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[格闘技観戦記] 関門ドラマティックファイトVol.12

2018/05/16

関門ドラマティックファイトVol.12(2018・5・13日 海峡メッセ下関イベントホール)

早いもので、私がはじめてボクシング観戦してから、1年になろうとしている。と言ってもプロレスほどのめり込んではいないので、観戦するのは関門ドラマティックファイトだけしかない。まあ、東京みたいにプロレス・総合・キック・ボクシングなどなど、始終なんかの大会が開かれているわけではないし、私のプロレス第一主義は変わらないので、わざわざ地方のプロボクシングを探してまで見ようとは思わない。

今回はSNSを使った告知のお手伝いをさせていただいた。どうも主観が入りやすいプロレス業界や、団体からの依頼なら丁重にお断りするのだが、似て非なるボクシングは、第三者の視点で冷静に見られるため、プロレスのエッセンスを混ぜつつ、私なりに考えてお手伝いさせていただくことができると思ってお引き受けした。主役はあくまで関門Japanの選手であり、会長はじめスタッフの皆さんなんで、そこもわきまえたつもりだ。

普段私は「何もしない」のを原則にはしているのだが、緑内障による失明の危険性と、常に隣り合わせである以上、たまに働くくらいのスタンスでいないと、負荷がかかりすぎて今度は試合が楽しめなくなってしまう。それと観戦記に関しては関係者ではなく、第三者の立ち位置で書いていたい。それに関してはボクシングもプロレスも同じなのだ。

残念ながら、当日は土砂降りの雨。しかし、スタッフの方が「外で待つのは大変ですから」と、ロビー内の玄関に入れてくれた。雨露が凌げるのは大変助かった。ちょっとした気遣いだけど、臨機応変に対応していただけるのはありがたいところ。

さて、ボクシングのいわゆるダークマッチにはプロテストが行われる。名も知らぬ選手の中からダイヤの原石を探すのも、こうした大会の醍醐味で、これはプロレスだろうとボクシングだろうと変わりない。

お客的には、テスト結果も知りたいところだが、ここで埋もれていくなら、それまでの選手ということだろう。今回のテスト試合は一試合だけだった。

第1試合
4回戦 アトム級

〇スマイル渚 対 ×鈴木月歩(デビュー戦)

前回がデビュー戦であり、はやくもデビュー戦の相手を務めるスマイル渚。前回が本人的には不本意な形(眼窩底骨折)で、白星デビューとはならなかっただけに、本人的には「受けて立つ」どころの騒ぎではないだろう。プロレスだと新人同士のデビュー戦は割とよく組まれるが、ボクシングの場合はどうなんだろう?

さて、試合はやはりスマイルの勝利への執念がみえる内容になっていた。しかし、デビュー戦ながら、鈴木の肝の座り方はとても新人とは思えない堂の入りっぷり。

ただ、やはりデビュー戦ということもあってか、ラウンドが進むにつれて動きが悪くなる。これはスマイル渚も同じだったのだが、4ラウンドの本番を闘い抜き、なおかつ見ている人に何かを感じてもらうには、2人ともまだまだ練習が必要ということだろう。デビュー戦の人間と、デビュー二戦目の人間が闘っているので、大目に見ようかなと思ったけど、終盤のスイッチがきれたような感じが伝わってしまったのは、2人ともまずかった。

ただ、気持ちの上で僅差ながらスマイル渚の方が上回っていたのだろう。しかし、私的には鈴木月歩の印象が強かった試合だった。終盤スタミナ切れしたとはいえデビュー戦であれだけの勝負根性を見せられるというのは大したものだと思うからだ。

鈴木は負けはしたけれど、いずれ再戦の機会があるかもしれない。その時に二人がどれだけ進化しているか?それによっては見られる景色はガラリと変わる可能性だってある。2人が切磋琢磨して関門ドラマティックファイトの新しい顔になる可能性は極めて高い。次回の両者の顔合わせを楽しみに待ちたい。

第2試合
4回戦 Sフライ級

〇富永晃仁 対 ×古賀木崇

この試合も古賀のデビュー戦。対戦相手の富永は勝ち星なしながら、この試合が3戦目。確かに相手の攻めを恐れない古賀のファイトスタイルは新人らしくて好感が持てたが、ややパンチが大振りなのと、無駄な動きが多い点が気になった。

対する富永は沈着冷静で手数は少ないものの、確実にパンチを当ててくる。これはラウンドが進むにつれて、効いてくるかな?と想像していたら、案の定古賀の動きが遅くなりはじめた。スタミナ配分というのは、いくら練習しても本番とは全く違うはず。

それを古賀も思い知ったと思う。富永からワンダウンとられた際に「ラッキーパンチだ」という声が出ていたが、あれはラッキーではないだろう。試合は終盤になるにつれて富永有利が確証に変わっていた。とにかく富永は終始冷静だったし、無駄な動きが本当に少ない。キャリアのなせる業というのはこういうことをいうのだろう。とはいえ、冷静になっている以上に富永と古賀の差はそれほど感じなかったのも事実ではあるのだけど。

判定は3対0だったけど、実質TKOといってもよい試合だった。

第3試合

4回戦 60キロ契約

×佐藤晋作(デビュー戦) 対 〇岩崎淳史

こちらのデビュー戦は正直実力の差がありすぎた。多分佐藤のリングネームは本名なんで、本人が悪いわけでもなんでもないのだが、下関で晋作といえばやはり高杉である。しかも山口県が生んだ佐藤栄作+高杉晋作という名前からすると、さぞかし強いんでは?というイメージすら抱いてしまう。

そこまで本人が考えていないにしても、やはり期待したくなるのは観客側の性だとしかいいようがない。

だからこの試合に関しては佐藤の実力不足というより、岩崎の実力が佐藤を上回ったという見方をした方がいいのかもしれない。僅差の実力ならばそうそうKO劇はおこらない。これは仕方ないかな。

ただ、もし次回佐藤の試合を見ることがあるなら、今度はどれくらい成長しているか、楽しみにして待とうと思う。

第4試合
8回戦 52.5キロ契約

×ジャンプ池尾 対 〇高田 篤志

前回の観戦記では厳しめの評を書いたジャンプ池尾。やはりプロならばランカー止まりではなく、チャンピオンを目指さないと、「プロ」ボクサーを名乗る資格はない。その私の考えは今も変わってはいない。そこで池尾が私の評価を覆す試合を見せてくれるかどうか?そして、後輩チェンジ濱島にセミの座を奪われた先輩の意地が試合から感じられるか?焦点はそこになると私は思っている。

しかし、序盤から高田の勢いに押される場面が目立つ池尾。やはり付け焼き刃ではない、ホンモノの欲求が感じられない。対する高田には勝ちに対する貪欲な姿勢が見られた。多分、高田にコメントを求めていたら「チャンピオン」という言葉が口から出てきていただろう。

それは一度目のKOシーンで如実に表れていた。あれで池尾の中の気持ちが切れたように私にはみえた。果たして池尾は前回から本心で変わりたかったのか?少なくとも私が試合を見る限り、彼のファイトからは本気で変わりたいという強い願望が感じられなかった。下手するとこのまま引退するんじゃないか?と思うくらいに覇気も感じられない。これでは高田の思うツボである。この試合は、池尾が一人で自滅したようにしか見えない内容だった。

前回、ランカー止まりで満足しようとした池尾が勇気と感動を与えるには、あの日の池尾より進化しないといけない。それは本人がPVで口にしていた通り。しかし、彼の変わりたいという気持ちは、完全ではなかった。

もし池尾がこの敗北を糧にしたいなら、自分が戦いを通じて届けられる「勇気と感動」を誰に対して伝えたいのか?そこを真剣に考えていくべきだろう。でなければ、池尾がセミに返り咲くこともなければ、ランカーにすら手が届かないだろう。もちろん勇気と感動など夢のまた夢。

これで濱島が記憶にも記録にも残る試合をすれば、池尾の立場はますます危うくなる。彼が本当に名実共に関門Japanのナンバー2でいたいならば、こんなところで終わっている場合ではない。ジャンプ池尾というボクサーが、崖っぷちから再起を果たすか?それとも、敗北とともに関門海峡の渦潮に飲み込まれて、影も形もなくなるか?全ては池尾の「進化」次第である。人間として、ボクサーとして、プロとして、私は池尾が成長し、どん底から立ち上がる日が来ることを願ってやまない。

第5試合

日本ユース初代ウェルター級王座決定戦

×チェンジ濱島 対 〇クドゥラ金子

一応、私のインスタに濱島がコメントしているので、公開していいエピソードだと思うが、DDTプロレスリングで活躍する、下関出身の島谷常寛と濱島は同じ高校出身の同学年。もちろんプロレスとボクシングは全然違う競技だけど、スポーツエンターテインメントのプロとして、同じ学年から出たプロ選手として、意識し合う関係なのかな?と私は勝手に思っている。

その島谷は昨年9月DDT下関大会でメインイベントに出場。加えてアイアンマンベルト(すぐ奪われたけど)まで巻いたタイトルホルダーになった(その前に キング・オブ・ダーク王座も戴冠)。その点でだけいうと、濱島はセミファイナルで、しかもタイトル戦は今回が初めて。しかもベルトを巻いていない。

メディア露出にしても、島谷はAbemaTVを擁するサイバーエージェント傘下にいるDDT所属だから、顔と名前は広く知れ渡っている。ちなみにDDTは同じ5月13日に、博多スターレーンで大会を開いている。もちろん海峡メッセに私がいるのは、仕事抜きにしても、クドゥラ対濱島が見たかった!それだけである。

さて島谷と比べて、メディア露出に関しては、濱島が圧倒的に後陣を配しているのは事実。しかし、今や下関だから有名になれない、というのは言い訳にしかならない。ネット全盛のこのご時世。地の利が不利なら他でカバーすればいい。ちなみに本大会でセミに起用してほしい、という要望は濱島側から申し出たものらしい。で、あるならば、濱島が今後も中央のメディアを振り向かせるほどの試合をし続けなくてはならない。

その対戦相手として、濱島と前回名勝負を繰り広げたクドゥラ金子は申し分ない選手だろう。ボクシングファンからみた「格付け」は圧倒的にクドゥラ金子が上にいるらしいが、プロレスファンの私には関係ない話。どちらが闘いの中で生き様をさらけ出せるか?どちらが記憶に残るか?そこの勝負になると、私が思っているからだ。

前置きは長くなったけど、前回その「格上」のクドゥラ相手に大健闘した濱島。とはいえ、見ている側からすると回を追うごとに濱島の背中が小さくなっていくように見えた試合だった。逆にクドゥラは見た目以上にどんどん大きくなっていくかのような、そんなとてつもない圧力を感じたことを今でもはっきり覚えている。

ところが、半年後にはその濱島の圧で、クドゥラが押される場面もみられた。これは濱島の成長のあかしといっていい。ただし、半年前のクドゥラになら通用したかもしれない濱島の圧も、より成長したクドゥラの前では今一歩及ばなかった。

それは濱島がややもするとすぐにコーナーに追い詰められていたことからも明白だろう。逆にいうとクドゥラにとって半年前の濱島なら「打ち合っても勝てる」相手だったのだ。だが、今回は自分からコーナーにつめていかないと勝てない。そういう危機意識がクドゥラの隠していた引き出しを開けさせたといってもいいだろう。

だが、本人たちがどう思っているかはわからないけど、コーナーにつめられるというのはお客サイドからすると印象がよくない。あからさまに詰められた側が不利な感じにしかみえないからだ。そこから濱島も反撃を試みるものの、すぐにクドゥラは体勢をたてなおしてまた圧をかけてくる。これが本当のクドゥラ金子だったんだなと思い知らされた瞬間だった。

結果は大方の予想通り、クドゥラ金子が初代王者となった。しかし試合後のインタビューでクドゥラは素直に濱島の成長を認めていたし、脅威に感じていたことも分かった。たぶんこの二人ならユースにとどまらず、上のタイトル戦でもし烈を極める闘いをみせてくれるだろう。ますます楽しみになってきた試合だった。

メインイベント

ライト級
〇アクセル住吉 対 ×山口祥吾

ランキングの上下変動があるにせよ、日本ライト級の中でアクセル住吉という選手がまぎれもなく上位に位置する実力者であることは動かしがたい事実である。そしてチャンピオンにもっとも近い男であることもまた事実である。

その「関門のとらふぐ」こと、アクセル住吉は、関門ドラマティックファイト不動のエースでもあり、メインイベンター。それは今も変わりないのだが、背後に迫るチェンジ濱島の存在は、同じジムの先輩・後輩という関係を抜きにして、頼もしい反面、脅威にもなろう。PVでは「断つ!」と力強く宣言した住吉。その言葉の中には、後輩の脅威にも、己の焦りにも勝とうという強くて確かな覚悟が感じられた。正直、住吉のメインは当分揺るがないだろう。

しかし、チェンジ濱島の存在は、階級こそ違えど、いずれ住吉にも無視できないところまで成長してくるだろう。そのために、何を断つのか?試合からそれを感じてみたい。

しかしながら、この日の住吉は何か動きが変だった。1ラウンド目はいつも通りだったのだが、ラウンドが進むにつれて様子がおかしい。いつもならカッティングというアクシデントすら味方につけてしまう住吉のオーラが、この試合からは最後まで感じられなかった。

らしくないといえば、客席から住吉に対して「打ち合え!前に出ないと勝てないぞ!」という声が飛んでいたこともそう。昨年、あの佐々木基樹を前にして一歩も引かなかった住吉のファイトスタイルを皆が知るからこそ、この日の住吉がもどかしく見えたのは仕方ないだろう。プロレスでも、けがをした選手の動きはがくっと落ちるのが常。そういう試合をついこの間もみたばかりだ。それだけに心配になってきたのも確かだった。

それでも判定勝ちしてしまうのは、さすが住吉である。しかし本人も試合後のインタビューで答えていたが、拳を痛めたことで不完全燃焼な試合内容になってしまったことをしきりに謝罪していた。もちろん本人だって納得がいっていないだろうことは、言葉の端々からみてとてれた。

しかしながら、今回もアクシデントには屈しない住吉が、試合内容に出ていたからこそ、判定勝ちとはいえ、勝つことができた。それは事実。逆に今回の試合でできなかったことは、住吉の伸びしろとも捉えられる。拳を痛めてなお、勝ててなおかつそれを観客や対戦相手に悟られないでいられるか?書いていていうのもなんだが、これはとてつもない難題でもある。だが、この先にあるベルトを「巻くのが当たり前」と住吉が言うのであれば、この課題は乗り越えて当たり前。それが上位ランカーの宿命だし、チャンピオンになる選ばれしモノになるための「通過点」でもある。

見ている側からすると、次回住吉がこれらの課題をクリアしてまたリングに立ってくれることが楽しみで仕方ない。きっとアクセル住吉ならば、その答えをもって次回のドラマティックファイトのリングにあがってくれると信じているからである。

これこそが真のメインイベンターの姿であり、チャンピオンに王手をかけた、背負うものの重みである。濱島も池尾もスマイル渚も、メインを背負うまでの力は、今はない。しかしここまでの重圧を跳ね返した先にしかチャンピオンベルトもない。今回、住吉が不完全な試合をしたことはむしろよかったと思う。本人的には当然「よかった」どころか、悔いが残る事だったとしても。

関門ドラマティックファイトにとっても、成長の課題が見えたという事では決して無駄ではなかったと思う。それぞれの課題をクリアしてまた成長した彼らに会ってみたい。私はそう願いながら、博多へ向かった。

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