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プロレスよありがとう!クレイジーでモンスターな好事家がマニアに捧げるメモリアルブログ(50) モンスター的プロレスコラムその36 新時代の悪役とは?

2017/11/09

維新軍団の台頭

今回は悪役の変遷についてお話ししてみようと思います。

昔、長州力選手が藤波辰巳(現・辰爾)選手に対して「俺はお前のかませ犬じゃない!」というか形で抗争をふっかけたことで、いわゆる「名勝負数え歌」と呼ばれる闘いに発展していきました。

この時、長州選手率いる「維新軍」は、いわゆる正規軍に弓矢をひいた事で悪役に転向したわけではありません。むしろ、日本人がもつ判官贔屓(ほうがんびいき=客観的な視点を欠いた同情や哀惜の心情のことであり、さらには弱い立場に置かれている者に対しては、あえて冷静にならないで、同情を寄せてしまう)という心理現象に響いたのか?大変な支持を集めました。

このようにプロレスで、「正規軍に叛旗を翻す」行為が、いわゆる悪役転向を指さない例は、日本だと多分この昭和維新軍が発祥になると思われます。

nWo〜アティチュードへ

判官贔屓という概念のない海外のプロレスではどうでしょうか?強いて挙げるとしたら、90年代に一世風靡したnWoがそれにあたるかもしれません。

nWoは元々WWEのライバル団体であるWCWから誕生したユニットです。月曜夜に壮絶な視聴率戦争を繰り広げていた両団体ですが、WWEがいわゆるアティチュード時代に突入し、両者の力関係は大きく変わります。

アティチュード時代とは、ウィキペディアによると

WWEは、1997年以降、D-Xに代表される悪ふざけやお色気の要素を取り入れたアティテュード(Attitude、態度・感性という意味だが元々不愉快な、ケンカ腰の態度といった意味合いを持つ)路線に切り替え、団体オーナーのビンス・マクマホンとストーン・コールド・スティーブ・オースチンとの抗争で人気を逆転させた。

とあります。

つまり本来は団体側=正規軍という概念から、会社側=悪という概念の書き換えを試みているわけで、ここが興味深いところです。

WCWから派生したnWoはレスラーサイドから生まれた運動体で、ファッショナブルヒールという新しい概念を生み出しましたが、これを定着させたのは、ライバル団体のWWEだったのかもしれません。

悪役の進化形とは?

では、現代のプロレスではどうでしょうか?いわゆる反乱軍的なチームも、nWo的なファッショナブルヒールにあたるチームも存在しています。

しかし、歴史を経て変化してきたのは、ベビーフェイスサイドに絶対的な正義という概念が存在しなくなったのではないでしょうか?

人気も実力もいわゆる悪役が総取りしている現状を分析してみると、ベビーフェイスサイドは個々の選手の人気は高いものの、チームとしての魅力はどこもパッとしない傾向にあるようです。

この混沌とした現状を上手にすくいあげているのが内藤哲也選手率いるLos Ingobernables de Japónではないでしょうか?nWoと同じく海外のレスラーが主体となった運動体を輸入し、会場のお客さんではなく、会社側に楯突く形は、nWoとアティチュードを上手にミックスさせていると私は思います。Los Ingobernables de Japónが敵視しているのは会社側であり、マッチメーカーであるため、従来の悪役が標的にしてきた「お客さん」は襲撃の対象ではありません。

むしろお客さんの支持を後ろ盾に自己の正当性を主張する内藤選手はあえて「お客様」と呼んでいます。Los Ingobernables de Japón結成前、内藤選手に散々ブーイングを飛ばしていたのは、他ならぬ「お客様」なんですが、内藤選手は、それすら自分の味方にしてしまいました。

当然、今でもアンチ内藤は存在していますから、彼らにしたら「お客様」呼ばわりにはカチンとくるかもしれません。しかし、ブーイングも声援も全て自分がコントロールできている、今の内藤選手には、どちらが飛んできても問題ないのでしょう。

高まる一方のヒール人気

逆に、悪役でありながら会社側やマッチメーカーの庇護を受けているCHAOS(ケイオス)は、その立ち位置が不安定になっています。人気面では、Los Ingobernables de Japónや、バレットクラブと三分、ブーイングがもらえるかというとそうでもないという彼らの現状は、ヒールでもベビーフェイスでもない非常に曖昧なものになっています。

私の予想では今後絶対的なベビーフェイスが登場するより、世の中の不平不満を上手くすくいあげて、闘う理由にしやすいヒールサイドの人気の方がますます高くなっていきそうな気がしてなりません。

実際、新日本を見ていても、ベビーサイドで評価されるユニットはせいぜいタグチジャパンくらいです。第三世代はユニットですらないですし、真壁のGBHは実質、相方である本間の欠場で、有名無実化してます。棚橋に至っては、圧倒的にシングルプレイヤーとしてのイメージしかありません。こうして考えると、ベビーフェイスで魅惑的なユニットを作るのは至難の業ではないか、と私は思っています。

往年のヒールは、お客さんにも、罵詈雑言をあびせていましたし、それに対して観客はブーイングで応答してました。もちろん今でもこうしたコミュニケーションは現存しています。

しかし、今は内藤選手が使う「お客様」みたいな「丁寧語」が主流になっています。これだと、内藤シンパは声援を、アンチはブーイングを浴びせられます。「お客様」に選択権を与え、歓声もブーイングも全て自らの力に変えられる今の内藤選手は、進化したヒールの頂点に立つ存在かもしれませんね。








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