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新泉浩司プロデュース 『GT-R プロジェクト大会~I believe in future ~』観戦記(2016年6月18日(土)さざんぴあ博多 多目的ホール)

新泉浩司プロデュース 『GT-R プロジェクト大会~I believe in future ~』観戦記(2016年6月18日(土)さざんぴあ博多 多目的ホール)

行きがけの関門トンネル故障車通行止めは、もはや年中行事。こういう場合に備えて複数ルートを想定しておくのも観戦者としての心構えである。

下関駅まで車で行き、JRで小倉入り。そして新幹線経由で博多から南福岡駅へ。余裕があれば天神から雑餉隈駅に行くルートをとりたいけど、こういうアクシデントがあると、何処か節約しないと無理。

ということで、南福岡駅から徒歩でさざんぴあに向かう時間も含めると、片道約2時間半。これでも試合開始ギリギリになる。だが天神まで行く時間が不確実な以上、雑餉隈ルートは没に。

まあさざんぴあだから、後から入って最上階からみても不都合はない。こういうアクシデントも含めてのプロレス観戦なんで、イライラするヒマがあれば、その時間で対応策を考えた方が有益なのだ。

ここまでして行く理由は一つ。前回のGT-R興行を見に行けなかったからだ。次回こそは!と思いつつ、ついに満を持して訪れたチャンスである。これを逃すわけにはいかなかった。

そして自主興行二回目にしてなんと増席するほどの超満員札止め!田口対アステカ戦ですら会場が半分も入ってなかったのに!これは新泉も感無量だったことだろう。

第1試合 20分1本勝負
ウラカン・マリーノ&×エキス・オダジモ vs ○エル・ファルコ&ブラックハンター・フレイム

マリーノクラスは本来ならそろそろネグロ同様バラ売りされるべき選手のはずなんだが、未だにこの位置にいるのは、やはりなんか釈然としない。

彼がリンピオのエースとしてネグロの前にたちはだかる姿が今持って想像しにくい。このままだとネグロ親子がぶっちぎりで勝ち逃げしてしまう可能性が極めて高い。

しかし、この日の彼らの試合のクオリティーは非常に高かった!まずそれが衝撃だったし、今までの彼らにはなかった成長をみられたことは嬉しい誤算だった。遠くからくる文句言いのおっさんのたわごとに心を痛めながらも腐らずに練習を積んでまじめにプロレスに取り組んできたからだろう。あえてルチャではなくプロレスといったけど、まさに彼らがやっていたのはプロレスだった。

なぜかというとルチャ特有の動きに頼らず、ルチャのいいところをプロレスにちりばめて、効果的に使っていたからだ。たとえばグラウンドも今までだと割とあっさりめに手を放す傾向がどの選手にもあったけど、この日はどの選手も食い下がるようにグラウンドを仕掛けていた。

そして飛ぶときは思い切って飛ぶ。まだまだ無駄な動きは多いけれど今までの彼らに比べるとかなりましになってきている。特に名前すら覚えられなかったマリーノ以外の選手がこの日一日、この試合だけで覚えられたのだ。これはとんでもなくでかい。

第一試合なのに白熱しすぎてもう少しで時間切れになりそうなことろで決着がついたのも驚きだった。いや、レアルの印象がこの日の試合だけでかなり変わってしまった!これは事件といっていいかもしれない。

彼らの覚醒はきっとレアルだけでなく九州のプロレスシーンを大いに活性化してくれることだろう。

第2試合 30分1本勝負
林田伸一&○サガン虎vs ×スカルリーパーA‐ji&上田馬之助

GT-Rとくれば林田も主役の一人である。やはり久保も含めたこの3人はある意味強さの象徴であってほしい。今回新泉が骨折というハンディを抱えている分、コンディション的に当たり外れの少ない林田にかかる期待は大きい。

が、やはり穴があるのに黙ってみているほどお人好しではないのがダークサイドFTOたる所以。

狙いは当然林田ではなく、サガン虎。まあ、正直前よりはだいぶマシにはなっているが、正直ダークサイドFTOにかなうわけもない。

時折反撃してもいかんせん軽いためダメージを与えきれない。正直飛び技ならレアルの若い連中の方がよほどキレがあるし、なんか一つサガン虎ならこれだよね!という必殺技がほしい。

でないと、なかなか不甲斐ない印象を覆すのは難しいだろう。

結局業を煮やしたA-jiが強引に覆面はぎに出て堂々の反則負け。まあこれ以上引っ張ってもしょうがないタイミングではあったんだけど。しかし林田を後期高齢者よばわりしていたのは正直釈然としなかった。FTOだっていっちゃ悪いがそんなに年齢変わらないんだから(笑)

第3試合 30分1本勝負
○スペル・タイラ&U.M.A vs アズールドラゴン&×ヴァンベールネグロ

初期から中期にかけての常連選手だった名古屋組のタイラとU.M.Aの参戦は嬉しい限り。懐かしすぎて涙が出そうである。昔は「正道会館所属」とコールされていたU.M.Aだが、今もそうなのかな?

正直この試合のためにさざんぴあに来たようなもんなんで、相手が今の華☆激の主要登場人物であるアズールとネグロというのも非常に興味深い。

面白いのは新世代人気にやっかんだ?ベテランチームがわざとヒール的なムーブで翻弄していたのが面白かった。基本タイラもU.M.Aもテクニコなんだけど、これくらいのベテランになるとなんでもできちゃうからある意味ずるい。

試合後、ほぼKOされたネグロがリング下から這い上がり、タイラに再戦を要求。ルチャの先輩をたてつつも、何処かでファン時代の気持ちが戻ったんだろう。なんか嬉しそうにハグしていたのが印象的だった。

第4試合 45分1本勝負
×小川聡志 vs ○黒影

これもまた興味深いカード。ブラックジャスティスが華☆激を席巻していた2000年代中期には、正直こんなカードは組まれなかった。だが、地道にキャリアを重ねて小川がこの位置にいるのは大変感慨深い。

ちなみにこの日で小川はデビュー10周年。

年齢的にはレジェンド枠なんだがプロレスキャリアはようやく中堅という感じなんで、不思議な感じはするんだけど。

ただ昔は輪島や中牧ですらデビューが遅いといわれたことを考えると40をとうにすぎてデビューした小川がオッさんの星と呼ばれる理由は分かる気がする。

彼の活躍に発奮したか?愛媛プロレスには55歳の練習生もいるらしい。それはそれでどうかとは思うが、中年世代に夢や希望を与えたのは疑いようもない。

年齢的には私の一個下だけど、あのコンディションと無駄に元気なテンションは真似したくてもできない。

試合後、小川かデビュー戦でディアブロになすすべなく病院おくりにされたところから、ここまで来たことを一応ほめていたが、パワーファイターでもない黒影がキーロックをきめられたまま叩きつけたり、敢えて力勝負に出ていたのは興味深いところだった。

あのあたりの意地の張り様があって、最後に「俺とシングルなんて百万年早い!」という捨てぜりふに繋がっていたので、そのあたりにヒールではない、いちレスラー黒影の本音がみえた気がした。

第5試合 60分1本勝負
×新泉浩司&KING&エル・ブレイブ vs ○アステカ&コスモ☆ソルジャー&KAZE

それにしても長い時間プロレスをみていると17で岡山から出てきてプロレスデビューした選手が、まさか旧世代に入って、新世代の壁になる日が来ようとは、である。

もちろんそれはKAZEのことである。いつものブラックドリームではなく、かつてのダンダラ模様の羽織に、青いマスクで登場したKAZEは心なしか以前より体がしまってみえた。たぶん先輩の前だといい試合するバージョンになっているんだろうけど、それでもかつて背中を追い続けたコスモとアステカとタッグを組むというのは彼にもきっと特別なことだったんだろう。

本当は主役の新泉を見ていたかったのだが、なぜだかKAZEやエル・ブレイブに目がいく。たぶんタイラやU.M.Aに視線を送っていたのと同じ理由なんだろう。

KAZEたちには、散々罵詈雑言を浴びせているけど、やはり出て行ったとはいえ、元々見に行っていた選手のその後を心配しないファンなどいないのだ。

とはいえ、現在の華☆激をみている以上、やはり新世代にはベテランを圧倒してほしい。そして彼らならそれができるはず。

しかし、あにはからんや、ベテランになるほどいき盛んな華☆激の旧世代はこの新世代の挑戦に対して高い壁として立ちはだかったのだ。

コスモやアステカが動けるのは今更だが、KAZEがおちゃらけモードを完全封印して、抹殺しにかかったのはさすがに驚いた。

結果として34分もの熱戦にはなったが、へたしたらベテラン組は、序盤で決めてしまおうと本気で考えていたとしか思えないくらい、三者三様の厳しい攻めを新世代に刻み込んでいた。

圧巻はアステカが予告通り骨折した新泉の足狙いにきた時、あまりの非情さに大新泉コールがおきたが、本来強さの象徴である新泉としては、ある意味不本意だったかもしれない。

しかし、ベテランがここまで必死にならないと決着がつかないくらい新世代は力をつけていたし、この大会にしろ、超人バトルワールドにしろ、大会のプロデュース能力も申し分ない。

ある意味超えられる楽しみが出来たというか、これ以上の力をつけた新世代の姿を見てみたい気にもなれた。

ベテランの頑張りは決して年寄りの冷や水などではない。

両世代が張り合い、意識し合って高みを目指す姿はとてもステキだと思う。

試合後のアステカのマイクは予想外のものだった。不肖の息子だけどたまにはかえってこいよ、とKAZEに語りかけ、新泉にはタイラやU.M.Aとの再会の場を用意してくれたことへの謝辞をのべ「KAZE、ブレイブ、U.M.A、タイラ…こんな機会を用意してくれてありがとう」と泣きながら新泉に頭を下げたのだ。

黙っておけば実績だけでレジェンド扱いされても不思議はないのに、トラブルメーカーな側面のおかげで、一部からは未だに忌み嫌われているけど、基本悪い人間ではないことは、長い付き合いだし、よくわかっているつもりだ。

ましてや、マイク持って泣くような場面などついぞ見たこともない、あのアステカがリングで泣いたのだ。これに心動かされなくてなんとしよう。

しかし、やっぱりここまで追い込んだならライガー同様5年で引導渡すくらいしないとダメだろう。私は世代的に超えられる側の人間だけど、高い壁でいる気はさらさらない。

そこはやはり追い抜いてほしいし、追い抜き甲斐のある存在でもありたい。

だから日々頑張れるし、同時に若い世代の突き上げを心待ちにしていられるのだ。

いや、でも34分越えのメインがあって、出ていったメンバーが里帰りして、あの場にいたことがやっぱ奇跡だと思うし、全員は無理かもしれないけど、いつかまた再会できる日がくるといいなと思う。まだまだ見たい顔ぶれもたくさんいるし、そこはやっぱ新泉のようなしがらみのない選手がプロデュースするとうまくいくのかもしれない。本当に生涯忘れらない大会になった。ありがとう。

-プロレス観戦記