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[プロレス観戦記] 全日本プロレス2018 エキサイトシリーズ 〜宮原健斗デビュー10周年記念大会〜

2018/05/24

全日本プロレス2018 エキサイトシリーズ 〜宮原健斗デビュー10周年記念大会〜

北九州に転居して一発目の観戦。しかし、この日は北九州マラソンともろ被りで、各所交通規制中。新居はWi-Fiもつながっていないし、家にいても仕方ないので朝から小倉駅最寄りの駐車場に止めて、秘密基地へ行ってWi-Fiつなげてニチアサ等を視聴。ちょっとだけ仕事して時間まで暇をつぶす。

転居して独りになったせいか、非常にストレスなく眠れるしいいことづくめだったんだが、一方で祭りとかマラソンとかはどうも苦手。北九州のチーム感というかまち全体でイベントを盛り上げようとする空気が私はどうも好きではない。だからかもしれないが、オリンピックとかワールドカップとかWBCが始まるともううんざりしてくる。

これらの「祭り」に興味あること前提で話をフラれることも多くて、相当鬱陶しいのだ。こういう時期の避難場所としてプロレスは私にとって「最適解」でもある。私は逃げるようにしてこの日の居場所、博多スターレーンに向かった。

Jr. BATTLE OF GLORY 公式戦 Aブロック 20分1本勝負
○高尾蒼馬【2勝1敗=4点】対 ×佐藤恵一【1勝2敗=2点】
(6分53秒ジントニック→エビ固め)

全日低迷期よりDDTから派遣されて試合を盛り上げていた高尾としてみたら、このリーグ戦にかける意気込みは相当なものだろう。一方佐藤もなかなか侮れない実力を持っているので、かみ合えばいい試合になりそうな予感がするカードでもある。得点は共に博多までは2点ずつ。

まあ第一試合という役割を考えると、そう多くは期待できないけれど。

お互い赤のコスチュームで、雰囲気もなんとなく似ている両雄。しかし、場数の差か?高尾は落ち着き払っている。一方の佐藤にはなんか余裕が感じられない。落ち着いて冷静に試合を作ることができる選手のはずが、そうはいかない。

決め手の一つ目は、場数とキャリアの差が見た目以上に大きく作用した。まるで現在の高尾が若手時代の高尾と試合しているかのような感じの試合だった。

決め手の二つ目には「これ!」という必殺技のあるなし。高尾には決まれば確実に勝てるジントニックがあるが、佐藤にはまだこれという技がお客さんにも共有認識されていない。そこが分かれ目だったと私は思う。

星勘定上では二点同士の闘いながら、実力にはかなりの開きが感じられた。

6人タッグマッチ

〇ウルティモ・ドラゴン&藤田峰雄&KING VS ブラック・タイガーⅦ&KAZMA SAKAMOTO&×新泉浩司(10分10秒ラ・マヒストラル)

博多大会のレギュラーとしてすっかり定着した新泉とKINGだが、継続は力なり。特に新泉あたりはいつかジュニアのリーグ戦にエントリーされてほしいのだが、そのための実績づくりとして、一戦一戦が勝負でもある。この試合だってもちろんおろそかにはできない。

全日に上がると普段華☆激では対戦できない選手ともからめるので、自身のキャリアアップにも有効。一見すると寄せ集め感があるカードだけど、なかなかの曲者ぞろいがそろった中で、どう頭角を現すか?見ものである。

先発は新泉とKING。華☆激同士の対戦はお互いが意識し合うガチガチやりあうが、華☆激よりワンランク大きい選手が多い中ではやや印象が薄い。特に試合の印象は大半がドラゴンとブラックに持っていかれた中で、華☆激勢が爪痕を残したとはお世辞にもいいがたい。

人の良さとプロレスのうまさは別問題。ストロングルチャを標榜するアステカの門下生として、依然全日本が高みにある状況は決して好ましくない。

ぶっちゃけ秋山体制になってからの全日本で活躍しているのは、大半がインディ出身者。しかし入団する、しないは別にして上に上がれる選手は、上で活躍しているし、そうでない選手は停滞している。

華☆激勢も全日本入団までは言わないが、レギュラーで全日本の博多大会に参戦している以上、前座要員で満足して欲しくない。華☆激勢とはアステカ含めて付き合い長いし、いいことも書いてあげたいけど、最低来年はジュニアのリーグ戦にエントリーされるくらいでないと、いつまでたってもローカル大会のゲスト選手という立ち位置から脱却するのは厳しいだろう。

来年は最低でもリーグ戦に食い込むくらいの存在感をみせることを使命にしてほしい。それだけの実力はあるのだから、秋山社長をあっといわせるくらいの存在感を示してほしいのだ。

 

Jr. BATTLE OF GLORY 公式戦 Bブロック 20分1本勝負
○岩本煌史【2勝1分=5点】対 ×中島洋平【1勝2敗=2点】
(9分03秒孤高の芸術→片エビ固め)

全日所属同士の一戦。先に入団した中島からしたら、昨年の覇者でもあり、やや差をつけられた感がある岩本には思うところがあるに違いないと私は踏んでいる。こいつにだけは負けたくないという気持ちで試合をすれば面白い内容になりそうな予感がするカードでもある。

ましてやパンフのインタビューで中島をある意味こき下ろしていた岩本からすると、負けられない試合でもある。はたして岩本が言うように、中島は優しい男のままで終わるのか?一矢報いて意地を見せるか?注目したい。

さて、中島は確かに必死になってはいた。前半は特に岩本の膝を集中的に攻撃し、かなり効果的な攻め方をしていた。

しかし、前年度覇者である岩本は、中島の攻めを冷静にみていたように私には見えた。プロレスでいうところの風車の理論を、若い岩本は知らないかもしれない。

だが、明らかに中島のいいところを引き出した上で勝つ試合運びができていたのは岩本の方だった。中島は自分が勝つことしか頭にないような感じもした。だから受けに回ると余裕を失う。これでは勝てるものも勝てはしない。

中島はいいものを持っているが突き抜けきれていない。だから後から入団した岩本にもダメ出しされる。今の中島に必要なのは、現状を冷静に分析して、自分に何が足りてないか?自分がホントはどうしたいのかを自問自答すること。

そして、それはパンフのインタビューで岩本自身がすでに通ってきている道であり、ある程度の答えを自分の中で見つけた状態で岩本はリーグ戦に出ている。すでに戦う前から勝負あったと言われても致し方あるまい。

現状打破の答えは中島の中にしかない。あとは中島に心から変わる気があるかどうか?私には今の中島は崖っぷちにみえたのだが、本人はどう考えているだろうか?

Jr. BTTLE OF GLORY 公式戦 Bブロック 20分1本勝負
〇TAJIR【2勝=4点】 VS ×佐藤光留 【1勝2敗=2点】(10分14秒 毒霧からの首固め)

これも好カード。外様とはいえ低迷期から参戦し、密かに全日愛を燃やすひかるんと、もとWWEスーパースターズにして、実は全日愛を持っているTAJIRI。出自はパンクラスとIWAジャパンという全く対照的な二人が、全日本のリングで邂逅するのだから、世の中はわからない。つくづくプロレスというのは長く見ていると、想定外なことが起きるものである。

格闘系とアメリカンプロレスの激突としてみても興味深いが、両方とも確かなテクニックをもった選手同士。ここはぜひハイクオリティなプロレスで、全日ジュニアを盛り上げる試合をしてほしい。

結論から先にいうと、この試合が本日のベストバウトになった。この二人は自分たちの絡みが異次元であることを、お互い理解し合えていた。だから、出自がまるで違うのに、試合がスイングしていた。

試合の八割はひかるんがグラウンドワークでTAJIRIを圧倒。度々リング下に降りては間合いを外すTAJIRIに焦ることなく、冷静にカウンターで関節を決めにいく。特にTAJIRIの代名詞でもあるバズソーキックは何度も足関節を駆使して完封!
ひかるんは、毒霧対策も万全で顔を決してTAJIRIの正面に向けない。周到に用心を重ねたひかるん。伊達にプロレスしてきたわけではない。

だが、関節技はあくまでカウンターであり、ある程度心得のあるTAJIRIには決定打を奪うまでにはいたらない。ダメージが積み重なり、青息吐息のTAJIRIにとどめを刺さんと、最後に打撃に出たひかるんは、TAJIRIの正面に!この隙を見逃さないTAJIRIはすかさずグリーンミストをひかるんの顔面に噴射。しかもあろうことか完全にレフェリーからは死角!まるでこの一瞬を予見していたかのように、素早く丸め込んでカウント3!

まさにこれぞプロレス!レフェリーの死角をつき、かつ反則の痕跡を見せないように丸め込む芸当はさすがプロレス職人!団体を運営するプロデューサーとしては落第点だったTAJIRIだが、いちプロレスラーとしては、芸術的才能を発揮する。

負けたひかるんも「あれで負けちゃ仕方ない」という顔をしていたのが印象的だった。お見事な試合でした。この試合だけで元が取れた!

6人タッグマッチ

〇諏訪魔&石川修司&岡田佑介 VS 崔領二&KAI&×鈴木鼓太郎(13分51秒ラストライド→体固め)

藤田との戦いが話題先行している諏訪魔だが、問題はそれだけではない。崔にしてもKAIにしても鼓太郎にしても、今の全日マットを「おいしい」と思って進出してきた「外様」である。その外様相手に所属として、全日の意地をみせる必要がある。

特に最強タッグを制覇した石川とのコンビネーション、そして自ら志願して藤田戦に名乗りを上げた岡田を諏訪魔がどうリードするのか?その手腕も問われる一戦だと私は思っている。

秋山全日本の課題は自前の中堅選手がいないこと。これに尽きる。普段は6人タッグの緩衝材として機能している青木やひかるんらがジュニアリーグ戦参加のため、このカードには組み込まれない。

昔なら渕正信にお鉢が回るところだが、現在の渕にその役割をふるのはあまりに酷である。スーパーヘビー級のヘッドハンティングに成功した秋山ならば、課題はみえていると思うが、その課題がそのまま現れたのがこの試合だった。

暴走大巨人には細かいテクニックは不要だし、岡田はまだキャリア不足で若すぎる。一方崔やKAIも中堅プロレスができるわけではなく、必然的に鼓太郎が試合を回す形にならざるを得ない。

理想は鼓太郎みたいな存在が諏訪魔側にいるとベストなんだが、現時点ではこれが精一杯。試合展開は若い岡田がつかまり、ローンバトルを強いられながらも自力で脱出して自軍へ戻るという流れにはなっていた。

なので、この試合で特筆したいのは、ベタだけど岡田の頑張りにつきる。逆に悪かったのは、石川が中堅プロレスしてしまったことで、彼の魅力である怪物性がスポイルされた点ではないか、と私はみている。

余談だが、全日のタッグチームの入場といえば「合体テーマ曲」。古くは鶴龍コンビやハンセン・ブロディ組にも使用された全日本のトラディショナルで十八番な伝統芸。

暴走大巨人も諏訪魔のDDSと石川のバッテリーを合体させているのだが、これが川田・田上組なみにしっくりこない。曲のテンポが違いすぎるからだ。合体テーマだと馬場・ハンセン組にも違和感があったけど、ことテーマ曲に関しては、暴走大巨人の場合、アタリとはいかなかったようだ。

 

Jr. BATTLE OF GLORY 公式戦 Aブロック 20分1本勝負

〇青木篤志【1勝1敗=2点】VS×丸山敦【1勝2敗=2点】(12分22秒テキサスクローバー
ホールド)

今年所属を表明した丸山と、ジュニア王者として近藤に初戦で痛い星を落とした青木との一戦。実力はあるのだが、青木がどのくらい丸山の良さを引き出せるか?あるいはそのまま叩き潰してしまうのか?個人的には丸山の飛躍も期待しているので、青木食いもやってほしいなと思うところではあるが、果たしてどうなるだろうか?

今リーグ戦ではなぞかけのようにマスクをかぶって試合しているという青木。そこに隠された思いがどういうものなのかは、残念ながら試合ではうかがい知ることはできなかった。一方の丸山はタイガースマスクの覆面姿で登場。しかし、足を引きずっているところを見ると、どうも腰を負傷しているようだ。

丸山は求めに応じてマスクをとったが、青木はアンダーにもなぜかマスク。そのまま試合をしていた。ジュニアの攻防というは比較的派手なものを期待しがちだが、もともと地味なうえにコンディションも整っていない丸山の調子がブレーキになって、顔合わせの割には盛り上がらない試合になった。

最後、渾身のテキサスクローバーからは勝利にかける青木の執念が見えていたが、全体的にはどうもしっくりしない試合展開に。マスクでの登場が出オチ感たっぷりだったのもマイナス要因だったかな。正直セミにあげるならTAJIRI対ひかるんの方がよりふさわしかったように私は思う。博多大会の公式戦の中では一番盛り上がらない試合になってしまったのはただただ残念でならない。

宮原健斗デビュー10周年記念試合 ~三冠ヘビー級選手権試合&世界タッグ選手権試合ダブル前哨戦~ スペシャル6人タッグマッチ

〇宮原健斗&ヨシタツ&野村直矢 VS ジョー・ドーリング&秋山準&×ゼウス(23分12秒
シャットダウン・スープレックス・ホールド)

博多スターレーンというのは昔からビッグマッチの前哨戦に使われやすいところで、それは全日でもほかの団体でも大差ないのだが、最近は福岡出身の宮原に配慮してか、三冠戦にしろ、優勝決定戦をもってきたチャンカンにしても、スターレーンで行われることが多くなった。そのせいか?馬場時代に西の聖地と呼ばれた雰囲気とお客の入りが少しずつ戻り始めている。

武藤体制時代にスポンサーを付けて「武藤まつり」などを開催してもガラガラだったことを思えば、これはすごいことでもある。面白いというか皮肉なもので、瀕死の状態だった全日が持ち直し、新日との連携で盛り上がっていたノアが、今や瀕死の道をまっしぐらとなってしまった。まさに一寸先は闇というやつである。

その新時代の象徴として秋山からかじ取りを期待されている宮原にとってこの試合は単なる前哨戦&凱旋試合にしてはいけないものがあると私は思っている。10年選手だからこそ、問われる覚悟があるはず。秋山もそれが見たくて?自ら肌を合わせようとしているのかもしれない。さて、宮原の覚悟は試合から伝わってきただろうか?

この試合も諏訪魔の試合同様、若手が先陣を切って中堅が支えてメインイベンターが締めるという役割分担が、特に宮原組にはできていない。ヨシタツがそもそもその中堅役を買って出られるくらいの力量があったなら、新日をお祓い箱になどなっていなかっただろう。また先陣をきっていかないといけない野村の体がお世辞にもグッドシェイプとは言えない体つきになっていたのもいただけない。あんこ型の選手が多いのは全日の伝統でもあるが、それにしてもひどすぎる。

一方、ジョー組には秋山というどの立ち位置も経験しているベテランがいる。この差はでかい。ゼウスを使い、ジョーにつなぐ方程式も完璧だし、場外戦でも徹底的に宮原を狙ってダメージを与え続ける。いやらしいまでにキャリアの差を見せつけてくる。強いて難をいえば試合のほとんどが秋山と宮原の絡みになっていて、前哨戦の体をなしていない。それが一番の問題。

だからローンバトルになるのも宮原、ヨシタツにつなぐのも宮原、試合を締めちゃうのも宮原で、これで勝てるのが不思議なくらい宮原組というのは、とにかくいびつなのである。

おまけにセコンドで騒ぎ立てる宮原は、あろうことか和田京平レフェリーにまで食って掛かる始末。試合後もしきりに難癖をつけていたが、あれはどうみてもチャンピオンらしからぬ行動である。

まあそれでも新日にいたころよりはヨシタツも生き生きしていたし、宮原とのコンビは息があっているようであってないことろも含めて面白そうだなとは思う。マイクの奪い合いも含めて新しい全日の名物というものが生まれようとしているのは確かだろう。宮原もまだ成長過程にあるメインイベンターなんで10周年記念ということで花をもたせてもらったけど、まだまだこんなところで満足してほしくない。

より高みを目指してそれこそ馬場・鶴田・天龍・三沢らの名前をかき消すくらいの存在になっていくべきだとも思う。そういう意味でも私はこの時点で「全日、最高!」とはいいたくない。満場一致で最高!ではない全日本。でもこれからそうなるかもしれない全日本。私はこれからの可能性を若きエースに見てみたい。









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