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『GAMSHARA MANIA'2016』観戦記(2016年11月20日(日)門司赤煉瓦プレイス)

2016/11/24

『GAMSHARA MANIA'2016』観戦記(2016年11月20日(日)門司赤煉瓦プレイス)

11月も下旬だというのに気温22度という汗ばむ陽気。なんだか異様な感じもしないではない。

個人的には下半期でへたすると、この大会が年内最後の観戦になるかもしれないので、そのつもりで気合を入れて見に行くことにした。そこでちょっと迷ったのが林祥弘Tシャツを着ていくかどうかということだった。私としては、あくまで今を感じて今のプロレスを体感したい。その思いが強かった。もし次回袖を通すとしたら、一周忌にしたいという気持ちも強かった。そこで、今回はいつも通りの服装で、観戦に挑んだ。

とはいえこれは林を忘れるということではない。自分の中でどうしたいかを考えた末に出した結論だった。あくまでもいつも通りに。それが私の選んだ答えだった。

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▼林祥弘 追悼マッチ(15分1本勝負)
⓪早田義治 vs X(当日直前指名)=鉄生
(3分19秒)

早田さんは、林祥弘の親友にして、林が体感してきたプロレスの痛みを自らの身体にも刻み込むべく、一夜限りのデビューを目指し、宇部市から仕事終わりでがむしゃら道場まで通いつめてデビューを迎えた。

当日直前指名になったのは、練習の内容如何では、プロレスのマットには上がれない可能性があったのと、早田さん自身が練習で手一杯で対戦相手のことまでは考えられない状態だったためである。

さて、厳しい練習にも耐え、無事ゴーサインも出た早田さんが指名したのはよりによって一番厳しいと思われる相手、鉄生だった。

名前を聞いた瞬間に「これはとんでもないことになったな」と思っていたら案の定早田さんの攻撃は鉄生には効かず、逆に厳しい一撃であっという間に早田さんはのされてしまう。

しかし、自分が指名しながらおめおめヤラれてばかりはいられない。早田さんも必死になって食らいつくが、やはり鉄生の一発は重く厳しい。

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結局レフェリーがとめて、早田さんはTKO負けとなった。鉄生のマイクは厳しいものだったけど、同時に早田さんの努力をたたえていた。今のキャラクターをあえて曲げてでも本音をぶつけてきた鉄生の態度も素晴らしかった。

試合後セレモニーがあり、ここで林祥弘引退…となるはずが、突如大向美智子さんがマイクを握り「引退なんかする必要があるんですか?林祥弘は永遠にがむしゃらプロレスの選手でいちゃいけないんですか?」とドン・タッカーに直訴。そして返す刀でなんとgWo入りを表明!

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テンカウント後に林祥弘のイメージカラーの紙テープが投げ込まれ、林祥弘は永遠にがむしゃらプロレスの選手として刻まれることになった。

▼タッグマッチ(30分1本勝負)
①タシロショウスケ & ×ジェロニモ vs Barong & ○C4
(9分18秒)

髪切マッチで因縁がピークに達したジェロニモとBarongだが、それ以降の接触はない。そうなると、やはりこの試合に関してはBarong対ジェロニモの因縁闘争というより、ロス軍の新戦力、C4にポイントが当たるのはやむを得まい。

とはいえ、元のインディアンスタイルに戻したジェロニモの視界にはやはりBarongがいた。試合のほとんどはこの2人で作っていた。新戦力のC4は確かに逸材だなと思わせるものをもっていたが、いかんせん鉄生が鮮烈デビューした時ほどのすごさはない。大化けする可能性はもっているけど、まだまだ粗削りな面は否めない。ただタックルの激しさは確かに目を見張るものがあったので、これを本当の意味での必殺技に昇華させてほしい。

さて、この中ではどうしてもジェロニモが受けてタシロがつなぐしかない分、ダメージが蓄積して、結局ジェロニモがとられてしまったが、タッグとして機能するためにはタシロがもう少し戦力にならないとやばいかもしれない。もうそろそろネタはいいので、結果を出してもらってもいいと思うのだが、今のままだとタッグパートナーを見殺しにしてしまうだけのことしかできないように思う。せっかく今年のからあげの時には林といいチョップ合戦をしていたのだけど、試合内容にここまでムラがあるとなかなか上で試合はできないだろう。

BarongがC4をコントロールしていたのとはあまりに対照的だったし、やはり今後シングルでやるにしてもタッグでやっていくにしても、タシロの奮起は必要不可欠だろう。ジェロニモの負担を減らすためにも、新人二人を引っ張る意味でも、今後のタシロ次第で凱の命運が決まるといってもいいだろう。

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▼GWA無差別級タッグ選手権試合(45分1本勝負)
②《挑戦者》サムソン澤田 & ×ジャンボ原 vs MIKIHISA & ○豪右衛門《王者》
(11分04秒)

プロレスのタイトルはチャレンジするのも比較的簡単。よしんば運よくとってしまっても簡単。しかしタイトルをとったからといって、その選手をお客が王者と認めるかどうかはまた別な話。防衛戦も含めて普段の試合を積み重ねてお客との信頼関係を作ってはじめて王者として認められる。いい例が2014年の1.4でIGWPヘビー戦、王者オカダ対挑戦者内藤の試合が、結局インタコンチ戦の中邑対棚橋にメインの座を譲る結果になったこと。あれはファン投票で試合順が決まったのだが、当時のファンはオカダを新日の頂点とは認めていなかったのだ。いくら王者でもお客さんの信頼がない限りは真のチャンピオンにはなれない、それがプロレスなのである。

新人ながら総合のバックボーンを生かした試合運びがすでにベテランのような澤田がタイトル戦に大抜擢されたことはもはや珍しいことではない。しかしながら4大タイトルの中でタッグが一番低い位置にいることは、MIKIHISAも澤田も意識しないといけない。なぜなら第二試合が仮に不甲斐ない内容であっても、あとの試合が保険になって第二試合の記憶は忘れ去られる。

だが、MIKIHISAと澤田が上を食う試合をすれば、逆に残った三大タイトルにプレッシャーをかけることができる。という意味でも彼らにはチャンスにもなりうる可能性がある。

ところが蓋を開けてみれば澤田の独り舞台になっていた。総合のバックボーンがある選手は総合とプロレスをごっちゃにしてしまう傾向があるけど、澤田の場合、総合のテクニックをプロレスの動きの中にきっちり織り込んでいっているのが素晴らしい。そしてファイティングスピリットにあふれる負けん気の強さも魅力的である。やはりここはMIKIHISAが奮起して澤田を食うぐらいにはいってほしかったが、試合内容で覚えているのは澤田とジャンボの昭和ムーブ(スピニングトーホールド→四の字)くらしかなかった。gWoサイドで目についたのはタッグとしてチームを形にしようとしていた豪右衛門の強い意思で、これが原動力になってMIKIHISAもぼろが出なかったかなという感じだけど、上位陣とぶつかったときにはさすがにこうはいくまいと思われる。澤田の躍進に比べると、MIKIHISAはなんとか面目をたもったという感じかもしれない。

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やはりこのチームも「とってから」が本当の闘いになっていくのだと思う。

▼プロ混じりの6人タッグマッチ(30分1本勝負)
③パンチくん & 美原輔 & ×くいしんぼう仮面 vs ダイナマイト九州 & 竹ちゃんマン & ○菊タロー
(12分49秒)

新人として、何かと比較されやすい澤田が先んじてタイトル挑戦してしまったため、内心忸怩たる思いがあるに違いない美原がこの試合のポイントになると私はみた。なぜならこの一癖も二癖もあるメンツの中で、存在感を消されずに爪痕を残すのはそれはもう大変なこと。そういう意味では試練の大一番なのだ。だから正直美原の試練になる試合だと思っていたが、ふたをあけてみたら一番試練になっていたのはレフェリーのKKリングアナだった。レフェリーとしても信頼度が高く、素晴らしいレフェリング見せることでも最近評価が急上昇しているものの、いかんせんまだレフェリーデビュー半年だし、そこでいきなりこの難物ぞろいのタッグマッチに放り込まれたのだからある意味災難である。これを裁けるのは正直故・テッド・タナベさんや現DDTの松井さんクラスのスキルがないとなかなか形にはならない。そのくらい難しい試合を、いきなりやらされたのではさすがに気の毒としかいいようがない。だけど、そこは菊タローとくいしんぼうがいつも通り好き放題に暴れて、その中で久々に酒瓶を持ち出したパンチくんと九州がさらに好き放題していくので、試合は特にぐだぐだになることもなかった。KKレフェリーの順応度の高さはこの試合で一番評価したいところである。

特に菊タローは試合後のマイクで林への哀悼を表明した以外はいつも通りの菊タローだった。アメリカに行っても彼なら成功をおさめてまたかえってきてくれるだろう。最近はあまりやってなかったプロレスLOVEポーズからのシャイニングウィザードで、長年のライバル・くいしんぼうからピンをとって自らの壮行試合に花を添えた。

美原も必死だったとは思うけど、よく自分の役割を忘れずにこの中に入って試合ができたなと思う。この経験はきっと今後にいかされるに違いない。

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▼GWA Jrヘビー級選手権試合(45分1本勝負)
④《挑戦者》○トゥルエノ・ゲレーロ vs ×YASU《王者》
(16分07秒)

昨年と同じカードになったということは、今年一年、YASUを脅かす選手も、ゲレーロを食うだけの選手もあらわれなかったというのが現状。今のところBarongが最右翼だけど、更にもう一人くらいジュニアタイトルに挑戦できる選手がいないと活性化しない。かつてはメインをも食う勢いだったがむしゃらジュニアにしてみたら、この位置はやはり寂しい。とはいうものの、2人が上を食う試合をすれば試合順などは関係ない。あとの試合に対してプレッシャーがかけられるのだし、おそらく2人とも対戦相手だけでなくがむしゃらジュニアのブランドに誇りをもって闘っていたはずだ。

盤石の王者YASUに死角があるとしたら、かつてTOSSHIやLOCキッドがいたころのようにいつ、だれにベルトをとられても不思議ではないという緊張感をキープできていない点にあったかもしれない。現状チャレンジャーになりうる選手がゲレーロしかいない。昨年はゲレーロとの差をいかんなく見せつけて勝ったYASU。いくら頭では、去年のゲレーロと今のゲレーロが同じではないというのはわかってはいただろうけど、王者のモチベーションが去年と同じというわけにはいかなかったと思う。

一方散々チャンスをもらいながらあと一歩で結果が出ないゲレーロにしてみたらこれはもう背水の陣以外の何物でもなかっただろう。それだけになみなみならぬ覚悟があったと思う。去年までは攻め急いで墓穴を掘っていたゲレーロ。でも今回は今までとは違っていた。対戦相手というより自分のことが非常によくみえていたように思う。だから技のミスも少なく、また大ダメージを食らう前に自分の間合いにYASUをはめていけたのは大きかったと思う。特に空中戦に関しては絶対の自信をもつYASUの必殺技をことごとく跳ね返していったのは、素晴らしかった。自らも空中戦で対抗し、一歩も引かなかったところにも成長の跡がうかがえた。正直ゲレーロはデビューでいきなりSUPER GAMSHARAトーナメント決勝まで這い上がった。その勢いだけで今までやってきたけど、それだけでは上には上がっていけない。それを痛感したからこそ今回あえて、自分のできることをすべてやっていったのではないかと思う。

逆にYASUは普段やらないマスクはぎに打って出た。レフェリーがダウンしたすきにとっさにやっちゃったのかもしれないが、あれは逆にゲレーロの闘志に火をつける結果になったのではないだろうか?スリーアミーゴスの三発目を雪崩式にして逆にYASUの動きを止め、とどめにスワントーンをきれいな形で決めたところで試合終了。内容的にもこの日一番だったといってよかったと思う。正直YASUが防衛を続けてもよかったのだけど、やはりその先が見えにくいという点では、王座交代のタイミングだったのかもしれない。しかしYASUが弱くなって王座陥落をしたわけではないので、依然最強のチャレンジャーであることには間違いないだろう。勝ったゲレーロはチャンピオンとしてお客に認められるためのスタートラインに立ったに過ぎない。そう考えると今後、どういう闘い方を見せていくかがカギになっていくだろう。

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と同時に新しいライバルの出現が待たれるところでもある。来年も立場が違うだけでYASU対ゲレーロになるようではちょっと問題だと思うので。

▼6人タッグマッチ(30分1本勝負)
⑤ドラゴンウォリアー & ○土屋クレイジー & 久保希望 vs ×モミチャンチン & 野本一輝 & 杉浦透
(13分58秒)

もうすっかりお馴染みになった毛利道場EGOISTプロレスだが、今回はプロ混じりの混成。しかも事実上はぐれ軍団化している野本一輝がモミチャンチンと初タッグ結成ということで見所はたくさんある。総合を体験しプロレスを愛する点では誰よりも負けないと自負する野本とEGOISTのプロレスバカ対決も注目したいところである。

序盤の土屋対野本の攻防はやはり期待通り。ポジショニングを巧みに変えていく土屋に野本が感情むき出しの鋭い蹴りを放つと土屋も負けずに蹴り返す。こういういい緊張感のある闘いはむしろ見ている側としては望むところ。

対プロに対してもドラゴン、モミチャンチンが臆することなく向かってゆき、対する久保や杉浦が倍返ししていく展開は非常に小気味好い。

しかし、同じEGOISTの中でもプロ選手との対戦経験も豊富な土屋はほかの二人に比べて舞台度胸もあり、状況判断も的確。ドラゴンの好サポートもあり、杉浦、野本を分断したあと、孤立したモミチャンチンを土屋が仕留めて試合終了…

したのだが、事件はここからおきた!

なんとリングサイドにgWo勢が集合。ドンタッカーが土屋クレイジーに対して「山口も北九州もプロもアマも関係ねえ!我々gWoはワールドワイドなんだ」とgWo入りを促した。土屋はgWoTシャツ(なぜか豪右衛門バージョン)を受け取ると、リング内にいたドラゴン、モミチャンチン、久保、野本、杉浦まで次々と蹴散らし、自らgWoTシャツに袖を通した!なんと師匠・大向美智子に続き、土屋クレイジーもgWoに加入!さらにYASUが二人目の新加入メンバーを呼び込むと、それは第二試合で、豪右衛門とやり合ったばかりのジャンボ原だった!

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意気上がるgWoとは対照的に呆然としているリング上の選手たち。そこで野本がマイクを持つ。「おい!このままでいいのか?」と言い出し、gWoに対抗して?多国籍軍の結成を呼びかけた。その名も「野本軍(仮)」!(仮)というのが気にはなるし、リーダー?野本が杉浦の名前を忘れているし、久保以外北九州在住者がいないし、いろいろ問題山積みな気はするが、かくして新軍団が立ち上がってしまった。無理やり巻き込まれたドラゴンやモミチャンチン、杉浦や久保の動向も気になるところだ。

▼GWAインターコンチネンタル選手権試合(45分1本勝負)
⑥《挑戦者》○尾原毅 vs ×マスクド・PT《王者》
(7分44秒)

さあ、リベンジの時きたる!2012年の小倉北大会以来4年の歳月を経て、よもやPTが王者で、尾原がチャレンジャーという巡り合わせが再び見られようとは!見られたらいいな、という願いはあったけれど、いざ実現してみたら、こんなにワクワクするとは、私も想像していなかった。

皮肉な話だが、尾原もこれから正規軍サイドを引っ張っていかんとするところで、本業専念を選択せざるを得なかったし、のちにPTもあとを追うようにパートタイム参戦になり、もはや両者がタイトルをかけて合間見えるのは不可能だと思われていた。それだけにこのタイミングでこのカードがタイトルマッチとして組まれたのは奇跡なのである。

前回の試合の反省点として、「考えすぎた」という尾原。序盤は様子見するかのように自分からは攻撃していかない。逆に絶対王者時代のPTならしなかったであろう短期決戦狙い?を仕掛けて、PTがむしろ攻勢になる展開に。野本しかり、PTもしかりなのだが、パートタイム参戦組はじっくり試合を組み立てるより、短期決戦で決めてしまいたい傾向が見られる。おそらくスタミナ的に自信がないのだろう。

時折尾原はカウンターでPTの腕をキックや関節技で痛めるものの、決定打には至らず。パートタイムレスラーといえど、序盤からラッシュをかけられたら、下手すれば寄り切られかねないポテンシャルをもつPTに対して、守勢に回っていく尾原。これは賭けたな、と私は感じた。

しかし、PTも尾原をなめていたわけではない。早めに仕留めておかないと、試合を長引かせたらマズイという計算もしていたはずである。

ところが中盤からPTが尾原のグラウンドに付き合うような場面が見られるようになった。私が考えるに、スタンドで腕なり足なりにダメージを負いたくないPTは、自身も腕に覚えがあるグラウンドでカウンター封じにきたのかもしれない。確かにカウンターはとられにくいが、これにはいやな予感がした。なぜならPTの必殺技PTコースターは、立ち上がらなければ決まらない。しかもPTは序盤で既にPTコースターを使っているため、尾原には警戒されているはずである。

そしていやな予感は的中する。PTコースター狙いで尾原を担ぎ上げ、落とそうとした矢先に、尾原はPTの右肘を決めていた!

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投げ下ろすスピードに、尾原の体重、加えてPT自身の力が右腕一点に集中したため、たまらずPTはギブアップ!前回苦杯をなめたPTコースターを逆手にとってチャンスに変えた尾原の作戦勝ちだった。苦労人、尾原毅初の戴冠、ここになる!プロレスは点ではなく、線で見た方が数百倍面白い!それを改めて教えてくれた一戦だった。

▼林祥弘 追悼スペシャルメモリアル6人タッグマッチ (30分1本勝負)
⑦×七海健大 & 阿蘇山 & 佐々木貴 vs SMITH & 藤田ミノル & ○葛西純
(14分26秒)

この絡みはいろいろありすぎて、やはり語るのが難しい。特にプロとして生前最初で最期のシングルマッチを闘った佐々木貴には思うところがたくさんあっただろうし、実際に指導した阿蘇山、同じ山口県民である藤田ミノルにしてもそう。

しかし、メモリアルといいながら過去には止まらないのが、がむしゃらプロレスである。gWoは何と冒頭で加入表明した大向美智子さんをマネージャーにつけて登場!一気に様相が一変する。

当然乱撃戦に持ち込んでいくので試合はgWoペース。おまけに大向マネージャーが度々乱入し、佐々木貴にかかと落としまで決める暴れっぷり!

当初はプロの中に混じると、自分が目立たなくなるからいやだ、と出場をゴネた?らしいスミスもしっかりこのメンツの中で目立っていた。あれだけ強烈な個性の中でしっかり自分を際立たせてくるのだから、さすがとしか言いようがない。

七海健大も殿&阿蘇山というこの上ない味方をえて、かなり頑張っていた。単なるメモリアルマッチを超えた、激しい闘いはやはり現在進行形のがむしゃらプロレスだったといって間違いないと思う。

試合はgWoがスミス曰く「林への思いの差で」勝ったという形になったが、試合後、スミスが敢えて敵軍に林へのメッセージを求めたのが普段と違うところだった。

殿も阿蘇山も健大もそれぞれの思いのたけをリング上でぶちまけていた。それは多分林も何処かで聞いていただろう。非常に濃密なタッグマッチだった。

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▼GWAヘビー級選手権試合(無制限1本勝負)
⑧《挑戦者》○鉄生 vs ×陽樹《王者》
(26分01秒)

ライバル対決とはひとくくりにできないくらい、いろいろなものを背負い込みすぎた両雄。人間としては全くソリが合わないが、プロレス的にお互いが強いというのは分かりきっているだけに、だんだん試合が洗練され、レベルアップしているのだが、同時に最初に感じられた危険なにおいは薄まってきた。

だから課題としては危険な香りをアップさせつつ、どれだけ冷静でいられるか?相反するミッションをクリアしないとチャンピオンにはなれないと私は思っていた。しかし、最初に熱くなったのは陽樹だった。一見すると、イスチャンバラを仕掛けてきた鉄生の方が冷静さを失っていたようにみえたが、よくみていくとあれで陽樹が我を忘れてしまったように私にはみえた。もしもの話はしても仕方ないが、タイトル戦度外視で反則暴走するか、それともあくまで冷静に鉄生をあしらうか、どちらかが陽樹にできていれば流れは変わっただろう。

だが、鉄生は多分最初から陽樹をキレさせるつもりだったのではないだろうか?GAM1のスミス戦でも、我慢できずに墓穴を掘った陽樹は、この日も鉄生が周到に用意した罠にハマっていった。一見すると思うままに無法の限りを働いている鉄生だったが、要所要所で放つアナコンダバイスは焦る陽樹を確実に絡めとっていた。実は冷静に試合を運んでいたのは鉄生だったのだ。

後半、謎の怪覆面が乱入して鉄生に加勢したが、実は中盤までで策にハマった陽樹の劣勢は明らかだったし、乱入が決定打とは言い難いと私は思う。要は負けるべくして陽樹は負けてしまったのだ。これは残念で仕方ない。

大方の予想通り、怪覆面は七海健大あらためKENTAだった。実のところがむしゃらプロレスでデビュー以降7年間もベビーひとすじの健大にはぼちぼちベビーとしての限界も見えていた。多分本人的には厳しいプロレスより自分が楽しいプロレスがしたかっただろう。しかし、それをやるにはベビーの縛りはあまりにきつすぎた。一度何処かで健大自身が解放されないと、このまま終わっていくのを見るにはあまりに忍びなかったのだ。

だから健大が変わるならこの日がラストチャンスだと私は思っていた。戦前から「どんなことをしてでもベルトをとる」と宣言していた鉄生と、「どんなことをしてでも自由の身になりたい」KENTAが合体するのはある種必然だったともいえる。

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しかし、自由と引き換えに殿と阿蘇山のバックアップも失った。まわりは敵だらけである。もしかしたら前より状況は厳しくなるかもしれない。それでも私は自ら変わろうとしたKENTAと鉄生の決断を支持したい。彼らの行動を点でみたら、単なる裏切り行為にしかみえないが、今後の試合を積み重ねていく中で、お客さんに支持され、会場が黄色に埋め尽くされて「線」になった時に、今回の行動ははじめて正義とされるだろう。それでもいばらの道を歩み出したLCRには注目せざるを得ない。

何度も言うけどプロレスはすべては点ではなく線にできてこそ大きな意味が生まれる。誰でもそうだけど、ベルトをとったからといってチャンピオンになれるわけではない。観客と歴史に選ばれてこそはじめてプロレスではチャンピオンになれるのである。単に防衛回数が多いだけ、単にベルトが似合っているだけ、そういうのはチャンピオンとは言わない。夏までのタッグベルトをめぐる死闘を思い出すといい。今は無冠だけど、彼なら、彼らならやってくれる、そうお客に思わせる期待値こそが、お客と積み重ねてきた信頼の証である。GWAヘビーに関していえば、そこまでの信頼を重ねた選手がここ数年いただろうか?団体の顔としてふさわしい選手がいただろうか?厳しい言い方をすれば、だれもそれはクリアできていない。だからいまだになんかあるとPT,スミス待望論がでてきてしまう。これが現実である。

だからこそ、今回ベルトを巻いた選手はここで終わることなく、団体の顔としていかに自分が歴史を作っていけるかに挑戦していってほしいのだ。そうでないとがむしゃらプロレスの未来はどんどん暗いものになっていくだろう。光をあててもらえるのは挑戦者まで。自分から光ることができなければ、栄光もすべては過去になって流されていくだけなのだ。

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