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[プロレス観戦記] センダイガールズプロレスリング「カサンドラ宮城凱旋」下関大会

2019/06/03

センダイガールズプロレスリング「カサンドラ宮城凱旋」下関大会(2018年07月01日 日 海峡メッセ下関)

昨年初進出で海峡メッセをほぼ満員にした仙女が1年ぶりに凱旋。しかし昨年は翌日にボクシングがあるだけだった。 だが今回は防府で琉球ドラゴンプロレスが、周南では毛利道場が関わっているプロ修斗がほぼ同時刻開催と、山口県では初になる?大興行戦争になってしまった!めったにないもんが、なんで同じ日に重なるかなあ。

特に山口市という魔界生まれのカサンドラと、防府市出身の琉球ドラゴン所属・シークワーサーZにしてみたら、まさかのバッティングだろう。見る側だって頭が痛い。東京みたいに興行戦争が日常茶飯事ならいざ知らず、だ。

海峡メッセにしても、今年大会を開いたのは2月のドラゲーだけ。県内見渡してみても、ほかには数えるほどしか興行はない。なのにこんな偶然を仕掛けてくるなんて、神さまはなんて意地悪なんだろう。とはいえ、どれか一つ選択するなら地理的には下関大会を選ばずをえない。というわけで2年連続仙女観戦は自然と決定していた。

全選手入場式のあと、この日誕生日の橋本千紘にサプライズでバースデーケーキがプレゼントされた。試合前のミーティングでハブられていた橋本は、文句を言いながらも感謝のマイク。しかし、これにいちゃもんをつけたのがカサンドラ。

なんせポスターにもデカデカと「カサンドラ宮城凱旋」と謳われている以上、主役の座は譲らない。かくしてメインで闘う両者は大会前から激しく火花を散らしていた。

その入場式のあとは、なぜかカサンドラ宮城のワンマンショー。たしかに女子プロといえば「歌」だが、カサンドラのキャラクターのまんま歌いきってしまった。凱旋とはいえこうなるとなんでもありだな。最近の仙女はひたすら「攻めている」イメージがあって個人的には好感をもっている。

第1試合 シングルマッチ 15分一本勝負
×愛海(4分17秒  逆エビ固め)佐藤亜海○

中学生レスラーとして名が売れてしまった愛海と、昨年夏にデビューした新人・佐藤。もともと女子プロというのは25歳定年制があって、15歳くらいから入門してくるのが当たり前だったのだし、最近でこそクローズアップされるようにはなったけど、アイスリボンや我闘雲舞系の団体だとめずらしいことではない。

ということで、年齢は佐藤の方が上だが、愛海の方がデビューは二か月早い。この世界ではキャリアが絶対なので、当然「先輩」の愛海が「後輩」の佐藤に胸を貸す・・・展開を予想していた。

しかしいざ見てみると体格差が歴然。愛海はこれから伸びていくとは思うけど、現時点ではいかんせん技が軽い。その分、後輩である佐藤の方がパワーで押せる分、有利だった。

でも、それで愛海が試合をあきらめるのかと言ったらそうではなく、しつこいくらいのドロップキックや丸め込みなど、往年の全日本女子プロレスで受け継がれた伝統的女子プロの組み立てで、ハンディをカバーしようとする。

トラディショナルな女子プロというと、やはり他団体ではなかなかお目にはかかれない。その分第一試合らしい試合にはなっていた。最後は丸め込み合戦をしのいだ佐藤ががっちりボストンクラブで愛海からギブアップを奪った。これで、佐藤がセミのナイラ・ローズのパートナーに抜擢されることになった。

仙女のHPに掲載されていた佐藤の目標である「一勝」はとりあえず達成されることとなった。

第2試合 シングルマッチ15分一本勝負
○アレックス・リー(10分08秒 ネックハンギングボム→エビ固め)アイガー×

ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のアレックスはもともとWWEのファームにもいたことがある選手。師匠はあのランス・ストーム(若い頃クリス・ジェリコと組んだ、サドン・インパクトというチームで活躍した選手)らしい。ランスの試合はたくさんみてるけど、アレックスは師匠に似たタイプではないような気がする。師の得意技だったボストンクラブも使ってないし、師弟って言われないとわからないかもしれない。

まあ、師匠ランスはWARにも参戦しているので、同じWARのリングで試合していたLLPWの選手とは接点がある。LLPW-Xのアイガーとアレックスには遠くて広い意味での縁があったということか。余談だがアイガーの「生まれ故郷」はこの海峡メッセでもある(2003年8月17日初登場)。魔界とも接点がある会場だから、仕方ないか(笑)

来日後、アレックスはREINAに所属していたが、REINA解散とともに色んな団体を渡り歩くようになった。OZアカデミーではヒールもやっているそうだが、まあ対戦相手がアイガーだとヒールファイトというわけにもいかないだろう。

なんだかんだいっても怪奇派にして息の長いベテラン・アイガーの需要は地方に行くほど高い。やっぱりみただけでわかりやすいというのは必要不可欠で、大都市以外にも巡業をこなす仙女では必要なコマということがいえるだろう。

得意のキックでアレックスが畳みかけようとすると、さっと間を外すアイガーは、こういうところでもベテランのテクニックを発揮。途中、途中で会場のお子さんを連れまわしたり、アレックスを場外でいためつけたり、はたまたチェーンを使った攻撃など、実にわかりやすい悪党殺法で会場のヒートを買っていく。

しかし、鋭いキックと長身を武器にしたアレックスは終盤近くでようやくペースをつかみ、ネックハンギングボムでアイガーに辛勝。ただ、試合の大半はアイガーペースだったので勝ちだけでも拾えたのは儲けもんかもしれない。

第3試合 シングルマッチ15分一本勝負
△里村明衣子(時間切れ引き分け)桃野美桜△(マーベラス)

この日のベストバウト。簡単に言うと試合の8割は、里村の横綱相撲だったといえるのだが、それに桃野が食らいついていったおかげで、よもやの時間切れ引き分けという結果になった。

そもそも、3月に英国fight club proで男子プロレスの王者になって以降、DDT参戦もあわさって一躍時の人になっている里村。7月24日には新木場でKO-Dの6人タッグベルトに挑戦する上、KO-D無差別級に「いつでもどこでも挑戦できる」権利まで持っているのだ。普通考えるともはや女子の中には敵がいないと考えても不思議ではない。

だいたい引退前とはいえ天龍源一郎に二度も立ち向かっていた時点で、里村もそうとうなものだったのだが、ここへきてとうとう男子レスラーをも標的にし始めたのだからそれもありえる話なのだ。

ところが、同じ長与千種の遺伝子をもつ「妹弟子」桃野が、この横綱の前に立ちはだかったのだから、面白い。中盤まではほぼ里村の独壇場で、桃野は防戦一方だった。デスロック式のフェイスロックや変形のサーフボードストレッチなどの拷問技で、里村からいたぶられ続けていたので、このまま試合が終わってもおかしくはなかった。

だが、これを耐えきった桃野はここから怒涛の反撃に転じていく。ドロップキックを連発して、さらに足四の字で里村の足殺しに出て、ここからクロスボディの4連発に移行。里村も流れを断ち切ろうキックで反撃するが、これをヒールホールドで切り返してさらに里村の足にダメージを与えていく。

だが、里村もここから反撃に転じていく。腕ひしぎでダメージを与えて、得意技のデスバレーボムに移行するもカウント2でよもやの時間切れ引き分け。里村にデスバレーを出させる暇を与えなかった桃野の攻めは称賛されてしかるべき!その証拠に里村は、拍手で桃野を称え、握手をして深々とお辞儀をした。

まあ、いち地方大会のシングルとはいえ、自分をここまで追い詰めた桃野に対する素直な気持ちだったのだろう。正直、桃野も里村の手の内で踊らされていたとはいえ、途中からぐいぐいと押し切っていったのは見事だった。間違いなくこの日のベストバウトはこの試合だった。

セミファイナル タッグマッチ20分一本勝負
×佐藤亜海(第1試合目の勝者)&ナイラ・ローズ(マーベラス)(10分42秒 ヴァルキリースプラッシュ→片エビ固め)DASH・チサコ&KAORU (マーベラス)○

正直「十文字姉妹」がとても魅力的なタッグチームだったので、KAORU寄りのカラーがついた「Riot Crown」というのは、本人たちがどう思おうとあまり私は好きではない。KAORUがハードコアというほどハードコアしてないせいもあるけど、やっぱKAORUにはルチャのイメージが強いことも一因だろう。

WWEでリタがハーディボーイズと繰り広げたハードコアをみてしまうと、日本人女子のハードコアはどうもなまぬるくて仕方ない。ただ凶器を使っているだけでハードコアというんだったら、取り消してほしいくらいなのだ。そういう意味でいうとDASHチサコ個人には期待したいことがあるけど、「Riot Crown」にはあまり興味がもてないのだ。いい方はきついけど、わたしには「ファッション・ハードコア」にしか見えないのだ。

さて、マーベラスのナイア・ローズは長与千種一押しの外国人選手らしい。現在二冠王ということで、体格だけ見てるとWWEのもとRAWチャンピオンのナイア・ジャックスを彷彿とさせるたたずまい。パワーも桁外れでさすがチャンピオンという感じ。

当然Riot Crownの狙いは佐藤一択になるわけだが、どう見ても自分の土俵でしか闘わないKAORUとチサコのプロレスはどうもしっくりこない。自分たちのやりたいことしかしていないようにしか見えないのだ。そりゃやっているほうは気持ちはいいだろう。

しかも、チサコはKAORUの実質的な露払いになっているし、とってつけたような凶器攻撃も本人たちが思うほど会場のヒートを買っていない。ハードコアというのは自分が楽するためにある試合形式ではない。自らの身体を痛めつけて、敵を倒すのがハードコアなのだ。そこに「クレイジー」な要素もないと、私はハードコアとはとても呼び難いと思っている。

最後もKAORUがヴァルキリースプラッシュで佐藤を仕留めたが、彼女ほどのベテランがキャリアの浅い新人に勝つのは当たり前。どや顔する前に、もっとやるべきことがあるだろう。まあいまさら言ってもどうにもならないか。

メインイベント タッグマッチ30分一本勝負
×岩田美香&橋本千紘(15分07秒 ツームストーンパイルドライバー →エビ固め)〇カサンドラ宮城&永島千佳世

カサンドラばかりがフィーチャーされやすい下関大会だけど、福岡県遠賀出身で、親戚が山口県にいる岩田美香にとっても「準・地元」といってもいい。ただ、カサンドラも九州産業大学出身なんで、山口県だけでなく、福岡の大会も凱旋といってもよく、何かというとこの2人はスポットライトの当たる場所がやたらかぶるのだ。

そのうえ、現仙女チャンピオンにしてこの日が誕生日の橋本が対角線上にいるとなると、カサンドラとしては「主役の座は譲れない」という気持ちになって当然だろう。ベテラン永島はひたすらサポートに徹する。

実をいうと里村も含めて、もとGAEA勢は頻繁に下関で大会を打っていたが、GAEA解散に伴って、地方進出の機会が減ってしまった。いい例が引退した植松。地方の人間にとって「若手の姿」しか記憶にない選手がいきなり引退してしまうイメージがぬぐえなくて、「浦島太郎」状態になってしまったことを、今でもおもいだす。

そういうわけで、実をいうと里村の横綱感にも違和感があったのだが、昨今地方でも見る機会が増えてだいぶん今の実像を受け入れられるようになってきた。とはいえ、永島自体は、GAEAのころから記憶が止まっているため、なかなか現実を受け入れにくかった。

試合は「主役」争奪で争うカサンドラ・橋本・岩田の意地の張り合いで非常に盛り上がった。特に岩田は準・地元でもあり、おじいちゃん・おばあちゃんの前でいい恰好をしようと必死だった。感情のリアルさが伝わりやすいのはプロレスのいいところだけど、この試合はその典型のような形になった。

しかしカサンドラも終盤にきて盛り返す。永島への誤爆が亀裂の決定打にならなかったのも幸いした。岩田にねばられて手を焼いたものの、ツームストーンパイルドライバーで岩田を振り切った。

試合後「お前ら、魔界のいけにえのおかげで大成功だった」とカサンドラ流のワードで謝意を述べて大会を締めたカサンドラ宮城。もはや年一の下関大会は定着したといっても過言ではないだろう。ドラゲーしかこなくなった下関に仙女が根付いてくれたらこんなにうれしいことはない。

そうそう、この日は珍しくサムライTVのカメラが入っていた。女子プロのお仕事で入っているのだと思うけど、これも珍しかった。

ただ、お願いだから県内の興行戦争はこれきりにしてほしい。日程がばらけていたら、絶対に全部観に行けたのに・・・それだけは終わってもなお釈然とはしなかった・・・。

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