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[プロレス観戦記] プロレスリング華☆激 アステカデビュー25周年記念大会 博多☆エストレージャ(7月14日(土)さざんぴあ博多)

2018/07/19

プロレスリング華☆激 博多☆エストレージャ(7月14日(土)さざんぴあ博多)

なんと前売りの時点でチケットがソールドアウト!当日券が出せない!さざんぴあで前売完売というのは、直近ではDDT以来ではないだろうか?華☆激なら初期の満員伝説以来だと思う。

その初期の華☆激が満員伝説を続けてい時も、IWGPジュニア戦をやった時のスカスカの入りをもみてきた私にとっては感慨深い出来事である。

私にとって華☆激という団体は、正直スターレーンとかでみたくはないので、このままさざんぴあや田舎の会場を満員にして、今までプロレスを知らなかった人にプロレスの魅力を伝えていってほしい。今の華☆激ならそれができると思うからだ。

アステカの実戦復帰戦があり、スペル・デルフィンがゲストででるとはいえ、ソールドアウトという結果は、ここまで地道にアステカたちが信頼関係を紡いできた実績でもある。それが数字になって表れたのだ。プラスアステカデビュー25周年でもあるし、ご祝儀としては申し分なかったのではないだろうか?

オープニングトークはMC ShujiとハラキリハカタJr.による掛け合い漫才みたいな前説。なぜかコールの練習するのに、コーナーにハラキリを登らせて、MC Shujiが観客にコールを要求するというカオスな練習をさせられてしまった。きっと満員の観客を前に舞い上がってしまったのだろう。まあ、ボケとしては最高だったけど(笑)

第1試合
×KING (20分1本勝負) ○二代目上田馬之助

華☆激から独立したKINGと、九州の巨漢レスラーとしては先駆者的な位置にいる2代目馬之助。ある意味新旧世代対決だが、スカルリーパーA-jiとのタッグを解消し、ダークサイドFTOを牽引する馬之助としては、そうやすやすと後陣に席は譲れない。

どちらも心機一転した立場だけに負けたくはないだろう。

序盤に馬之助が握手を求め、KINGが応じようとしたら、さっと手を引く。心理戦で早くも馬之助が優位に立つ。探り探りの展開がしばらく続きロープに詰めてはブレイクを繰り返す。先に均衡をやぶったのはKING。馬之助をどつくと、これに呼応してラフを仕掛けていく馬之助。タイミングを計ったかのように、ラフに切り替えるのはさすがダークサイドFTO。でも、デスロックからのサーフボードなど小技でじわじわKINGの動きを封じていく。

しかもKINGをミスタースーにぶつけていき、さらに竹刀攻撃。ラフとテクニックの二段構えで失神させ、その隙に竹刀攻撃を仕掛けていくあたりも実に小憎らしい。KINGは真っ向勝負には強いが、インサイドワークには未だに難がありすぎる。KINGは巨体とパワーでは馬之助に引けをとらないだけに、もう少し状況がよくみえていたなら、結果は変わったかもしれない。

第2試合
〇エキス・オダジモ & ヴァンヴェール・ジャック (20分1本勝負) ×エル・ファルコ & ユーセー☆エストレージャ

ネグロが抜けたあとの、レアル枠は基本ジャックとユーセーがトップなんだが、そこに割って入る大人組として、ファルコとオダジモは最有力候補である。

4月以来見違えたオダジモと、ややブレーキがかかっているファルコ。それでもファルコがリードしている現実は変わらないが、オダジモがベビー・ヒール関係なしに上を取る意識が強くなってきたら、これはもうウカウカしてはいられない。

そもそもオダジモの枠にいたウラカン・マリーノあたりはもうすこし焦ってもいいと思うのだが、定位置が保証されていないという点では正常な競争が存在している。これがいい方に転がるとレアルは面白くなる。

さて、スタートアップはユーセーとジャック。もはやベテランの域に達している二人のレスリングは毎回魅入ってしまう。昔は飛んだり跳ねたりを意識した動きが多かったのに、今はルチャのアクションは「ここぞ」というときにしか出してこない。じっくりしたグラウンドレスリングは、時間が許すならもっとみたかった。

一方大人組はファルコがやや押し気味に試合を進めていく。オダジモはこういうじっくりした動きにはまだ難がある。ユーセーとジャックのような「引き算のプロレス」ができないのだ。引き算というのは何かを足していくのではなく、いかに何もしないで自分の存在感をお客さんに植え付けられるか、ということ。まだ空中戦や運動神経を駆使した動きがないと試合が組み立てられない。だから試合のクオリイティが時々雑になる。

しかし、ジャックのタッグワークはこういうときにも力を発揮してくる。オダジモをうまくコントロールしてピンチらしいピンチを作らない。とはいえ、ユーセーだって負けてはいないので、試合は自然と白熱。

強いてユーセーサイドのミスがあったとしたら、オダジモ狙いではなく、ジャック狙いで試合を組み立ててしまったことと、この日もファルコのファルコンアローへいくタイミングが早かったこと。

想像以上にオダジモとジャックに粘られたというのもあるけど、オダジモを早いタイミングで捕獲しておけば・・・とも思った。逆にジャックサイドは最初からファルコ狙いだったし、気が付いたらファルコがはめられていた印象。それだけ、ジャックのインサイドワークは狡猾だったということ。これで中学一年生なんだから、全く恐れ入るしかない。

白熱の試合は時間ギリギリでジャックとオダジモの連携が決まって、ユーセーを場外へ釘付けにして、オダジモのファイヤーバードにつなげたジャック組の勝利。ここのところ勝ち星には見放されているファルコだが、逆に言うとまだ彼にも伸びしろがあるということ。お見事でした!

第3試合
〇日向小陽 (20分1本勝負)×沙紀

雑誌numberの表紙をかけたプロレス総選挙で、2018年は31位にランクインし、アメリカでも試合をこなしてきた日向小陽は、今やワールドワイドな活躍をする選手になった。沙紀もフリーに転身してから、着実に成長してきている選手だが、先駆者ともいうべき日向小陽の前で、果たして実力を発揮できるか?

序盤は背丈の違いを利用した手四つの攻防から、次第に熱を帯びていく。小陽にしろ、沙紀にしろ地方のお客さんの前で試合している経験が豊富な女子レスラーは、東京でしか試合していない選手と比べて実に四方がよくみえている。

日向小陽も自身の特徴をとらえた試合をするが、沙紀もまたブロディばりのビッグブーツで小柄な小陽を何度も吹き飛ばす。迫力ある攻撃は沙紀の魅力の一つだろう。

しかも、なぜか沙紀のセコンドについた馬之助が試合に介入。またもミスタースーを襲撃。これに怒ったKINGが馬之助を排除。リングに戻ったミスタースーが阿部四郎ばりの高速カウントで日向小陽を無理やり勝者にしてしまった。抗議する沙紀と馬之助だが、あとのまつり。すーさん、受難の巻だった。

第4試合~アステカデビュー25周年特別試合~
アステカ & 〇小川聡志 & 林田伸一 (60分1本勝負) スペル・デルフィン & アズールドラゴン & ×ハラキリ・ハカタJr

アステカが心筋梗塞を患って以降、バトルロイヤルには出ているが、いわゆるガッツリした試合に出るのも初めてならば、対角線上にいるハラキリ・ハカタJrとは初対決になる。ありそうでなかった極めて珍しいカードなのだ。バトルロイヤルの経験があるとはいえ、完全復帰できるコンディションではないので、無理はしてほしくないのだが、こればかりは試合が始まってみないとわからない。

さて、この試合は内容を振りかえるというより、アステカのことについて長くはなるけど書いておきたいことがある。それは「何もしない」ということ。

試合前も試合後も、しきりに「何もできていない」と嘆くアステカに私は「何もするな」といってきた。何かをしないと印象に残らないプロレスをするくらいなら、何もおしなくても印象に残る試合の方がずっと価値がある。それは人生でも同じで、何かをしなくてはともがく時期も必要なんだけど、そこを過ぎてしまうと「引き算」で物事をとらえていったほうがいいと私は思っている。

とはいっても遮二無二頑張ってきた人間ほど「何かをしなくてはならない」という呪縛にはとらわれやすい。でもある程度頑張ってきたら今度は「何もしない」勇気も必要だと思う。「何もできない」のと「何もしない」のとでは意味が全然違うのだ。

アステカがもともと「できる」ということは全員しっていること。だったら、できることをすべて見せないで、あえてやらない選択をしたほうがいい。もちろん試合をするなということではなく、その中で今までやってきたことを「あえてやらない」という取捨選択をしていく時期にきていると私は思う。それは心筋梗塞とかは関係なく、いつか通過儀礼として必要になってくること。それがたまたま今ここで、自分と向き合うきっかけとして病気があったというだけのことなのだ。

おそらくアステカは自分が過去にやっていた理想像に近づこうともがいていると思うのだが、そんなことはもはや、誰ももとめてはいない。むしろいかにして何もしないで「アステカ、すごいじゃないか」とお客に思わせるプロレスを構築していったほうが身体にも優しいし、かつお客さんにも喜んでもらえる。だから私は「引き算のプロレス」を勧めているのだ。

いい例が藤波さんや藤原組長の現在の試合である。あれこそ究極の「引き算プロレス」ではないか?飛びもしなければ派手な大技も使わない。力押しもない。でもお客さんは喜んでいるし、勝ち方や技の説得力は衰え知らずである。言葉をいいかえるならあれこそ「円熟」というやつである。

アステカという選手には以前から矛盾があって、マスクのデザインはシンプルなものを好む割には、試合はなんでもやってしまおうとする。飛んで蹴って決めてフォールして・・・一通りやらないと気が済まない。試合は決してシンプルではないのだ。エル・ブレイブの中身と本質はあまり変わっていない。違うのは技の組み立てと、プロレス頭の違いだけ。

でもせっかく心筋梗塞という、とりようによってはスタイルをシンプルに改造できるチャンスを得たのだから、これからは病前のコンディションに近づけるのではなく、よりシンプルでしかも魅せられる新生アステカを目指してほしい。そのほうがファンも安心できるからだ。

試合は本大会プロデューサー小川がハラキリを仕留めて締めた。試合後、マイクを持ったアステカは選手全員とスペル・デルフィンに謝意を述べ、なぜかインスタの撮影会までやってしまった。この自由すぎるところがアステカの本領だな、と苦笑しつつほほえましく見ていた。アステカ、25周年本当におめでとう!

第5試合~博多タッグタイトルマッチ~
[王者組]コスモ☆ソルジャー & ×エル・ブレイブ (60分1本勝負) 新泉浩司 & 〇ヴァンヴェール・ネグロ[挑戦者組]
(挑戦者組が新チャンピオンに)

事実上華☆激タッグ戦線の頂上対決。挑戦者とはいえ、新泉とネグロは昨年の篠栗でタッグチャンピオンになっている実績がある。都合上ダブルタイトルにできないだけで、王者同士の対決。

しかもシングルではコスモが昨年虎の子の博多ライトヘビー級を新泉に奪取されている。コスモとしてはチャンピオンでありながら、排水の陣でもある。

ネグロにしてみたら二つ目の勲章はほしいだろうし、ブレイブだってそう簡単に道は譲りたくないはず。そういう思惑を考えると、4人の中で「ベルトがいらない」選手がいない、ということになる。タイトルマッチを闘うモチベーションとしてはベストな状態にあると、私は予想してみた。

さて、試合は予想通り両チームのモチベーションは最高に高かった。以前ならいち若手扱いしていたであろうコスモが本気で新泉をライバル視していたし、ブレイブも後れを取るまいと今まで以上に必死になっていた。チャンピオンチームなのにチャレンジャーのような形で向かってくるコスモ&ブレイブに対して、どうしてもローンバトルが続く新泉とネグロ。しかも分断された上に、両方とも足元がふらつくくらいに追い詰められていた。

しかし、以前なら打撃戦で打ち負けていた新泉が、この日も踏ん張った。ブレイブもコスモも気迫のこもったエルボーで打ち倒していく。その姿は今は亡き三沢光晴を見るかのようであった。これに呼応したネグロも負けじと自身のピンチであきらめずにかえしていく。これが吉と出た。

最後はコーナー最上段からのダイビングセントーンでネグロが粘るブレイブを振り切って自力でタイトルを獲得した。笹栗の時はまだ新泉任せだったことを思うと、今年一年でネグロがさらに進化したことを裏付ける試合だったと思う。

試合後、挑戦者を募ると小川がリングイン。40過ぎてデビューした小川は、今までタイトル戦線に絡めなかったことから、今後は自己主張をするという。

そしてパートナーに指名したのが林田だった。しかし林田は同世代でもすでに一線を引き始めているキャリアの持ち主。これから這い上がろうという小川とは向かっているベクトルが違うのだが、小川は構わず挑戦表明。チャンピオンも受諾したため、林田の意思とは関係なくタイトルマッチが決定してしまった。

いや、本当にギチギチのフルハウスになるとは思わなかった。凄い熱気と凄い試合。往年の華☆激とはまた違うよさがあって、わたしは今のメンバーがいる華☆激は大好きである。

会場には10数年ぶりに華☆激見にきた人や、初めて華☆激を見にきた人もたくさんいた。やはりアステカ25周年はこの年にしかない。そういう意味では天の配剤が噛み合った素晴らしい大会だったと思う。

プロレスにも足し算引き算があるように、興行も生き物だから足し算引き算がある。記念大会だからといって足しすぎず、引きすぎずというのもバランスがよくてよかったと思う。素晴らしい大会だった!ありがとう!

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