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[プロレスコラム]プロレス想い出コラム~林祥弘との尽きない想い出の数々(2)

2018/02/27

いろんなところで言ってきたことだけど、私のプロレスファン歴にはいくつかブランクがある。40歳になったばかりのころに寝たきりになって約2年間何もできなかったのが一番自分の中ではきつい時期でもあった。その中で自分に合うクスリと出会い、相談できるお医者さんと出会い、少しずつ状況が変わり始めたころに観戦に誘われた。2009年の11月。チケットの値段は2000円。えらい安いなあと思いつつも、そう大して期待もせずに小倉北体育館に向かった。プロレスファンとしてだけではなく、人生のブランクでもあった二年間で当然小倉にも行ってはいなかったのだが、なぜかその時は調子が良くて、久々に自分で運転して小倉まで行くことができた。

少し早めについたので、隣のメディアドームでやっていたイベントに顔を出して時間前に小倉北に戻ってみたら、すでに多くの人が並んでいた。全席自由ということは事前に知っていたので、早めに来てはいたのだが、正直こんなに人が並んでいるとは思いもしなかった。それががむしゃらプロレスとの最初の出会いだった。今でもはっきりと覚えているのだけど、この日は新人選手が多数デビューしているのが非常に印象に残った。

その中でも第四試合でデビューした新人林は・・・・正直使えないなと思ってしまった。実はずいぶん後で本人にもそれをいっちゃった。後に大覚醒した姿からは想像もつかないくらい酷いものだった。確かにルックスもよく身長も見栄えするけど、お世辞にもプロレスがうまいとは言えなかった。ロープワークもつたないし、チョップも非常に力が弱く、せっかくのタッパもちょっともったいないなと思った。なにより入場で派手にこけたところが一番記憶に残っているのがなんともいえず、残念な感じがした。まあ、でも若いしこれから練習を積んでいけばもしかしたら化けるかもしれないとも思っていたが、はっきり言って同日デビューした七海健大や、野本一輝の方が絶対出世するよなとさえ思っていた。

で、その予想はあながち間違いではなかった。

実際林祥弘はチャンスは与えられながらもなかなかこれといった結果が出せないでいた。ロープワークでも歩数が合わなかったりして、から足も踏んでいたし間合いもつかみきれていない。水平チョップも当たるたびにペチッ!ペチッ!という音がして非常にあたりが弱かった。

初期の林祥弘がよく言っていた言葉で印象に残っていることがある。彼はしきりに「自分はドラゲーみたいなプロレスがしたいわけではない」と私に言っていた。デビュー時のコスチュームはロングパンタロンで髪も長く確かにドラゲーっぽさは醸し出していたが、個人的にはドラゲーというイメージがするような試合をしていた記憶が全くなかった。彼曰く「外見のせいかよくいわれる」ということだった。でもきつい言い方だけどこの当時の林の試合のレベルは正直ドラゲーのようなスタイルですらできはしないと思っていた。林は見た目なんでもできそうだけど、実際になんでもできたのは野本一輝だし、七海健大だった。

そのせいか、タッグマッチでは使われてもシングルマッチはなかなか組まれなかった。のちにGAM1を制した男にしては意外かもしれないが、デビューからなかなかシングルを組まれなかったのも林だけだったのだ。やがて最初のチャンスが訪れる。がむしゃらでは珍しいタッグ王者に挑戦するためのトーナメントが開かれ、そこに野本・林組がエントリーされた。でもそこで優勝したのは尾原毅・グレート・フランケン組だった。野本組は決勝で尾原組に敗北を喫して、準優勝に終わってしまったのだ。せっかくのチャンスをふいにしたのは正直がっかりもした。でも同じ山口県人だし、やはり自分がプロレスファンとしてのリハビリをはじめた時期にデビューした新人をどうしても見捨てる気にはなれなかった。何より、会場駐車場の場内整理を率先してやっていたり、雑務を黙々とまじめにこなす林祥弘の姿にはなんか心打たれるものがあったのだ。

そして二度目のチャンスが訪れる。巌流島のイベントに出ることになったがむしゃらプロレス。山口初凱旋の舞台。諸事情で前年優勝者である尾原組が出られなくなったため、準優勝の野本・林組にお鉢が回ってきたのだ。メインイベントのGWAタッグ戦。野本・林対ブルート健介・ジェロニモの試合。ここで林はチャンスをものにする。強敵であるジェロニモ・ブルート健介組に苦杯を舐めさせられながらも、ファルコンアローで3カウントを奪取!見事巌流島で初のプロレス王者として林祥弘と野本一輝の名前が歴史に刻まれたのだ。初戴冠を地元山口県で達成した喜びにあふれていた林の姿はいまだに忘れられない。このとき一緒に撮ってもらった2ショットが彼と撮った最初で最後の写真になってしまった。

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