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[プロレス観戦記] 新日本プロレス・濵かつ Presents レスリングどんたく 2017観戦記

2017/05/06

新日本プロレス・濵かつ Presents レスリングどんたく 2017観戦記(17年5月3日水・祝・福岡国際センター)

-そもそもレスリングどんたくとは、福岡ドームを拠点に東京でも実現していないカードが福岡でみられることがある種のステータスになっていた大会である。しかし、その座はいつしか大阪のドミニオンや春の両国に奪われ、いち地方大会のビッグマッチに格下げされてしまった。それと同時にどんたくツアーと称した西日本(主に九州一円)サーキットがはじまり、目玉カードの分散化が始まった。しかし、長年博多でしか大会を開催して来なかったツケが祟り、博多以外は前売り券の販売が伸び悩んでいると聞く。

いくらプロレスブームが再燃化し、大都市圏で集客がV字回復しようとも、その影響が地方に波及するまには決して至らないし、したとしても時間がかかる。なぜなら大都市圏の出来事は地方民にとっては他人事でしかないからだ。地方には地方に根付いた「我が事」が必要であり、大都市を回るついでに訪れる地方大会にファンが魅力を感じないのはある種当然のことなのだ。にも関わらず、特に新日本プロレスはブームが再燃すると、すぐその上に胡座をかいて、冬の時代の教訓をなかったことにしてしまう悪いクセがある。

今は確かにしょぼいカードでも国際センターは満員になるだろう。しかしツアー化した弊害が滲み出ているG1クライマックスは、国際センターが会場ではない。個人的にはG1こそ大会場限定でやるべき大会のはずなんだが、小会場でやりだしてから試合数が増え、ツアーの過酷さも手伝って、怪我人が続出している。

現在の新日本に追い風が吹いているのは万人が認めるところではあるけれど、油断していたらまた冬の時代に逆戻りである。そうなる前に危機感を感じて先手をうつことこそ、いまの新日本には必要だと私は思うのだが。いまの状況では不測の事態は予想しがたいだろうなあ。

例年どおり、街中のどんたくには目もくれずに国際センターへ一直線!だが予想より早く国際センターについたので、珍しくグッズ売り場に並ぶ。普段パンフ以外のグッズは買わないのだが、今回はひとつだけ欲しいものがあった。なのでわざわざ列に並んでみた。目当ては、これ!

AJスタイルズのグッズを買いそびれた後悔もあるけど、決め手はやはりデザイン!仮にCodyがWWEにリターンしても記念になるしね。

グッズ買って入場の列に並ぶと、日が陰ってきた。雨でもなくギラギラした陽射しもないレスリングどんたくはかなり珍しい。しかし、雷まで鳴り出して気分はまさにサンダーストームとか言っていたら、豪雨まで降り出して先ほどの晴天がうそみたいに。あわてて軒先に避難した。

開場まですることないし、暇だから並んでいるが、並んでいる時間も含めてプロレスなので気にはならない。

14時すぎで後藤洋央紀のサイン会整理券の配布が終了したとのアナウンス。ベルトおとした後藤ですらサイン会に長蛇の列ができるとは。嵐がくるわと思ったら本当にどしゃぶりになったんだから、荒武者効果おそるべし!

それにしても物販の列を見る限りは、まだまだレスリングどんたくはビッグマッチなんだなあ、と思う。とはいえ、パンフはツアー仕様に格下げされていたけど。

さて、今年の大会は激アツになるだろうか?それとも春の嵐が波乱を呼ぶか?

第0試合 川人拓来&〇ヨシタツ対 岡倫之&●北村克哉
(7分54秒 ヨシタツロック)

第0試合とはいえ、新日ヤングライオンのカードが国際センターで組まれた意義はとても大きい。できれば、純正のヤングライオン同士のカードがみたかったが、ここに元WWEのヨシタツが混ぜられた意味を考えてみたい。バレットクラブハンターもいつの間にか自然消滅し、6人タッグ戦線からも振り落とされた。WWEから新日に来たという肩書きは、すでにCodyや、ジュース・ロビンソンらによってとって変わられている。かつて第0試合が定位置になりつつあった第三世代は、攻勢に転じている。従っていまのヨシタツはヤングライオンの壁以外の使い道がない。それが現実だろう。

ヨシタツはTシャツきたまま試合していたけど、上半身裸のヤングライオンの方がガタイはいいし、オーラもかんじた。確かに岡&北村、川北は荒削りではある。しかし、ヨシタツはこの中で抜きん出た存在感をしめしてこその一軍選手だろう。正直若手のかべどころか、若手のかませ犬になりかねない現状には、ヨシタツの限界をみた気がした。

フィニッシュだけはなんとかとれたものの、それだけでヨシタツが再浮上するのは厳しいかな?

第1試合 ウィル・オスプレイ&〇YOSHI-HASHI
対 ●チェーズ・オーエンズ& 高橋 裕二郎 (6分53秒  バタフライロック)

YOSHI-HASHIと裕二郎は、ヨシタツに比べればまだ使い道のあるタレントである。YOSHI-HASHIにはオカダのタッグパートナーとしての立ち位置があり、裕二郎には、バレットクラブ唯一の日本人選手という立ち位置がある。更にいえば、レスリングどんたくという一応ビッグマッチの体にされている第1試合という掴みを任せられるだけの実力と人気も兼ね備えている。加えてトップ同士が覇権を競う、CHAOS対バレットクラブというユニット対抗戦の構図もある。

試合自体は役者が揃いながら、割とあっさり目。オスプレイもオーエンズも顔見せ程度かな。抗争と言うほど因縁めいたものもなく、比較的淡々としていた。

第2試合 4代目タイガーマスク&タイガーマスクW&〇真壁刀義
対 獣神サンダー・ライガー・●中西学・永田裕司(7分06秒 キングコングニードロップ→片エビ固め)

本間欠場の影響だろうが、ここに真壁とタイガーWを加えることに意味が見出せない。こういうメンツだけ豪華な顔合わせが揃ったカードは地方大会の休憩前だとよくあるわけで、これがビッグマッチ用とはとてもおもえない。そもそも第3世代と真壁が闘う意味もないし、今後のストーリーにも繋がりにくい。タイガー同士のタッグならすでに他所で実現しているので、目新しくもない。

正直第三世代やライガーの元気の良さに比べると真壁の存在感の薄さが気になった。タイガーコンビは顔見世程度の出番しかなかった。やはり6人タッグでタイガーWを使うのはもったいない。

フィニッシュこそキングコングニーで真壁が中西からとったけど、いまの立ち位置からしたら、当たり前っちゃ、あたりまえ。ちょっともったいないカードだった。

第3試合 バレッタ&ロッキーロメロ&邪道&矢野通&〇後藤洋央紀
対 ●TAKAみちのく・エル・デスペラード・タイチ・金丸義信・鈴木みのる(12分20秒 GTR→片エビ固め)

鈴木軍のあつかいに困った果てに、後藤がらみで無理やりねじ込んだようなカード。鈴木軍はNEVERとジュニアタッグくらいしか割り当てがないのかもしれないが、これも地方大会でよく見かけるような顔合わせ。というかタイトル移動したのに、前王者と現王者の抗争が未だに継続しているのも解せない話。まあ、新日ではよくある話だけど。

終始ばたばたした試合。確かに後藤とみのるはやりあってはいたが、あんなもんかな?という感じ。鈴木軍ではやはり金丸のコンディションが素晴らしい。どの位置でもキチンとした仕事ができるだけに、鈴木軍に埋もれているのはもったいない。試合後みのるが「NEVERにCHAOS全員でかかってこい!」と挑発していたが、あまり個人的には興味がわかない流れではあった。

第4試合 ●デビット・フィンレー 対〇 Cody(7分31秒 クロスローズ→片エビ固め)

今回のどんたくの中では比較的魅力を感じたカード。共に名レスラーの二世同士。将来デビットはWWEを目指すかもしれないし、それを考えると元WWEの看板があるCodyは格好の対戦相手。しかし、ジュニアであるデビットと、もとからヘビーとして活躍してきたCodyとは、やはり体格差は歴然。その差をどう埋めていくのか?

全体を通してこの試合だけが異質な感じのする展開だった。技数が制限された中で間をうまくあけて緩急をつけていく試合運びはさすがサラブレッド。階級と活躍した時期がちがうこともあり、デーブ・フィンレーと、ダスティ・ローデスが合間見えた試合を私は記憶していないのだが、もし親父同士の対戦が実現していたらこんな試合になっただろう。

中でもエルボースマッシュの打ち方が、ヨーロッパにルーツがあるフィンレー家と、テキサスアウトローズで名を馳せたローデス家とでは、同じ技でもタイプが異なっていた。さしずめエレガント対バイオレンスといった感じか。このあたりはかなり興味深かった。

やはり世界で経験をつんでいるCodyに対し、デビットは随所に若さをさらけだして、Codyにつけこまれていた。新人の域は出たとはいえ、まだまだ経験においては一軍半の域はでていない感じはした。しかし、間があくことを嫌う昨今のレスラーに比べると、ふたりとも好感度は高い。よいプロレスをみせてもらった。

第5試合 ●KUSHIDA&ジュース・ロビンソン 対 〇高橋ヒロム・内藤哲也(9分00秒 TIME BOMB→片エビ固め)

ここのところの内藤の発言はことごとく上層部には無視されている。内藤の発言通り、IC選手権がタイガーWになっていたら、どんたくの目玉カードになっていただろう。せめて、KUSHIDAのパートナーをタイガーWにしてもよかったのではないか?何かピントがぼやけたカードにしかなっていない点は内藤でなくてもボヤキたくなるものである。

この試合は基本ロス軍が試合を完全に支配していた。人気もブーイングも全部自分のものにしているから、本来ベビーであるはずのKUSHIDAやロビンソンには声援が飛ばない。あってもあっと言う間に内藤コールにかき消される。

確かにKUSHIDAもロビンソンも反撃の素地は作るのだが、正規軍がベビーとして機能していないため、空気のような存在になっている。制御不能の状況にのまれた正規軍と、その状況すら楽しんでいるロス軍。差は自ずとみえていた、といったら言い過ぎだろうか?

休憩前に、来年のどんたくが5.3と5.4の2DAYSで開催されることが決定。2DAYSはいいんだが、またカードが薄くならないかなあ。

第6試合 IWGPタッグ戦3WAY 〇ハンソン&レイモンドロウ
対 ●小島聡&天山広吉 対 タンガ・ロア&タマ・トンガ(〇ロウ 11分43秒フォールアウト→片エビ固め ●天山)

くどいくらい言いつけるけどタイトルマッチの3WAYをいますぐ新日はやめるべきである。いくらシングル重視の伝統があるとはいえ、あまりにタイトルを軽々しく扱いすぎている。仮にもIWGPの冠がついたタイトルをこんな粗末な扱いにしていいのか?この3WAYは、年末に行われるタッグリーグの価値さえおとしめているのに、気がつかないのだろうか?

実際試合をみていると。現チャンピオンが想像以上にタッグ屋として完成されていることが際立っていた。3WAYという形式にも順応した闘い方ができていた。このあたりは変則的なマッチメイクが多いとおもわれるアメリカの方が有利なのかもしれない。

2対2ならばトンガ兄弟もテンコジも実力者ではあるのだが、いかんせん適応能力に関してはチャンピオンチームよりおとっていたと言わざるをえない。天山があっさりやられたというより、王者組が一枚上手だった。

第7試合 NEVER6人タッグ戦
リコシェ&●田口隆佑&棚橋弘至 対 SANADA&EVIL&〇BUSHI(15分48秒 エムエックス→片エビ固め
 ++※SANADA&EVIL&BUSHIが第13代王者組となる。)

これも解せないカードでIWGPの上になぜNEVERのタイトルマッチが組まれているのか?NEVERの6メンタッグってIWGPタッグより上位概念なのか?それはあまりにIWGPを軽く扱いすぎていないか?タイトルをこういう扱いにしていると、IWGPやNEVERの信頼も地に堕ちることを、新日本は真摯に理解しないとならないのではないか?単に人気ものが揃っているから、カードが上になるのでは、内藤が未だに文句をいっているファン投票で、IWGPヘビー級タイトルがセミに格下げされた東京ドームの時から何も学んでいないのではないか?

しかし、新日本では馴染みが薄い6人タッグのタイトルだが、いざはじまってみたらこれが意外と面白かった。新日本らしさとは違うのだけど、これもプロレスというか、表現方法としては、アリなんじゃないか、と私は感じた。

特に田口の変幻自在な動きにも、平然と対応するいるロス軍の適応能力の高さに加え、よせあつめのようで意外と機能している田口ジャパンも意外性があって面白かった。残念ながら、このタイトルに挑戦可能なチームのコマ不足がたたっておなじような顔ぶれでタイトルが行ったり来たりしているのが難点だが、地方興行の顔見世程度にしか意味を持たなかった新日本の6人タッグに新しい付加価値が生まれる可能性は否定できない。

特にシングル戦線から後退している棚橋が意外とイキイキと試合しているのをみると、扱い方次第ではおもしろい色がつけられそうなそんな予感さえ私に抱かせた試合だった。

なにより棚橋が楽しそうに試合していたし、シングル戦線でピリピリしていた時より輝いてみえた。しばらくシングル路線は封印して、明るく楽しい棚橋もみてみたいと私は思っている。

第8試合 ●石井智宏 対 〇ケニー・オメガ(23分44秒 片翼の天使→片エビ固め)

ケニーがIWGPにリマッチするためのかませ犬として石井をはめ込んだようなカード。昨年もIWGPでワンクッションおくためか?挑戦者に石井を抜擢していた。ニュージャパンカップがまるでどんたくの因縁作りみたいになっているのは前からだが、少し露骨すぎないだろうか。そもそも石井とケニーの抗争は長引かせるメリットもない。ふたりともインディあがりで、実力もあり、いい試合をするのは間違いないが、鉄板ゆえに便利屋的な扱いにされているのは、納得しがたいのだ。それが新日本プロレスのやり方か!と愚痴の一つもいいたくなるものである。

試合はやはり激しい内容になった。ある意味この二人だから仕方ないともいえるが、救いなのが、ケニーと石井がお互いのうらを読み合う知恵比べのような試合をしていたことだった。たぶんふたりなら我慢比べするプロレスもできないわけではないだろう。

しかし、ケニーが先にチョップを繰り出せば、石井も片翼の天使を先に決めるなど、お互いのきめ技を相手より先に出そうとするあたりには、私の目にはふたりとも意地を張り合っていたようにみえた。

石井もケニーも消して体格的に恵まれているわけではない。しかも、つねにクオリティの高い試合を提供し続けている。並みの人間ならぶっ壊れていても不思議ではない。しかし、彼らはそれでもリングにあがり続けている。

それゆえただのかませ犬でも前哨戦でも終わらない闘いを二人はしてのけた。これこそ生き様をみせるプロレスである。

言葉では語らないが、多分根っこの部分はふたりとも似ているのだろう。だからこそスイングした試合になったのだ。

第9試合 IWGPヘビー級選手権
〇オカダカズチカ 対 ●バッドラック・ファレ(21分47秒 レインメーカー→片エビ固め ※オカダ・カズチカが5度目の防衛に成功。)

かつてラクビー時代に福岡をホームにしていたファレにとっては、まさに凱旋の晴れ舞台が用意されたワケだが、正直柴田対オカダなら見たかったというのが本音である。ただファレに関していえば、あの巨体がスペック通りに火を吹けばまぎれもなくスーパースターになれる素材ではある。オカダ対AJスタイルズ以来の福岡でのIWGPヘビー級における日本人選手対外国人選手の図式は、温故知新を目指すならアリなカードでもある。ましてやファレもオカダも大型のヘビー級同士。オカダの実力はいうに及ばずだが、要はこのタイトルマッチはファレの出来如何で評価が変わるということは、ありえるのではないかと私は予想してみた。

パンフをよむと、オカダにはどんたくへの思い入れは特別ないらしい。まあ、前回のタイトルマッチでAJスタイルズにとられているから、無理もないか。さて果たして試合後にカネの雨はふるだろうか?

通常はガタイの割に非常になりきれないファレが珍しくスタートからアグレッシブな攻めに出てきた。みた感じ場外で放ったバッドラックフォールなどの投げ技が効いているようにみえたが、アグレッシブにいきすぎて出すタイミングが早すぎた。

オカダの技で最も警戒すべきはドロップキックである。あの破壊力抜群の飛び蹴りを終盤になっても繰り出せるのが、チャンピオンのおそるべきところ。ファレの場合、ある意味タイトルマッチ以外のシングルで、棚橋やオカダからピンをとっているバッドラックフォールに自信をもっていたのではないか?と私は推察する。

しかし、ファレが最も多用すべき技はベアハッグだったと私は思う。スタミナを奪い、下半身にダメージを与えるベアハッグは、タッパとパワーを兼ね備えたファレならば有効打にできたはず。実際オカダが一番苦悶の表情を浮かべていたのがベアハッグで締められた時だった。

ファレの敗因はバッドラックフォールに頼りすぎて、必殺技にもっていくまでの流れを作り出せなかったこと。自ら墓穴をほることで、オカダにみすみすチャンスを与えてしまったのは残念というほかない。

試合後、しばらくファレは立てずにいた。逆にオカダは息切れなしでマイクを持ってアピール。これが現在の力の差というやつだろう。検討したアンダーボスをねぎらうようにケニーやバレットの面々がファレを囲む。顔に手を当て涙ぐむようにみえたファレ。そんなファレの健闘を讃えつつ、次の挑戦者にケニーを指名したオカダ。

しかし、ケニーはクリーナーのポーズで応戦し、マイクは持たなかった。あえてファレの激闘の余韻を消さずにおいたか、「お前とはいつだってできる」というアピールだったか…いずれにせよ、マイクアピールでないケニーのメッセージは素晴らしいものだった。ことばでやりあうならWWEだってできる。新日でしか、日本でしかできないことをもとめて残留したケニーなりの謎かけだったのかもしれない。

終わってみれば確かにクオリティの高い大会だった。来年は発表通り2DAYSになる。ゴールデンウィーク中だから、かつて閑古鳥がないたG1二連戦の轍は踏まないだろう。しかし、いち地方のビッグマッチという位置づけでレスリングどんたくを開催しても、内容が薄くなるだけ。さて、果たして来年はどんな大会になるだろうか?












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