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[プロレス観戦記] 障害者プロレスFORCE第44回大会 障害者スーパーバトル(2018.6.23 土 さざんぴあ博多)

2018/06/29

障害者プロレスFORCE第44回大会障害者スーパーバトル(2018.6.23 土 さざんぴあ博多)

2000年旗揚げから18年にわたり、44回もの大会をひらいてきた障害者プロレス団体FORCE。さざんぴあのイベント案内には障がい者プロレスと表記されていたが、FORCE側が障害者と表記しているので、ここではその通りに書こうと思う。

がむしゃらプロレス春の恒例イベントになっている小文字祭。今年は第2試合にこの障害者プロレスFORCEの提供試合が組まれていた。とはいえ、私が障害者プロレスの存在を知ったのはこれが初めてではない。実は遥か昔のことになるのである。

20数年前、とあるプロレスムック本で障害者プロレス「ドッグレッグス」の存在を知った。東京の友人達が観戦に行った話などを聞いていつか見たいと思っていたが、いかんせん専門誌にも情報はなく、ほぼ黙殺された状態で、地方から観戦に行くにはハードルが高すぎた。そうこうしているうちに、偶然福岡にも障害者プロレス団体があることを知る。それがFORCEだったのだ。そして2014年10月、アクロス福岡で行われたワクチンファイトでは、ドッグレッグス対FORCEという頂上対決まで見られた。こうなると後はもう本戦を観に行くしかない。

しかしながら、近くに見られる機会を得ながら今度はなかなかスケジュールが合わない。決定的なのは試合開始時間が早いことで、これが非常に難儀なのだ。おまけに、チケットはメールか電話でしか受け付けないらしい。いくら試合見たからといって、面識のない選手のケータイに直電できるほど、図々しくなれない私は、これにも困っていたのだ。これだけは何十年プロレス観続けていてもチキンハートのままなのだ。

しかもこれだけのネット社会になった現代にあって、東京のドッグレッグスの情報すら満足に集まらない現状もあり、FORCE観戦は困難を極めていた。そんなFORCEに、知己がいるレアルルチャが定期参戦するようになって、FORCEの情報が集めやすくなった。こうなれば、後はタイミングの問題。

6月23日は前日実家に帰省して、北九州に帰る日なのでうまく乗り継げば、試合開始に間に合うことが判明。チケットはレアルルチャのエル・ファルコ経由で取り置きを頼んだので、問題なし。これで待望のFORCE本戦を観戦できる運びになった。ドッグレッグスではないけど、日本に数少ない障害者プロレスを生で見るという、私の四半世紀に渡る宿願がやっと果たされる日が来たのだ!

ところが、インディ時間が発動して、入場は15分遅れ。試合開始もインディ時間で15分遅れたため、埋め合わせでナガノと、レフェリー兼リングアナで、ラッパーでもあるというアトラス古賀とが前説をはじめた。大学で非常勤講師もしているナガノは実に流ちょうに、ところどころ毒をいれながら、軽妙なトークであっという間に時間をうめていった。

オープニングマッチ5分1R シッティングマッチ○吉田翔 vs ×大阪デビル

FORCEのルールは基本10分1本勝負。通常のプロレスルールと変わらない。スタンディングマッチは立った状態ではじまり、有効な打撃が入るとダウンになる。

シッティングマッチは、座った状態からスタートするが、両足の裏のみで立つと反則になる。有効な打撃による戦闘不能状態はダウンとして数えられる。(FORCE公式ルール説明より抜粋)

ということで、この試合だけ5分1ラウンド。まあオープニングにマッチというよりアンダーカード扱いなんだろう。

佐賀出身の翔はデビュー前だけど、プレデビューという形で試合が組まれた。相手は大阪より飛来したヒール(自称?)の大阪デビル。いつもならヘルパーさんの付き添いがあるのに、今回は自力で新幹線の予約して一人でやってきたらしい。

デビルというくらいだから、どんだけ悪いやつなんだろう?と思っていたら、一番悪いことをしたのが、トイレの便座を壊したことなんだそうだ。これは悪いやつだ!

しかし、なぜか試合では悪役殺法も出さず、翔のなすがままに。というか若い翔の勢いが凄すぎて劣勢に回る場面がたくさん見られた。長旅で疲れたか?本人が思い描く悪役像と、現実の乖離が甚だしい(笑)

そもそもデビルなのに、入場テーマがソルジャードリームというベビーフェイス感バリバリの選曲もどうにかしないと極悪ヒールの道は遠いと思う。

せっかく大阪から来たんだから、新人相手に負けて帰るだけじゃかませ犬に等しい。やはりそこはいい人で終わってほしくなかったなあ。

逆にデビュー前にして白星あげてしまった翔はこれからが大変。いきなり先輩ごえした以上、内容も問われてくる。今日以上の試合を見せていけるかどうかが分かれ目になるだろう。

全選手入場式

オープニングマッチを終えた2人をそのまま残して全選手入場式。障害者というかなり広いくくりで集まっているので、皆それぞれ入場形態も異なる。ところが、一番個性的だったのがレフェリーのアトラス古賀さん。ラップを習いに行っているということで、全対戦カードをラップで紹介するのだが、クオリティが微妙で「何をいっているのかわからないと思うんで、対戦表をご覧の上ご確認ください」といっていたナガノが、ラップ終了後に、あらためてカードを発表。

このあたりがグダグダなのか、そうでないのかが微妙なことろで、いかにもプロレスっぽいなあと思って楽しみながらみていた。

第1試合 10分1本勝負 シッティングマッチ
×白虎 vs ○公務院 孝三
(6分2秒 打撃によるTKO)

公務院孝三は本物の公務員だそうで、小文字でみた時同様、上から振り下ろすチョップが非常に効果的。音も迫力があるけど、自身が声出していくスタイルは、オープニングマッチにはなかったもの。

白虎もヒールとは言いつつ、それっぽいこともせずに、いいところなく負け印象がある。やはり試合を支配するには、存在感も薄いし、わかりやすいヒール像を作らないと、厳しいと思う。

ぶっちゃけ毒霧吹いて反則負けするくらいふてぶてしくても良かっただろう。白いマスクに毒霧はないかもしれないが、反則にも色々あるんで、試合が決まったあとでもなんか爪痕残すくらいの気持ちが見たかった。

第2試合 10分1本勝負 スタンディングマッチ
×フィアーフェイスvs○座頭市 徹
(4分45秒 凶器による反則)

座頭市は座頭市の曲ではなく、なぜか必殺仕事人の「さよならさざんか」で入場してくる。確かに見た目は勝新太郎みたいな感じより、仕事人寄りではあるんだが、そのギャップはかなり面白い。

ヒールらしからぬ?白虎に対する不満に対してフィアーフェイスはFORCEのなかでは一番悪役像を体現できていたと思う。ひっくり返ったポジションが悪かったにせよ、凶器攻撃(フォークらしきもの)で、目が見えない座頭市を攻撃するというのは、なかなかゲスい昭和っぽさを感じる。

身内にいるからわかったような事を言うわけではないが、障害者は聖人君子でもなんでもない。そこを綺麗事で片付けないところにも好感が持てた。

ただ、反則暴走がなくても座頭市が勝ちそうにみえたのだけは反省点かもしれない。やはり暴走にプラス実力でもベビーフェイスを圧倒していかないと、てっぺんはとれないと思う。

第3試合
レアル・ルチャリブレ提供試合
磁雷矢&×エル・ファルコ対ヴァンヴェール・ネグロ&○エキス・オダジモ
(17分26秒 ファイヤーバードスプラッシュ)

提供試合というと何かとユーセーとジャックが駆り出されやすいレアルで、久々のオトナのルチャ。しかも最近はあまり対戦機会がないネグロと校長が相見える。ここに近年成長の跡がみえるオダジモと、ネグロの後塵を猛スピードで追いかけるファルコがどう存在感を出して行くか?

入場時恒例の磁雷矢校長のガンアクションだが、なぜか敵陣のネグロだけでなく、なぜか味方のファルコまで撃ち抜いてしまった。あげく「ヒーローは何をやってもいいのだ!」と開き直る始末。校長は相変わらず存在自体が自由すぎる。

試合はオダジモとネグロが磁雷矢校長を意識しまくり。一方でターゲットはファルコに絞った戦い方を披露していた。やはり場数の違うネグロがリードすると、オダジモもより自由に動けるようにみえた。まあ、課題があるとしたら、ネグロなしで今日くらいのクオリティの試合を見せていけるかどうか、だろう。

さて、入場時に校長に撃たれたファルコだが、やはり校長の前でいいところ見せたかったからか?少し浮き足立つような感じがみえた。KAZE戦でみせたような周到さよりも、勢いだけで飛び出しちゃった感じがして、普段なら追い込まれない場面で追い込まれていたようにみえた。まあ、気持ちはわからないではないのだが、浮き足立ちすぎると足元は救われるわけで、ネグロがそのあたりを見逃すはずもない。

磁雷矢校長を分断してからの、ネグロとオダジモの連携は実にスムーズで、最後はオダジモのファイヤーバードにファルコが沈む形になった。

確かにオダジモは4月に比べたら進化はしているし、声もよく出ている。以前とはみちがえるくらい気持ちも伝わる試合ができるようになった。

あとはこのクオリティを維持していけたら言うことはない。やはりレアル内だからできている、だけじゃなくて、他団体や先輩選手と闘った時にどんな試合ができるかが重要。

第4試合 10分1本勝負 スタンディング3wayマッチ
○雛鳥仮面ピヨコマスク vs ×ナガノ・V・アキラ(腕ひしぎ十字固め)
*もう一人の佐伯のおじさんはリングアウト

この日の目当ては長くFORCEの絶対エースとして君臨してきたナガノ・V・アキラに、小文字祭で歓客のハートを鷲掴みにした新世代の旗手、ピヨコマスクがシングルで挑むメインイベント。小文字では、タッグマッチとはいえ、ナガノから勝利したピヨコマスクが、そのままエースの座まで奪うか?20年選手のナガノが持ち堪えて現役エースの意地をみせるか?

開場前、メインイベンターなのにモギリをやっていたピヨコマスク。世代闘争とはいえ、リングを降りれば若手としてスタッフ業務もこなすらしい。しかもインディタイムが適用されたらしく?開場が大幅に遅れたため、ピヨコマスクが一人一人のお客さんに「応援よろしくお願いします」と頭を下げていた。

とはいえ、メイン・セミ以外の場内アナウンスはナガノがやっていたし、ナガノ不在の時はレフェリーのアトラス古賀さんがリングアナも兼任していた。少ない人数でたくさんの仕事を回すのは大変だろうなあ。まあ、このあたりも歴史がある割にはインディなにおいのするところなんで、決して嫌いではない。

しかし、試合開始前にこの日カードが組まれていない、佐伯のおじさんが勝手にリングイン。デビュー2戦目なのに、見た目と態度はベテランという妙に味がある選手なんだが、強引に3WAYマッチとして試合開始。

しかし、ナガノとピヨコマスクは佐伯のおじさんの目が見えないことをいい事に?リングから出たら負けという勝ち残り式ルールをのませていた。レアルのセコンド陣にロープをあけさせて、ナガノとピヨコマスクが介助する形でおじさんを場外に葬り去るという悪い手段に打ってでた。まあ言い方を変えれば頭脳プレイともいうが(笑)

こうして無事、もとのシングルマッチに戻ったのだが、ここからはナガノの剛腕がうなり、コーナーにピヨコマスクを追い詰め、グラウンドでは文字通り「チキンウィング」で、ピヨコマスクの羽根折りに移行。このあたりはナガノがだてに20年選手ではないことを裏付ける場面だったと私は思う。

この拷問のようなラッシュに悶絶しつつも、得意のドロップキックで反撃に転じるピヨコマスク。3WAYがそのまま続いていたらどうなっていたのか、それはそれで興味はあったが、当初の予定通り世代闘争というシンプルだけど、確かな一騎打ちは次第に白熱。

最後は小文字でもナガノから白星を奪った腕ひしぎの攻防。必死になって腕をロックするナガノに、意地でもこれで決めてやろうというピヨコマスクの執念が上回って、とうとう小文字に続いて、ナガノからギブアップ勝ち。

敗者のナガノは潔く後輩の勝利をたたえつつ、次回から雛鳥仮面が鶏仮面になる事を告げた。

でもリングネームはピヨコマスクのままなんで「鶏なのにピヨコ?」と頭をかしげていたが、そこへフィアーフェイスが登場。早くもピヨコマスクと視殺戦を展開。この続きは「リングの上で」ということになるらしい。

最後はピヨコマスクが何の練習もなしで、「1・2・3・フォース」を決めて終了。

全部見終わって個人的にいいたいことは3つ。1つはチケット代わりにFORCEのロゴ入りのミサンガをくれたのだが、この取り扱い説明がなかったこと。とりあえずまわりの常連さんの見よう見まねで、腕につけてみた。ところが思ったより、この糊が強力で結局とれなくて自宅に帰ってはさみをいれてしまった。個人的にはチケットを集めたりするのはやめているのだけど、それでも、ちょっともったいない気がした。

2つ目は動画撮影等オールOkはいいのだが、ナガノがいっていたようにスマホで撮影しようとするとどうしてもそっちに気がそがれて、試合に集中できない。ましてやSNSにあげつつ、試合を見つつというは結構見る側のハードルが高い。

3つ目はSNSがどうこういうわりには、情報が少な過ぎるという事。会場見ても一見さんはあまりいなくて、障害のあるひとが別な障害のあるひとを連れてきて…という感じがしたので、もっといろんな層の観客に集まってもらいたいと思った。せっかくいいことをしているのに、もったいない。

だいたい18年44回も続けてきてさざんぴあが埋まらないというのは、スポーツエンターテインメントとしてはやはり心もとない。障害者の、障害者による障害者のためだけのプロレスにしてしまうのは、非常にもったいない。

そもそも動画撮影OKするだけで、SNSに拡散していくんなら、だれも苦労はしないのだ。そこのところを人数が足らないからといって人まかせにしないで、他の選手もできることはやっていってほしい。

ナガノ以外の選手が自主的にそうした役割をできる範囲でやっていかないと、FORCEの運営もおぼつかなくなるだろう。リング上は世代交代できても、それ以外でナガノの分まで働ける人材がでてきてほしいものである。

ということで、多少厳しめに書いたけど、私には身内に障害者がいることもあって、障害者プロレスを特別な目や甘く見る気は一切ないので、あくまでもプロレスとしてより完成度の高いパッケージを提供できるように、かつFORCEにはこれからも九州のプロレスシーンを担う団体として頑張ってもらいたい。そう願うばかりなのである。

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