*

北九州からあげ選手権2016・がむしゃらプロレスイベント試合観戦記(2016年8月28日(日)13:00〜14:30門司港レトロ中央広場)

2016/09/02

北九州からあげ選手権2016・がむしゃらプロレスイベント試合観戦記(2016年8月28日(日)13:00〜14:30門司港レトロ中央広場)

前日の猛暑から一転、土砂降りの雨。午前中には小倉方面の雨がやんだという情報をつかみ、安堵したのもつかの間、時間がたつにつれて雨脚が酷くなり、プロレス開催時にはステージの下にいてもズブ濡れになるほどの豪雨。しかし、その雨をものともせず、びっくりするくらいのお客さんが足を運んでくださった。本当にありがたい話である。

第一試合▽からあげBattle6人タッグマッチ(30分1本勝負)×タシロショウスケ&トゥルエノ・ゲレーロ&七海健大 vs MIKIHISA&YASU&○林 祥弘

本戦のテーマが対他団体に移りゆく中で、久々のユニット対抗戦。かつての軍団抗争とはまた異なり、個々がレベルアップした分をぶつけ合う闘いにみえた。

この中で目に付いたのはタシロとMIKIHISA。MIKIHISAは格闘スタイル+ヒールモードの反則の織り交ぜ方が完璧に自分のものにしていて、もはやgWoの一戦力としてなくてはならない選手にまで成長してきた。自身をgWoに勧誘したキッドの離脱により、精神的にも一回り成長した姿が見られたのは喜ばしい限りである。一方今まではチーム凱にいながら存在感を発揮しきれないもどかしさがあったタシロも、林とのチョップ合戦に応じるなど、こちらも進化した跡が見られた。

しかし、あまりにチョップ合戦に固執しすぎたり、カウンターのビッグブーツを相手に読まれるあたりはもう少し試合運びを学んでほしい。でもまあ、前よりはぐっとよくなっていた。

この中だとヘビー級の健大と林がやはり技を多めに受ける形にはなったが、彼らもすっかり逞しくなって、全く心配いらないのが頼もしい。攻めの点では林の回し蹴りが要所要所で試合の流れをかえていた。

彼らの場合、先にGAM1も見据えているため、ジュニアの攻撃は受け切ってナンボのところもある。反則も含めローンバトルになっても次に繋げられるあたりを、新人選手たちにはみておいてもらいたい。

試合は連携で1日の長があるgWoが勝ったが、林のキングコングニーは非常に説得力のあるフィニッシュになりつつある。これがでると決まったなと思わせるものがあるのは大きい。また試合の流れを変える延髄斬りもかなり有効だった。

第一試合からの激しいぶつかり合いはイベント試合の域をこえていた。受けた林や七海健大の胸は真っ赤だったし、激戦のあとを雄弁に物語っていた。この第一試合が悪天候に負けない熱狂を生んだのだと私は思っている。

第二試合▽からあげBattleタッグマッチ(30分1本勝負)
×美原 輔&陽 樹 vs Barong&鉄 生○

7.31の大会でgWoからの離脱を宣言し、Barongと合体した鉄生は、序盤から徹底した美原狙い。Barongはともかく鉄生の振り切れっぷりは半端なく、会場で観戦していたエゴイストのモミチャンチンの表情がこの試合だけ険しくなっていた。おそらくGAM1一回戦であたる鉄生とのシュミレーションをしていたのだろうが、リングにあがると食えないキャラクターであるモミチャンチンの真剣な視線は、当然現チャンピオンの陽樹にも向けられていた。

その陽樹が放ったフロントスープレックスで受け身のタイミングがほんの少しずれてしまい、鉄生の古傷でもあり、武器でもある首にダメージがかかり、一転大ピンチ!しかしこれを好リリーフしたBarongの動きはまるで長年組んでもいたかのような心憎さ。

美原の驚異的粘りもBarongの老獪な寸断でカットに入れない陽樹。それを尻目に鋼鉄ロケットランチャーに繋いだ鉄生が美原を完全フォール。

結果は残念だったが、美原の気迫と絶対に自分で一矢報いてから陽樹につなぐファイティングスピリッツは大雨の中で観戦していた観客のハートを確かに掴んだと私は思う。今の美原の主武器であるドロップキックは惚れ惚れするし、まさに逸材。もし他団体の若手と競い合う日が来たとしたら、きっと頭一つ抜け出すに違いない。かつて対UWFで頭角をあらわした船木誠勝のように。

第三試合▽北九州からあげ王座決定戦杯 全選手バトルロイヤル
トゥエルノ・ゲレーロの勝ち残り(残り一人は美原輔)

鉄生とBarongは呼び出しも無視。従って全選手からgWoと凱だけのバトルロイヤルに。

ここでも主役はやはり美原だった。彼の素晴らしいところは先輩にも決して臆さず、結果を恐れない点にある。

MIKIHISAとタシロは前の試合で見せたよさが空回りしていた感じがした。MIKIHISAが先輩を裏切るのはいいんだけど、状況をよくみないとバトルロイヤルでは孤立してしまうし、タシロもタッグマッチと同じ試合の組み立てでは、こういう試合形式ではスキをつかれやすい。やはりそこは経験の差かなという気がした。

で、残ったベテラン勢を蹴散らしてゲレーロと美原が最後に対峙。美原にしてみればチャレンジマッチだし、ゲレーロはすぐ下の後輩を引っ張り上げる役割が求められる。はじめて上の立場で試合する分、普段とは違う頭の使い方をしたように、私にはみえた。

その顕著な例が日本では若手いじめの技として認識される逆片エビ固めである。これで新人選手がギブアップしてもなんらおかしくはないのだが、ここを耐え抜くかどうかでお客さんに伝わるものが違ってくる。しかし、ただ逃げるすべがなくて我慢しているだけでは意味がない。耐えるだけでなく、なんとかそのピンチを脱しようとする姿に感動が生まれるのだ。美原はこれも受けきった後、キャメルクラッチをも耐えきった。これは素晴らしい成長ぶりだった。

この日の美原の姿には感動が生まれた。なんとかしようと必死だったし、本気で勝ちにもいっていた。だからこそ勝てなかったことにも大きな意味があったと思う。この勝てなかった悔しさが次に対戦した時のエネルギーにもなる。この辺が伝わりにくいとお客さんも感情移入しづらい。

さて美原ばかり目が行ったけど、ゲレーロもここのところシングル戦では好成績を収めているし、GAM1で活躍が期待される選手のひとりでもある。またこういうバトルロイヤルでも実にうまくたちまわれる能力があるなと思う。しかし2日連続のトーナメントという全員が未知の領域に挑む今年のGAM1は全く先が読めない。

個人的には、からあげ選手権としては初のボランティア参加だったけど、実際投票所では味の次に接客を投票ポイントにしたお客さんがたくさんいらしていた。非常に印象に残ったのと同時にお客さんってよく見てるよなあと感心させられた。プロレスもイベントも腕だけよくったって人間性がよくないといずれ立ちいかなくなる。今回優勝された北湘さんの接客には多くの方が称賛されていた。そういう意味では勝つべきところが勝ってくれたことには末端のスタッフの一人として素直にうれしく思う。

-がむしゃらプロレス観戦記, プロレス観戦記