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[プロレス観戦記] FREEDAMS北九州大会『いざゆけ 無敵の自由軍団! 2018』

2018/06/05

FREEDAMS北九州大会『いざゆけ 無敵の自由軍団! 2018』(2018年6月2日(土)福岡・北九州門司赤煉瓦プレイス大会・観衆136人)

今週はFREEDAMSの初期観戦記をリライトしていた。もう7年も前のことだけど、色々思うところがあった。FREEDAMSが九州進出を果たしたのは、2011年。この年は当然忘れることができない未曾有の震災に見舞われ、殿の実家も被災された。そんな大変な時期に来ていただいた上に、毎年開催してくれる殿とFREEDAMSには感謝しかない。

試合開始前の前説は2年連続で杉浦透。相変わらずのハイテンションで、昨年の群雄割拠其ノ一で、佐々木貴ががむしゃら勢を土下座させた写真を持って入場。実は杉浦が北九州営業できた際は必ずこの写真持参でこの話聞かされた上に、しかもSNSで始終拡散しているので、正直耳にタコができていた。

しかも、がむしゃらプロレスのジェロニモをわざわざリングにあげて殿の「悪行」についてインタビュー開始。その上で杉浦の試合のセコンドに、がむしゃら勢が全員セコンドにつくように半強制する有様。しまいには佐々木貴を悪代官呼ばわりし始めた。どう考えても杉浦のほうが悪そうな顔をしていたのだけど・・・・

加えて前日入りした殿がドン・タッカーと野球観戦している写真まで印刷してきて、ディスりだした。曰く「闘う前日に呑気に野球観戦とは何ごとだ!」とちょっとまともな理屈まで持ち出してきた。

とまあ、散々しゃべり倒して「第1試合にでないといけないから」と言って杉浦は勝手に切り上げてさっさと引き上げてしまった。

◇がむしゃらプロレス提供試合

佐々木貴&陽樹&●MIKIHISA、(片エビ固め 10分11秒)杉浦透◯&美原輔&トゥルエノ・ゲレーロ(※オーバーイージー)

もはや北九州大会恒例のがむしゃらプロレス提供試合。今回はなぜか悪代官・佐々木貴を、正義の味方(にはみえない)杉浦透が成敗するという対立構図が作られてしまった。だから普段だとドリームチューバー側にいる殿がgWoと組んでいるというちょっとした腸捻転状態。

その上、殿に投げ入れられた紙テープを杉浦がリング外に投げ捨てるという大人気ない挑発までしてくる。心理戦でも佐々木貴の上に立つつもりらしい。

しかし、そこはさすが殿。MIKIHISAと陽樹を効果的にサポートしつつ、相手の力量も引き出す理想のプロレスを展開。正直北九州大会が始まってから最高の提供試合になったと思う。

初参加のMIKIHISAにしても、ここのところ精彩を欠いていた陽樹も本当に生き生きしていたし、対するゲレーロも美原も普段できない殿との対戦が楽しくて仕方ない様子だった。

毎年殿は北九州大会二連戦でしかも、試合後の宴まで完全走破するのだが、つくづくそのスタミナには舌を巻くほかない。こうしてみると、がむしゃらプロレス勢は、まだまだ殿から盗めるものがあると思う。

試合はMIKIHISAをとらえた杉浦が大人気ない勝ち方で、悪代官軍を一掃。とりあえず公約は果たした結果になった。

本戦の激しさに加えてイベント試合のような開放感まであって、腹がよじれるくらいに笑わせてもらい、心から楽しませてもらった。杉浦が普通に殿の前に立つというのも、全然違和感がなくなったし、そのあたりの成長は著しいが、まだ自分が主役にならないと、回らないのでは、殿超えは難しい。

今の直線スタイルからいかにして変化していくか?それはこれから杉浦も勉強し続けなければならないところである。

試合後あまり絡めなかった陽樹が杉浦に突っかかっていく。マイクでシングル戦要求すると、殿が「本当に杉浦とシングルでやりたいなら、場所を用意してやる。8月6日の後楽園、群雄割拠のリングだ!」とサプライズ発表。事前に何も知らされていなかった陽樹は、しばしぽかーんとしたが「スケジュールを確認しないと。社会人プロレスだから」とトーンダウン。

しかし、殿は「スケジュールなんかどうだっていい。俺がやるといったらやるんだ!」と強引に決めてしまった。果たして陽樹は単独でこの夏、後楽園に乗り込むのだろうか?

◇タッグマッチ

進祐哉&◯レイパロマ(逆さ押さえ込み 9分21秒)神威&ドラゴン・リブレ●

パロマが試合前に同じ広島人の進を巻き込んで、「ロックアップス」というチームを勝手に結成。意気込んで試合に臨んだものの、あろうことか入場10割?のパロマの入場テーマ曲がかからない。機材トラブルらしいが、そこは臨機応変なプロレスラー。マスクマンコンビが記念撮影タイムとったり、「入場できないなら、いっそ没収試合にしようか?」などとレフェリーがいい出したりと、トラブルを逆手にとってやりたい放題。

そうこうしているうちに痺れを切らしたパロマと進が無音で入場。パロマの頭のなかでは沢田研二さんの歌声が響いているらしく、ノリノリで踊っているのだが、見ているこちらからすると、無音でクネクネしている変態にしか見えない(笑)さすがに耐えきれなかったのか、とうとう終盤では自分で歌い出してしまった。

試合開始前に「とりあえずルチャ的なもの」という課題を突きつけられたパロマだが、当然ルチャなんかするわけもなく、マスクマンコンビをケムに巻く、いつものパロマスタイル。これになぜか進まで呼応して、まるでパロマが二人いるかのような阿吽の呼吸。

神威もリブレのキャリアをフォローしつつ、こちらも自分のスタイルでパロマ、進に対応していくが、なんせパロマも進もなぜかノリノリなんで、なかなか牙城を崩せない。しかも試合途中でタイツが脱げたパロマはそのまま試合して、そのまま勝ってしまった。

試合後、まるで長年コンビを組んできたかのように、進もアンダータイツ姿になってポーズを決めたが、キャラクターをパロマに寄せて大丈夫なんだろうか。ツイッターでは進が「チームは解散」。パロマは「継続」と意見は真反対だったのだが(笑)

◇シングルマッチ
◯力(体固め 6分8秒)久保希望●
(※バックドロップ)

今までのFREEDAMS参戦試合は全て久保が先輩の胸を借りるカードだったが、はじめてキャリアとしては後輩になる力に胸を貸す試合が組まれた。

言うまでもなく、久保は実力者なんで、力にとっても高い壁である。しかしデビュー当時に失笑されていたギクシャクした動きと、奇妙なハイテンションはそのままに、場数をこなしてきた力は昨年より明らかに成長していた。

できる技の数も少ないんだろうけど、それでもそれだけで試合が組み立てられるのは、父の百田光雄の指導もさることながら本人の努力によるものも大きいのだろう。

対する久保もそんな力を格下扱いせずに全力で叩き潰しにきた。序盤は鋭いタックルからのグラウンドレスリング教室さながらの攻防から、スタンドになると足の甲を踏みつけてナスティスタイルで悪態をつく。

昨年力が北九州で対戦したGENTAROは、あえて古典的アメリカンヒールのテイストで試合をしていたが、久保のヒールは激しいスタイルなんで、同じ悪党ファイトでも内容が違う。力には一戦一戦が勉強になったことだろう。

しかしながら、勝敗の差はDNAがわけたのかもしれない。力のキャッチフレーズは「力道山三世」なんで忘れがちなんだが、同時に彼は「百田光雄二世」でもある。

父・百田光雄の必殺技といえばバックドロップ。かつて全日本プロレスの「6時半の男」はこの技で数々の若手を葬り去り、高い壁として立ちはだかった。三沢、川田はもとより、小川や菊池、折原ら錚々たるメンバーが、バックドロップの餌食になった。

そのバックドロップが終盤久保に襲いかかる。フォームは父・百田光雄に酷似しているが、力の場合上背がある分、高所から急落下する分、必殺技にもなりやすい。久保が一瞬隙をみせた瞬間だったから、余計効果的だったと私は思う。

胸を貸すつもりが、返されてしまったが、バックドロップの威力を久々に思い知らしてくれたという意味では、この試合が組まれた意義があったのではないだろうか?

◇タッグマッチ
◯GENTARO&平田智也(卍固め 12分15秒)吹本賢児&鉄生●

普段なら久保希望の試合含めて二試合ががむしゃら担当枠なんだが、今年はもう1試合。なんと鉄生が吹本と組んでレスリングマスターGENTAROと、期待の新鋭・平田と対戦。これは非常に興味深い顔合わせである。

しかも吹本と鉄生は同じペイントを施して登場。急造チームとは思えないくらいに似合っていた。ただ中身はいつも通りの鉄生だったので、そこは全力でGENTAROにも平田にもぶつかっていた。

今思い返すとGENTAROのレスリングマスターぶりが際立つ試合ではあった。序盤に鉄生を苦しめたフロントチョークは、鉄生の動きを確実に鈍らせる上で非常に効果的。と同時に身体の硬い鉄生に、関節技は鬼門であることを我々に予告していたのだ。

北九州初登場の平田は躍動感に溢れた若手らしい選手。イキもいいので鉄生ともバチバチやりあう。しかし相手が吹本になると、さすがにキャリアの差で翻弄されてしまう。だが、GENTAROはそれも含めてパートナーの平田を泳がせていたように思えた。

乱闘でリードした吹本組はラフに活路をみいだそうとするが、GENTAROは平田を好リードして主導権を渡さない。ピンチのようでいて、不思議とGENTARO組が追い詰められたようには見えなかった。

最後は平田が難敵吹本を場外におさえている間に、GENTAROが鉄生に卍固め。あまりにガッチリ決まりすぎてしまい、鉄生がしばらく苦痛に顔を歪めるくらい決まっていた。ただでさえ身体が硬い鉄生にとって、フロントチョークの予告をされながら、卍から逃げ出せなかったというのは、もしかするとわけがわからなかったかもしれない。策士・GENTAROの強かさを改めて思い知らされた一戦だった。

◇タッグマッチ
マンモス佐々木&●杉浦透(片エビ固め 12分42秒)佐々木貴&阿蘇山◯
(※マグマスプラッシュ)

さて、杉浦にとって本当の悪代官退治はこの試合。事前にがむしゃらプロレス勢にセコンドにつくように要求し、実際ユニット関係なしで入場からがむプロ勢を引き連れ、またしても土下座写真を指差しながら、杉浦入場。

しかし、この試合は殿のパートナーに阿蘇山がいる。がむしゃらプロレスの師匠まで敵に回すというのは考えただけで厄介だ。

特にFREEDAMSマットでは闘うことが多いマンモス佐々木とのど迫力対決は毎回進化しているかのようだ。大分でシングル対決した際は、あまりにエキサイトした両雄が場外で暴れまわり、両者リングアウトに終わっている。

ある意味殿より元気な阿蘇山相手ではさしもの杉浦でも分が悪い。そこで阿蘇山対策はマンモスに任せて再び佐々木貴のクビに照準をしぼる杉浦。

しかもコーナーに打ち据えた殿に向かって、がむしゃら勢をリングにあげて全員で突貫攻撃。ついでに若手のリブレや平田まで入っていた。攻撃をうけてヘロヘロの殿はリブレをみつけると「お前だけは許さんからな」とシャレにならないことを言い出す。

試合途中までは杉浦の佐々木貴悪代官化計画が奏功し、杉浦を踏みつけた殿が「図が高い」と憎々しげに言い放つと、北九州ではありえない大ブーイングが殿に飛んできてしまった。

だが、試合が進むにつれて杉浦の「メッキ」が剥がされてきた。しかも味方だと思っていたがむプロ勢らセコンド勢は途中から殿サイドに寝返る始末。結局阿蘇山の大噴火を誘発した杉浦は、またしても悪代官の魔の手に落ちてしまった。

試合後「俺の味方はお客さんだけだ!」と言っていた杉浦。しかし、殿と阿蘇山とがむしゃら勢の勝どきの前ではむなしい遠吠えにしか聞こえなかった。

◇6人タッグマッチ

竹田誠志&葛西純&◯藤田ミノル(サムソンクラッチ 14分23秒)ビオレント・ジャック&正岡大介●&KAZMA SAKAMOTO

メインはunchain 対FREEDAMS正規軍の対決。特に大日とFREEDAMSの二冠王・竹田誠志は今やデスマッチの顔ですらある。当然通常ルールの試合であっても場外乱闘でスタートするし、あっという間にunchain は3人とも流血する始末。

しかし、血をみてからがイキイキし出すのがデスマッチの申し子達たる所以。特に藤田と葛西は、がたいのでかいKAZMA SAKAMOTOを前にしても、一向に怯まない。しかし、怪獣ビオレント・ジャックはunchain のお株を奪うようなハードでしかもパワフルな闘いを仕掛けてきて、なかなかunchain のペースに持ってこさせない。

しかも曲者、正岡もいる布陣だから正規軍もなかなか強力なのだ。だが、やはり竹田が出てくると状況は一変する。この日の竹田はデスマッチスタイルの随所にスタイルE仕込みの関節技を仕掛けて竹田ワールドを構築していく。

特に飛びつき腕十字は絶妙なタイミングで捕獲していたので、シングルならば勝敗に繋がったかもしれない。単なるデスマッチファイターではない竹田誠志の底力をみた思いがした。

途中、藤田がローンバトルになり、ダメージがでかくなるかと思われた。必殺技の「サヨナラ」(ツームストン・パイルドライバー)でもカウント3つがとれない。しかし、最後は一発逆転のサムソンクラッチで丸め込んだ藤田が勝利した。

試合後、勝利者インタビューがわりに藤田ミノル独演会がスタート。北九州にきてからの6年の思い出を語りつつ、プロレス専業になるため、神奈川に拠点を移すことを発表。今の時点でほとんど家に帰れない有様になるくらい、売れっ子になった藤田ミノルからしたら当然の選択だろう。北九州や山口から遠くなるのは寂しいけど、こっちのことは忘れないだろうと信じているので。

「今度くるときは団体に参加する選手として、北九州にきますが、また応援してくれますか?」と最後は少しだけ「らしくない」ことを言い出したが、観客は大声援。締めた藤田も嬉しそうだった。

今大会は歴代FREEDAMS北九州大会の中でもダントツに面白かった。昨年来から杉浦がシツコイくらい、殿との対立概念を構築してきた結果、とんでもなく面白い形で本番を迎えられた。これはやはり杉浦の頑張りを認めざるをえまい。暑苦しくてウザい時もあるけど、なぜか憎めない杉浦透。彼もまた殿同様、北九州の重要な登場人物の一員になったのだ。

試合後の宴も大盛り上がりで、楽しい北九州の夜はこうして幕を閉じた。

翌日は熊本プロレス祭りのため、朝6時には熊本に向かうという。連戦連戦は大変だけど、昔なら考えられないくらいFREEDAMSが九州一円に認知されだしたのはやはり素晴らしいことだし、うれしく思う。博多ではなく、北九州に根を張ったFREEDAMSの選択は間違いではなかったのだ。

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『FREEDOMS vs がむしゃらプロレス 対抗戦』