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プロレスよありがとう!クレイジーでモンスターな好事家がマニアに捧げるメモリアルブログ(39) モンスター的プロレスコラムその26

現在の総合格闘技の礎になったのは、プロレスのUWFによる一連のムーブであったことは疑いないことでしょう。

UWFを語る際に、初期メンバーに格闘技経験者がいなかったからという指摘をよく見かけます。つまり出自がプロレスしかない選手にとって自分がどれだけ強いのか?を知りたいと渇望することは、ある意味当たり前かもしれないな、と私は想像しています。

アマチュア時代に国体なり、オリンピックなりに出て強さだけを基準にして競技人生を過ごしてきた選手にとって、日本で言われるところの「真剣勝負」は「既にやりつくしたもの」であり、プロでは違う自分を表現したいと考えても不思議ではないでしょう。

その典型的な例が武藤敬司選手だと私は思っています。武藤選手は柔道時代に国体に出場したほどの強者でしたが、プロレス入り後は柔道の色は殆ど出さずに試合をしています。それは若手の頃から一貫しており、22歳の時にテレビ中継デビューした試合では、既にムーンサルトを披露し、対戦相手の大先輩、故・上田馬之助さんに火をつけてしまった場面もありました。

上田さんの時代ならば、ぽっと出の若手が派手派手なムーンサルトなんか試合でやろうものなら、たちまち先輩レスラーから試合後に説教をくらうパターンになったことでしょう。プロレス界における暗黙の禁忌を、若手時代にしれっと破る武藤選手の強心臓には舌を巻くばかりですね。

この武藤選手をはじめとする橋本真也選手(故人)、蝶野正洋選手による闘魂三銃士がデビューした時代は第一次UWFを経て、新日本にカムバックしたUWF軍団が新日本に登場していました。

とある地方で、UWFと新日本の選手同士の親睦会が開かれ、そこで酒の入った武藤選手がUWFの前田日明選手に「あんたたち(UWF)の試合はつまならい!」と言い放ったという伝説があります。結局この飲み会は、旅館一軒を破壊してしまう大惨事になるわけですが、業界の先輩である前田選手に「つまならい!」と言い放った武藤選手の強心臓ぶりには驚きますよね。

近年総合格闘技ができたことで、プロとしての表現力だけでなく、アマチュアの延長で勝ち負けも追求できる現代はある意味いい時代とも言えます。

プロレスの場合、アマチュアレスリングとは全く別物の競技と言ってもいいので、第2の人生として魅せるプロを目指す人材もたくさんいます。しかし、いくらアマチュアで鳴り物入りの実績を誇っても、それがそのまま通用しないのがプロレス界です。

総合格闘技の黎明期にプロレスラーが総合で苦杯を舐めたのと同様に、総合の選手もプロレスで苦杯を舐めているケースは少なくありません。しかし、時代は移り変わり、総合格闘技にも出て、プロレスにも出る選手も珍しくなくなりました。両者の違いを理解した上で「二刀流」に挑戦している彼らはUWFから生み出された潮流の進化形ともいえるでしょう。

ただUWFの後見人でもあったカール・ゴッチさんはUWFの選手がプロレスの試合に格闘技系のキックを持ち込むことには、決してよい顔はしなかったそうです。今やキックのないプロレスは考えられないくらい試合の中に浸透していますが、グラウンドレスリングや関節技の攻防など、本来あるべきレスリングの姿からは大分かけ離れているようにも、私には感じられます。

そう思うとUWFの出現というのは、必ずしも功だけがあるとは言い難いのではないでしょうか。総合格闘技の端緒としてのUWF、そしてプロレスにキックを導入したUWF。やはり場合によっては手放しでは賛同しにくいと私は考えているのです。










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