*

[プロレス人物伝] プロレススーパー人物列伝 冬木弘道①

2018/01/24

冬木さんがもたらした功績

もともと人物伝にはプロレスラーを入れないつもりでいたのですが、あまりに範囲が狭まりすぎたため、今年から意趣返しして選手もとりあげます。リニューアル版の第一回目は、2018年の1.4東京ドームにおいてまさかの「復活」を果たした、故・冬木弘道さんです。

プロレス界に冬木さんが残した功績はあまりにたくさんありますが、ざっと紹介すると

①プロレスのエンタメ化
②人材育成・プロデュース
③天龍スタイルの継承

①と②は冬木さんを語る上で比較的よく語られる内容ではありますが、大仁田がいなくなったあとのFMWに、エンターテイメントの種を植え付けたのは、他ならぬ冬木さんでした。もし冬木さん率いる冬木軍が、敵対する側にいなければ、ハヤブサ政権となった新生FMWは、あそこまで長続きしなかったのではないか?と私は思っています。

とはいえ90年代にエンターテインメント路線を目指した結果、いかんせんお金と周囲の理解不足が冬木さんの理想を妨げていた点は否めず、結果的には冬木さんのご生前に理想が現実化するにはいたりませんでした。冬木さんのプロレス頭がすごすぎたが故に、時代がまだ追いつけなかったのです。

生かされた選手たち

その冬木軍に所属していた選手、そして敵対することで生かされたレスラーはたくさんいます。いまや新日本プロレスの実質的現場監督になった邪道・外道を筆頭に、のちに世界的スーパースターになるライオン道こと、ライオン・ハート(クリス・ジェリコ)まで枚挙にいとまがないほどです。

実際、冬木さんの一番近くにいた外道選手は、自著の中で「プロレスのイロハは全て冬木さんから教わった」と証言しています。おそらく冬木軍についていた選手の多くも大なり小なり何らかの影響を受けているものと考えられます。

③についてはあくまで個人的な感想ですが、冬木プロレスの原点はやはり天龍プロレスだと思っています。理不尽大王になる前、新日本対WARの対抗戦において故・橋本真也さんとの一騎打ちを行っています。この試合で冬木さんは天龍スタイルを継承したかのように身体を張ったゴツゴツしたプロレスをみせました。

病におそわれてからは、天龍スタイルの柔らか頭の部分を昇華させ、エンターテインメントへの足がかりを作り出しました。この冬木プロレスに感化され、本家である天龍さんのプロレスが更に進化した(その一番の例はハヤブサの兄、大ハヤブサでしょう。全日本プロレス所属時代には考えられませんでしたからね)とも考えられます。天龍さんご本人が、冬木さんとの因果関係を語らないため、真実は定かではないですが、少なくとも私はそう推察しています。

「1.4」で蘇った冬木イズム

WARで萌芽した冬木さんのエンタメ志向は、FMWにおいて開花しました。しかしながら90年代はまだスポーツエンターテインメントが、プロレス界に受け入れられるにはまだ早すぎました。海外のスポーツエンターテインメントの雄、WWEがアティチュード時代に突入するのは1997年からでした。タイミングがあと少しズレていたなら確実にプロレス界の覇権を取っていたことは間違いないでしょう。

しかし、冬木さんがエンタメの種を蒔いてくれたからこそ、DDTのような団体が急成長したと私は思います。また、冬木さんの薫陶を受けた邪道・外道が仕切る現在の新日本プロレスがあのような形で世間に受け入れられているのも、元を辿ればまちがいなく冬木さんに行き着くはずです。

更に言えば、冬木さんがいなければ、WWEが日本に根付くこともなく、総合格闘技の波に飲まれていたかもしれないのです。現在WWEでは多くの日本人選手が活躍しています。これも元をただせば、冬木さんの影響が大なり小なりあるのではないかと私は思っています。

そして、2018年1月4日、かつて冬木に師事したクリス・ジェリコが、試合中に往年のマッチョバディポーズと、冬木さんの得意技、サムソンクラッチを披露しました。長年にわたり、世界のスポーツエンターテインメントの中心人物として君臨してきたジェリコのベースには、たしかに冬木イズムが息づいていたのです!

エンターテインメント、もっといえば「見世物」の地位を、日本において「真剣勝負」と同等かそれ以上のものにした功績を考えると、冬木さんの仕事はもっともっと評価されて然るべきなのではないでしょうか?私はそう思っているのです。










au公式/ビデオパス

-[プロレス人物伝] プロレススーパー人物列伝, プロレスよありがとう!クレイジーでモンスターな好事家がマニアに捧げるメモリアルブログ