一つでもある。

いずれキャリアを積んで進を圧倒する蹴りを磨けば、立場は逆転すると思う。この敗戦を糧にまた香取には大きく成長してもらいたい。

◇6人タッグマッチ
マンモス佐々木、KAZMA SAKAMOTO、●力(体固め 11分15秒)吹本賢児、グンソ、"brother"YASSHI◯
※ツームストンパイルドライバー

FREEDAMS対ダブプロレス…ではなく、混成軍による対決。群雄割拠其の一ではメインで「俺たちは誰かに認められてプロレスラーになったわけではない」という意味のアピールをしたグンソとしては、特にマンモス、KAZMAという巨漢2人に対しては憶することなくぶつかれるはず。

マンモスサイドではすっかりFREEDAMSの常連になった力が、どのくらい意地を見せられるか?

で、やはりダブ勢は吹本寄りに場外戦&ラフ殺法で先手をとる。実は場外戦ならば分があると踏んだマンモスとKAZMAは、この誘いに乗ってしまうが、たちまち慣れてない力がターゲットになり、ローンバトルに。

デスマッチでもストリートファイトでもない通常の6人タッグながら、凶器が飛び交い、ラダーが持ち込まれ、すっかりハードコアの色に染まってしまった。その中で額を血に染めた力がフラフラになりながらも気迫だけで向かっていく姿には、大きな声援が飛んでいた。

やはりマンモスとKAZMAという巨漢2人を場外戦で外に出して、リングの中では力をいたぶる様は、さすが頭脳派の"brother"YASSHIという感じがした。ドラゲーを出た後、様々な修羅場をくぐった"brother"YASSHIの加入はダブプロレスを大いに勢いづかせた感じがした。セイバーチョップで粘る力は健闘したものの、最後は"brother"YASSHIのツームストンで力尽きた。

まあ、デスマッチカーニバルにふさわしく、一足早く血の花が咲いてしまったが、おじいさんも流血というのは通ってきた道。力道山の血を受け継ぐ力にとって、これは避けては通れない通過儀礼かもしれない。

◇ストリートファイト工事現場6人タッグデスマッチ
◯GENTARO、神威、岡田剛史(卍固め 12分54秒)デビルマジシャン●、保坂秀樹、近野剣心

こちらもダブとFREEDAMSの混成チーム同士。ルール的には完全にFREEDAMS寄りだが、GENTAROや神威は普段からデスマッチをやってはいない。しかし、FREEDAMSきっての頭脳派であるGENTAROにしてみれば、このルールは望むところだろう。実際、入場時にツルハシやシャベルなどの本物の工事道具持参でやってきたGENTARO組は最初から「やる気まんまん」だった。

ただ、強いて不安要素があるとしたら、FMWやW☆INGでストリートファイトスタイルを散々体験してきた保坂が対角線上にいることで、これは要警戒。逆に近野やデビルマジシャンには心強い味方になりうる。

ところが、このデビルマジシャンが試合のキーマンになったのだから、わからないものである。正直デスマッチでTシャツ着てくるのは、個人的にあまり好きではないのだが、それを嘲笑うかのように、岡田が用意してきた熊の手が容赦なくマジシャンの背中に突き立てられ、背中が真紅に染まる姿はまさにデスマッチファイターである。

更にコーナーに設置された工事現場の足場の上でGENTAROとマジシャンが登り、事実上の一騎打ちに!この高台の頂上でマジシャンがザ・シークばりの炎攻撃!これで視界を奪われたGENTAROは、高台から自然落下!クレイジーダイブに大熱狂する会場。

しかし、これがダメージにつながらないあたりが、流石レスリングマスターGENTARO。しっかりした受け身で、ダメージを軽減させていたため、大事には至らず。

マジシャンの頑張りに応えるべく奮闘した近野も全力でサポートに徹した保坂も、最後はマジシャンを見殺しにする形に。GENTAROがリング上でマジシャンを捕獲すると、あっという間に絡みついて卍固めに。背中にダメージを負った上に、ガッチリ決められてしまっては身動きがとれない。

近野や保坂もカットに入れず、健闘したデビルマジシャンだったが、たまらずギブアップ。頭脳派のGENTAROにしてみればしてやったり、だっただろう。

最後にマジシャンの健闘を称えながら、最後は一発くらわして去っていくあたりまで、始終GENTAROワールドに染められた試合だった。

◇画鋲デスマッチ
◯ビオレント・ジャック、正岡大介(体固め 14分19秒)佐々木貴、平田智也●
※パッケージパイルドライバー

この試合形式はもうFREEDAMSのお家芸。若くしてデスマッチ進出にも積極的な平田を殿は買っているようで、敢えて対戦相手に団体内でも随一の強豪を出してきた。

キャリアの点で平田が一枚落ちるのは仕方ないが、この試合が平田にどういう意味をもたらすか。注目してみてみたい。

さすがに若手ながら自ら志願してデスマッチに飛び込んできただけあって、平田のクソ度胸は半端ない。

しかし、序盤ではジャックと正岡の正攻法な攻撃には苦戦する場面も多々見られたが、こちらはまだまだ課題として残りそうである。今のデスマッチファイターは基本ができてこそ、という選手がたくさんいるけど、その元を作ったのは大日本であり、FREEDAMSである。

そのFREEDAMSに所属している以上、アイテムに頼りすぎない試合ができるようにならないといけないのは当然だろう。

しかし、さすがは志願してデスマッチに飛び込んできた平田。試合中盤にバケツに入った画鋲を水浴びするかのように、頭からかぶってからは、文字通り水を得た魚のようになったのはさすが。

ところが画鋲がばら撒かれたことで、テンションの上がった正岡とジャックは更に容赦ない攻撃に出てきた。殿も有刺鉄線バットで応戦するが、勢いづいた2人を止めるまでには至らず。ついにローンバトルになった平田に襲いかかるジャックの怪獣パワーが炸裂。必死に耐える平田の前身は画鋲まみれでギラギラ光っている。同じく画鋲まみれになったジャックの目は、画鋲よりヤバい輝きを放っていた。

粘る平田を振りほどいたのは、ジャックのフィニッシュホールドであるパッケージドライバー。さしもの平田もこれを喰らってはひとたまりもない。

しかし、ジャックに必殺技を出させた点では平田がいち若手からまたひとランク上に上がった証拠だともいえるだろう。課題はたしかにたくさんあるが、パートナーの殿も平田の手を挙げて健闘を称えた。鎌田、リブレ、平田といった確実に若い世代が伸びてきているFREEDAMSは団体自体も伸び盛り。彼らの成長と共にFREEDAMSの成長も共に見ていけるのは楽しみで仕方ない。

◇GCWタッグ選手権試合自分の
ガラスボード+蛍光灯&凶器持ち込みデスマッチ
ミエド・エクストレモ、◯シクロペ(体固め 17分17秒)葛西純、藤田ミノル●
※ダイビングボディプレスwith蛍光灯束

何度も書いていることだけど、大日本でデビューしたのに、若き日の藤田ミノルにはこれっぽっちもデスマッチ要素がなかった。もっとも本人曰く「若手の頃はひたすらアイテムを作る役」だったそうだから、使う側になるという意識はあまりなかったのだろう。

とはいえ同年代のライバル、本間朋晃が積極的にデスマッチ路線に進出していたのとは対照的であったのも事実。それが時を経て、本間がデスマッチを封印し、藤田が血みどろになって戦っているんだから、つくづくわからないものである。

わからないと言えば、試合前に田中リングアナが、蛍光灯とガラスボードが設置されたリング内で選手コールしたこと。新日本で大仁田絡みのデスマッチでコールしているとはいえ、 やはり異様な光景には違いなかった。

序盤こそ静かな立ち上がりでスタートした試合は、まず藤田ミノルが上半身のシャツを脱ぎ去り、タイトル奪取に意欲をみせる。

とはいえ、なかなかガラスボードにいかないあたりは、計算され尽くした4人の頭脳がフル回転。

有刺鉄線ボードと違い、透明なガラスボードは見えにくい上に、へたに暴れたら割れやすい分、扱いにも注意がいる。下手したら見せ場がないまま割れてしまう可能性だってゼロではない。

で、一番最初の犠牲者は藤田ミノル。あまりの衝撃音に会場か騒然となるほど木っ端微塵に破裂したガラスが容赦なく藤田の身体に突き刺さる。蛍光灯で徐々にペースをあげていた4人はこのあたりからリミッターを外し出す。

しかし、どちらかというと王者組のフルスロットルぶりに、デスマッチのカリスマ葛西ですらなかなか試合のペースを握れない。これは葛西や藤田が弱いわけではない。やはりチャンピオンチームは強かったのだ。

この日、葛西以上に最もクレイジーだったのは、やはり藤田ミノルと言わざるを得ない。攻撃面よりも強烈な受けっぷりは、筆舌に尽くしがたいほど強烈なインパクトを残した。

あれだけ血だるまになりながら、メキシコチームの繰り出す凄惨な攻撃をほぼ一人で受け切ってしまったのだから、みているこちらとしては驚愕するほかない。

気がつくと藤田に負けず劣らずエクストレモとシクロペも蛍光灯ダイブや自らの頭に蛍光灯を刺して気合入れていたため、こちらも真っ赤な鮮血で全身を染め抜いていた。

だが、やはりガラスボードのダメージは終盤にかけて藤田の身体を蝕んでいたようで、時間が経過するにつれて、試合の流れはチャンピオンチームに傾きはじめた。

かつての盟友・本間朋晃の代表技・こけしを見舞った際には大・こけしコールに包まれたものの、決定打には至らず。それでも、まるでゾンビのように執拗にキックアウトしていく藤田と葛西はまさに必死の抵抗を試みる。大葛西コール、大藤田コールにも後押しされて、流れはチャレンジャー側にきたかのようにみえた。

だが、最後は蛍光灯を抱えたまま、ダイブしてきたシクロペの前に、藤田ミノルもとうとう力尽きて、勝負アリ。チャンピオンチームは本当に強かった。会場の空気も、葛西や藤田の生き様にも真っ向から立ち向かい、跳ね返した。見事というほかない。

試合後、マイクを持った葛西は「藤田さんとは20年来の長い付き合いになるけど、今日負けたのには、意味があるんだ。それはもう一回この広島で、この2人がチャンピオンに挑戦しろ、って事なんだよ!」と絶叫。

これに応じた藤田も「新日本の本間朋晃。あいつも地獄見て生きて帰ってきた。あいつは本当にすごい。だからな、俺たちがあの黄色いやつに負けるわけにはいかねえんだよ!こんな血まみれのオッさんの姿、TVじゃ流せねーだろ!」とアピール。

2人とも実は本間を相当意識した上で、 本間を越えようとしていたのだ。本間とは生き方こそ違えたが、生き様で負けたくないという2人の矜持をみた思いがした。

デスマッチも数多く見てきたが、デスマッチカーニバルは今までのどれとも違う凄みとドラマがあった。まさにデスマッチの申し子である葛西純の面目躍如たる大会だった。

これが毎年見られる広島が羨ましくもあったし、でもやっと広島に日帰りできるようになって、これから毎年デスマッチカーニバルが見られるというワクワク感とで、帰りは大満足して帰路に就いた。約25年ぶりの広島に、またひとついい思い出ができた。ありがとうございました!

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