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[プロレスコラム]プロレス想い出コラム~林祥弘との尽きない想い出の数々(8)

2018/02/27

最初に構成を決めた時に一応8回で終わりということにしていたので、今回の「尽きない想い出・・・」で最終回となる。とはいってもまだ気持ちの整理がつくまでは試合映像を見ないようにしてきたので、もしかしたら追悼イベントや11月20日の引退セレモニーで何か奥底から浮上してくる記憶があるかもしれない。そういうことで最終回とはいってみたものの、また何かあれば別な形で文字にしてみたいと思う・・・という含みだけもたせておきたい。

さて、最終回にもってきた話は林祥弘のプロレス観である。実は私が社会人デビューした年に林祥弘は生まれている。つまり私とは親子と呼んでもおかしくない年齢差がありながら、林のプロレス観は年齢に似合わず、老成していた。よくいえば通好みというかそういうところがあった。だから妙に私とは話が合った。その林が私に言い残した謎がひとつある。彼がデビューの頃から言い続けてきた「ドラゲーではないプロレス」とは何か?という謎である。その明確な答えを出さずに彼はいなくなってしまった。

くどいようだが、彼はドラゴンゲートのプロレスを否定していたわけではない。ただ、彼のやりたいプロレスとドラゴンゲートのスタイルが違っていたということに過ぎないのだ。

自分の理想をうまく言葉にできる人、そうでない人、人間には色んなタイプの人がいる。私は、うまく理想を言葉にできているように見える典型が野本一輝で、その反対が林祥弘だという風に思っている。

その言葉数の少ない林が唯一残した、自身の理想と思しきキーワードが「ドラゲーではないプロレス」だった。確かに林の闘いに飛んだり跳ねたりはない。強いていうならキングコングニーがそれにあたるが、何方かと言えばヘビー級の技というイメージが私にはある。それを新しい切り札として選んだのが実にいいセンスだな、と私は思っていた。

実をいうと林がキングコングニーを使う以前、ファルコンアローを決め技にしていた時期があった。しかしこれはほかの選手も使っていたし、林自身が結局この技を何発も出さないと勝てない試合が多くなっていたので、正直ほかの必殺技を作ってほしいという気持ちもあって、実は本人にもそういったことがある。そこからすぐとはいかなかったが、林が用意してきた答えがキングコングニーだったのだ。ファルコンでダメージを与えて最後にこの切り札でピンをとる。これがはまったときの林は無敵にさえ見えた。もし次に陽樹対林が実現して、前回の対戦時より精度の上がったキングコングニーがさく裂したら、正直どうなっただろうかと思うこともある。

実際宿敵七海健大はこれでフォール負けを喫しているし、ミステリコ・ヤマトもこの技に屈した。ファルコンより圧倒的に林に似合い、これ以上ない必殺技として認知されてきたダイビングダブルニー。その成長が半ばで終わったのは何とも口惜しい。

林はまたがむしゃらプロレス有数のチョップの使い手でもあった。だがこのシリーズで話してきたように実は新人時代の林のチョップはものすごくしょっぱかった。そこから這い上がって団体髄一の達人の域に達するまでにはどれほどの努力をしたのだろうか。どれほどの汗を流してきたのだろうか。想像するだけで本当に気が遠くなりそうである。それだけに一発一発にこもった熱量も半端なかったと思う。それは確かにお客さんにも伝わっていたし、チョップ一つでここまでの試合を見せられるようになるなんて、本当に立派になったよなあと毎回感心していた。

よくプロだと亡くなったり引退したりした選手の技を継承といって後輩選手が使ったりするけど、オリジナルをこえたものはそうそういない。そういう意味ではチョップやキングコングニーを誰かに継承してほしいようなそうではないような複雑な気分でいるのである。

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